琉球お爺いの綺談

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琉球お爺ぃ小話

戦国椿説景07 椿説の「なにわ」市街地

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 「なにわ」は、渡辺館や難波宮が建てられて、あやかしひとならざるものが多く住まう上町台地が神域に扱われることもあって、熊野大道から西に向かって発展していった。平安後期は、渡辺津から熊野大道の西側に町が造られたが、鎌倉期に入って、浪花港と浪花大道が造られると、浪花大道沿いに町が造られたのである。川湊である渡辺津から、浪花港にかけて、水運の流れが生まれ、京洛の京橋に至る川筋に町が生まれていったのである。

 海上交通は、鎌倉期に入って浪花港や住吉湊には、瀬戸内を航行するだけでなく、日ノ本をぐるっと周航する廻船が生まれて、物流が促進されるようになった。北は蝦夷、南は琉球まで、日ノ本の廻船は、定期的に周航して荷を運んでいったのである。鎌倉後期から戦国期に入ると、太平洋を周航する廻船も増え始めたのである。

 物流の増加は、そのまま市街地の拡大を呼び、浪花大道の掘割だけでなく、幾つもの掘割が築かれ、上町台地を水源とする用水路と、物資を運ぶ掘割が築かれていったのである。難波大道を道筋の中央を掘削して、蔵屋敷や土倉が立ち並ぶ物資の集積地となり、物流量の増加するにつれて、浪花大道から北に掘割が幾筋も東から西に掘削されて、町が広がっていった。

 熊野大道をはじめとして、南北に道筋を通して、東西に掘割を通した街づくりが進められたのである。掘割沿いには、浪花港や住吉湊に陸揚げされた、魚を売り買いする魚市や塩漬けにして、京洛へ出荷する店なども並んでいました。

 用水は上町台地から、幾つかの棚池を介して、東から西に流れるように築かれていた。水量を確保するために、棚池が造られ、社が建てられて、杜湯御厨が造られた。掘割は、海から掘削されて、西から東に堀を割っていったのである。堀の両側に道が造られ橋がかけられ、町が造られていった。

 四天王寺の周囲は、施薬院の薬樹園が拡大されて、天平期に制定された養老令の「医疾令」に基づいて、薬樹の生産が行われていた。四天王寺では、「医疾令」に記された本草について、版木が起こされて、薬樹と共に販売されていたのである。四天王寺は「なにわ」の陸運の中心であり、あやかしひとならざるもの達が四天王寺七宮の眷属しんしとなり、荷役に使用する牛や馬を飼っていた。食肉や皮革製造だけでなく、乳、酪、蘇、醍醐の製造販売も、あやかしひとならざるもの達の手で行われていた。鎌倉後期くらいからは、鶏や鶉も飼われるようになり、卵や鳥肉を使った料理も浸透していったのである。

 肉食妻帯については、仏教の教義では禁止されているが、日ノ本では戒律の厳格化が修行時となっていて、肉食妻帯が普通に行われていた。日ノ本の仏教が特徴的なのは、肉食と妻帯が、基本的に認められているということです。

 仏教における、五戒というのは、不殺生、不偸盗、不邪婬、不妄語、不飲酒であり、肉食妻帯が組み込まれていない。律令期天武四年四月に肉食の禁止が法令化されていますが、禁止されているのは、四月から九月までの期間限定での禁止令の形でした。つまりは、農耕期間中や儀礼祭典に必要とされる期間は、狩猟や肉食の禁止となっていますが、10月以降は解禁ということになります。

 あやかしひとならざるものが人と住むようになって混血が増えると、獣を狩ること自体が困難になってきます。結果として、あやかしひとならざるものが狩りを含めて、食肉や皮革製造を担うようになっていったのである。

 鍛冶、鋳造、石灰といった、高温を必要とする釜や窯は、平安後期から鬼衆の独占事業となっていた。住吉から大和川の北岸沿いには、鬼火を使うあやかしひとならざるものの棲家が増え、登り窯や高炉といった高温釜が建てられていたのである。塩釜は、港の沖にできた砂州に漆喰菱消波ブロックを積んだ築山を防波堤のように築き、砂州に塩釜を並べて塩の量産をおこなって、水の生成も実施していたのである。大船に積載される潮釜は、塩を生産するよりも、水の生産に重点が置かれる造りになっていた。「なにわ」の海に浮かぶ八十島は、水の確保が厳しく、生活し難い環境であったが、潮釜の焚きを稲荷狐に頼むことで、水の確保ができるようになったのである。

 淀川や大和川から大量の土砂が、湾に流れ込んで来ることもあって、浪花港や住吉湊では、定期的に浚渫作業が実施され、築山を増やしていったのである。鎌倉末期からは、八十島とも呼ばれた浪花の海に浮かぶ中州に、菱漆喰消波ブロックを積み上げることで、築山が築かれて、防波堤の機能を持たせた。築山を賀茂斎院への寄進領として、斎院を守護する砦としたのは、戦国期に入ってからで、海上からの侵入を防衛するためであった。築山は、賀茂斎院の寄進され神域の形となった。外洋から海水を引き込む入浜が造られ、釜で蒸留しながら製塩と水作成をおこなう潮釜を使って、水と塩の生産を始めたのである。稲荷狐とミヅチ衆が村を造って、漁をしつつ製塩に取り組んだのである。白漆喰の高楼は、狐燈籠が置かれ、海上航行の航路確保に用いられていた。

 白漆喰の高楼には、外洋に向けて大筒が据えられていたが、戦国後期には鋳鉄製の大砲が据えられ、南蛮との戦に備えられるようになった。

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