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琉球お爺ぃ小話
古代の暦について 記憶文化と記録文化
しおりを挟む『人間は記憶する動物である』(ブラックジョークではありません)
毎年大和郡山で、「記憶力大会」が、開催されています。
大和郡山は、稗田阿礼の故郷であり、記憶文化から記録文化への継承が行われた、縄文文化から日ノ本文化への継承が行われた時代となります。
人間の記憶は、訓練することで向上し、凄まじいまでの記憶能力を発揮することができます。また、完全記憶が症候群と呼ばれる現在、記憶能力の高いことが、良いことではないような評価がされることもあります。これは、記録文化が持つ、最大の欠点でしょう。
稗田阿礼は、過去から現在までを記憶していた、『帝紀』『旧辞』の詠唱を可能としていて、「古事記」編纂に関わった人物です。しかしながら、稗田氏は天鈿女命を始祖とする猿女君と同族で、巫女の家系でもあり、女性説が唱えられている人物でもあります。
猿女君は、天鈿女命から連なる、朝廷の祭祀に関与した一族であり、縄文記憶文化を継承する一族であったと推定されます。
1万年以上前(最寒期19000年前)、氷河期の頃は、北アメリカやシベリアは、南極と同じような氷床をしていた。氷床が形成されていた時期は、日本列島と大陸が、地続きで繋がっていて、現在の海面より-120mの状態であった。
氷河期が終焉し、温暖化が進んで、徐々に海面が上昇していく、日本の縄文時代は、海面が上昇する時期に始まっている。ピーク時には、現在の気温より、1~2度高かったと推定されている。
鬼界カルデラ噴火が、73000年前(6300年前説在り)となると、自然災害によって、南西諸島から九州南部は、人が住めなくなるくらいに被害を受けたと推定されます。倭国の歴史として、日向から筑紫への移住が始まったのが、この鬼界カルデラ噴火以降であり、大きく時代が変化した伝承となります。この頃の伝承が、海幸彦と山幸彦の御伽噺であり、天孫族の山幸彦と海人豊玉姫が、契りを交わして、豊葦原の国で里人となって暮らします。
季節を知るのは、当時の食糧事情にとっては重要であり、縄文期の場合、狩猟採取生活のまま、定住可能な形に、文明を築いていたため、季節に対する感覚は鋭敏である必要があったと考えます。
二至二分という考え方は、日ノ本の計時変化の基本でもあり、日の出日の入りの方角を追いかけるだけで、季節の動向を確認することができます。
天文学というのは、継続した天文観察と記録から、確立される学問である。
縄文期に始まる、定住生活と狩猟採取が創り上げた、縄文文明は定住生活を維持するため、最低限二至二分の季節を測ることができたと推定されます。縄文期に始まる環状列石は、日時計とも推定され、少なくとも一定の計時方法として、使われていたと推定されます。
縄文文明を示す、環状列石は、4000年位前から、遺跡として築造されています。縄文期には、季節の移り変わりを、太陽の動きで確認するため、夏至に冬至、春分と秋分というように、季節の変化を追うことで、狩猟採取の時期を判断することができた。環状列石は、太陽の動きを記録するための、指標として用いられた可能性もあり、
漁生活を行うためには、月齢の確認による、潮の干満を計測する技法も必要であり、当時の食糧事情からすれば、太陽暦だけでなく、太陰歴についても、把握していたと推定できます。
暦法には、太陽暦を基準に、二至二分を基準に、春夏秋冬の季節を分ける方法が、古来より用いられ、大陸より二十四季節が導入され、取り込むのはかなり早い時期から組み込まれたと推定できます。
暦法では、月齢を基準とする、太陰歴も、海上の干満を知るうえで重要であり、縄文期は海面水位が上昇する時期でもありますので、年々上昇する海面水位に潮の干満が加わる、海岸線の変化は、縄文期の生活には、欠かすことができない条件であったと言えます。
当時の記録は、稗田阿礼が行っていた、記憶と詠唱による季節変化であり、現行で確認可能な、ポリネシアに残る、スターナビゲーションシ(Wayfindingとも呼ばれる)方法が基準となります。ポリネシア人の航海は、紀元前三千年の南西諸島あたりからとなるので、記録は非常に長くなっていて、先祖の航海記録が、そのまま詠唱として伝えられています。
人間の記憶能力を訓練によって鍛えると、異常なまでに向上させることが可能ですが、鍛え続けなければ、記憶能力は低下していきます。正直に言って、古事記が、稗田阿礼の記憶を表記したところから、日本人の記憶能力の低下が、始まったのではないでしょうか。
欧州でもケルト民族が、記録文化ではなく、記憶文化であったとされ、イギリスの環状列石からも、記憶による天文分析が行われていた文化であったと、考えることができます。
記憶文化を基準とすれば、記憶能力の低下を招く、文字記録文化は敵となります。
崇神帝に始まる、日本制覇は、記憶継承を記録継承することで、記憶文化から記録文化への変遷の流れとなります。記憶文化から記録文化に継承することで、現在の日ノ本が形成する文化が始まりました。和銅四年に始まる、稗田阿礼の記憶に、干支の記録があるのは、干支の記録が始まった時期から、過去に向かって遡上して記憶した結果となります。
おそらく稗田阿礼は、二至二分の起点となる太陽の運行、月齢といった、天文情報を含めて、過去から記憶を継承していたと推定されます。
稗田阿礼一族が、連綿と記憶してきた記憶文化の起点が、神武天皇からであり、東征に同行した、猿女君の一族であったと考えるのが、自然の流れとなります。稗田阿礼が天武天皇陛下の舎人として、『帝皇日継』『先代旧辞』の記憶を命じられているところから、過去の記憶を整理し編纂し記憶し直していたと考えられます。
古代史の課題で、良く干支の記録が、俎上にあがるのは、古代の天文学について、記録が無いからとなります。しかしながら、記録が無いのはあたりまえで、縄文文明の象徴となる、記憶文化で継承された史実なのです。
歴史研究家とは厄介なもので、記憶伝承を、二次資料扱いで、記録されていない歴史は、推定される歴史としか記述しません。これでは、縄文文明と縄文文化の継承が、どのように行われたかについて、推定することすらおかなしな話となります。
縄文文明が育んだ、縄文文化は、ケルト文明が育んだケルト文化と同じく、記憶文化が生み出した文明であったと推定できます。記憶継承を担当していたのが、巫女神官の家系です。
記憶文化は、記録文化によって破壊され、記憶を記録すると、忘却が始まります。
日本には、かつて文字があったと、そんな説を唱えられている方がおられますが、文字記録が行われていたとすれば、記憶能力は低下していくことになります。記憶文化から記録文化への継承は、そのまま記憶文化の衰退となります。
お爺ぃは、古来からある放射思考を起点として、「マインドマップ」の伝承を、ウィリアム・リードさんから習いました。また、オクデンとリチャーズ共著「意味の意味」を読むと、確認することができますが、記憶の記録で重要なのは、文字ではなく、文字が象徴するイメージです。時が移ろえば、記憶が更新されていくように、イメージが変遷していきます。
古代の記録は、記憶の象徴をイメージ化したモノであり、火炎式土器は、古代の記憶を象徴記録したモノとも考えられます。
ローマのイングランド侵攻が、ケルト文明の破壊となり、記録文化への継承となります。
崇神帝による日本制覇は、古代大道建設を進め、数百年の歳月をかけた、記憶文化から記録文化への継承となります。稗田阿礼は、帝室に関わる、伝承を記憶編纂していて、太安万侶が「古事記」という形でまとめあげたと考えられます。
国分寺の建立と「風土記」の編纂は、記憶文化から記録文化への継承であり、記憶文明を形成する流れとなります。
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