琉球お爺いの綺談

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鎌倉武士考

鎌倉武士考 一所懸命な鎌倉武士03 武士が生まれるまで3

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 水稲に始まる田園風景は、日本の人口を拡大させた、最大の原動力であった。

 稲作そのものは、縄文期より行われていたが、国策として推進されたのは、古墳時代のことである。

 大規模な労働力の動員が可能になったのは、大陸からの法家思想を含めた、人を動員するために作業を分解し、個別の作業を担当する人数を増加させることで、全体として作業を完成させる、技能技術が浸透した結果であった。作業者が治水や土木のスキルを持たなくても、監督者の指示通りに作業を遂行するスキルがあれば、大規模土木治水事業が可能になったのである。

 稲は単位面積当たりの収穫量が高く、種籾そのもの長期保存可能で、加工食品であるアルファ化米はさらに長期保存可能であった。米は、飢饉から人を救う、救荒作物であり、長期保存可能な戦略物資でもあった。

 土木治水工事を遂行し、墾田を開拓し広げることで、一家一門が暮らせるようになることは、集約型の農業形態へと変化することを示した。水路の維持や水量の調整管理、道具への工夫、総動員による田植えや刈り取り、鳥獣の駆除など、様々な作業を適宜分担しながら、集約型の農業活動を確立していった。米を中心として、馬や牛の世話に狩猟採集、畑や山菜等の採取、一家一門で生産消費活動が完結する形態は、自給自足の形に完成していく。土地を基盤とする武士団は、本貫となる所領があれば生きていけることから、本貫となる所領を護るためには、命懸けで戦う武士となる。

 安心して生産活動に従事するためには、外敵要因が無く平和であることが必要であり、平和を維持するために時に喧嘩や抗争も辞さないのが、平安後期の侍の姿となる。田畑を耕し、事有る時は、弓矢を取って戦う、老若男女の区別なく、一家一門の生存を懸けた戦いとなる。

 力を示すことは重要であり、狩猟は一種のデモンストレーションでもあり、近隣に対して、互いの縄張りを確認する行為でもあった。一家一門が増えれば、墾田を増やさねばならず、墾田を増やすには、近隣との摩擦が増加することになる。平安後期から生じる土地争いは、生存競争であり、一家一門の生き残りを懸けた争いでもあった。地縁血縁を広げることで、数を増やし、土地を護り生き残るために、命を懸けて戦い続けた侍達が、平安後期に生まれる侍と呼ばれる武士団であった。

 日ノ本でのかばねは、職業を示す言葉であり、本当の百姓には姓が無い。これは、百姓は特定の技能集団ではなく、民そのものを示す言葉のひとつであり、「百姓おおみたから」と呼ぶ者達を示した。侍とは、百姓から生まれた、多種技能を持った集約型の集団であった。

 地縁血縁を繋ぐ中で、独立した地盤を築く中で、百姓ではなくかばねを得る行為が、さぶろうという高貴なモノに従う形となった。これは、平安期に大貴族に取り入って、不入権を得るための動きでもあった。

 一所懸命の流れは、命懸けで土地を護り、開拓して生活圏を築き上げた者達の想いであり、誇りを形成していったのである。武士団が武士団として形成される中で、源平藤橘に繋がる血筋を頭にしたことで、武士団の在り方は独立した軍事組織集団として形成されていくことになります。

 平安後期には、武士団が独立した軍事組織集団が活性化していく中で、平安期の中央行政システムは崩壊の一途を辿っていた。摂関家による独裁体制は、摂関家内での権力抗争を生じさせ、地方行政が滞り、地方における武力抗争を中央は裁く能力を失っていった。結果として、承平天慶の乱、長元の乱と武士団の武力抗争が朝敵となる結果が生まれ、中央が地方統治能力を失い、地方地方が勝手に行動する時代になった。

 平忠常の乱に代表されるように、地方での武力抗争は、結果的に土地自身を荒廃させ、双方と共に衰退したのである。地方武士団にとって必要であったのは、公正に裁くシステムであり、裁き手であった。この地方武士団にとっての公正な裁き手となったのは、源頼朝を家祖とする鎌倉幕府であった。御家人と称される鎌倉幕府に属する武士団は、鎌倉幕府によって本領安堵を受けて、御恩奉公の対象となり、鎌倉幕府の下で世界最強の武士団が形成されていくのであった。
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