琉球お爺いの綺談

Ittoh

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環境破壊せし未来

名前の消えた女01 検体1号

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 西暦2112年のコト、世界の環境汚染は急速に進んでいって、人間が生きるために必要な水だけでなく、空気すらも有料になり、金の無い者は、汚染された空気と水で、生きることしかできなくなり、時々綺麗な空気を買い、ミネラルウォーターを手に入れて、喜ぶ生活となっていた。

 一枚の契約書が置かれて、当時6歳だった私は、契約書にサインした。手術を認めるサインだ。両親が事故で死に、収入の消えた私と弟には、人類に残された生存空間アーコロジーで生きる権利は消えた。金を手に入れるため、生存空間アーコロジーで生きる権利を買い取るため、私に選択肢は無かった。少なくとも、手術に失敗して私が死んでも、弟が6歳となる3年間は、生存空間アーコロジーの孤児院で、生きることが可能な資金が与えられる。

 最初の仕事は、新たに開発された、約1000万個の疑似脳細胞ナノ・ニューロンで構築された核を脊髄に埋め込み、既存のコンピュータネットワークと接続する、Physical Diving Interfaceを実装する手術、人体実験の被験者、通称検体テスタだった。

 手術は成功した、疑似脳細胞ナノ・ニューロンそのものは、無機物であり、生身には拒絶反応が生じる。拒絶反応を防ぐため、疑似脳細胞ナノ・ニューロンにヒトの遺伝子を組み込んだ生体細胞アメーバに組み入れて、培養して生体細胞アメーバに一個の疑似脳細胞ナノ・ニューロンを実装する。アメーバは自己増殖するが、疑似脳細胞ナノ・ニューロンが入った核は増殖しない、約1千万個の疑似脳細胞ナノ・ニューロンは群体となった細胞の中心核となり、全体で一個の細胞として活動する装置となった。

 説明は、プロジェクトで手術を担当した医者が、説明してくれたが、6歳の娘に何を言っているのだろうと思っていた。ただ、手術に成功して、現代社会では、高くて買えない、本物の果物と本物の食事が与えられた、手術に生き残った褒美で、プロジェクトリーダーの自腹だと言っていた。果物はミカンで甘酸っぱかったし、今まで食べたことの無い、本物の食材で調理された食事は、本当に本当に美味しかった。

 アーコロジー内の養護施設は、新たに創られた施設で、増えていく子供達は、生後72カ月未満の孤児か、手術を受けた検体テスタであった。

 養護施設での生活は、そんなに悪くなかった、昼間は小学生として、施設でオンラインで勉強し、汚染されていない土で出来た、体育館で遊ぶこともできた。寝る前に、Physical Diving Interfaceをネットワークに接続し、私の記憶・行動・反応が、記録データとして、管理サーバに送られていた。養護施設では、挨拶を含めたマナーは厳しく、子供同士の言葉カルタ、連想ゲームといった遊び、様々なスポーツやディベートといった形で、他の子供達とチームを組んだりして、競い合うそんな感じの生活をしていた。私自身は、チームスポーツが苦手で、格闘技のように、1対1のスポーツを課外活動に選んだ。

 競技スポーツは、外部から、指導員が呼ばれて、色々と教わった。競技の範囲は、広くて囲碁や将棋に麻将マージャンといった知的競技から、身体を動かす野球にサッカー、バスケットといったチームスポーツ、テニスや卓球といった個人スポーツ、剣道やボクシングに合気道といった格闘技を、基本的なモノを、一通り教わって、自分で課外活動として選んだ。
 私は、麻将マージャンと合気道を課外授業に選んで、クラスメートには、変わってるって言われた。
 生後、108カ月経過した時、自分が選んだ競技を、オンライン競技のプレイヤとして登録され、実際にオンライン上でプレイするようになった。環境破壊された世界では、面積を必要とする、競技スポーツを物理的に実行できる環境は無く、オンライン上でプレイする競技に変わっていたと知ったのは、この頃だった。



 スポーツ競技は、時に怪我や事故が起きて、酷い時には、再起不能になることもある。



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 クラスメートが一人、事故で衝撃で、意識が戻らなくなった。その子は、そのまま、施設から病院へと移されて、帰っては来なかった。
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