琉球お爺いの綺談

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琉球お爺ぃ小話

宵闇堀川水運

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 講釈師、見てきたように嘘を吐くであります。



  「サイコロの目と鴨川の水と山法師」と言われたほど、鴨川の氾濫というのは、京洛に住まう者達にとって怖いものでありました。
 平安期の頃、上賀茂に向かう、御薗橋は、行事の際に架橋されて、行事が終われば撤去されるという橋でありました。ここから堀川への取水が行われていて、堰が造られていました。
 堀川は水利事業のために平安期に拡張され、鴨川が造水した場合の逃げ道としての性格を持っていました。堀川そのものも、元々鴨川の流れが造りだした川であったようです。



 堀川から遊水区画を、下流へ向かって、西へ造りながら、北野天満宮の南で天神川に至る水路を造り、造水した鴨川や堀川の水を流す水路が平安後期に完成しております。
 鴨川を氾濫させず、天神川を氾濫させることで、京洛を護るといった水利構造を構築しておりました。



 堀川水運は、人工的な御池通りの遊水区画を始めとして、御所を含めて、屋敷内に多くの遊水池を造ることで、鴨川の氾濫を抑えるように造られていました。
 水利管理は、賀茂斎宮家の管理となっていて、堀川および鴨川一帯の水運からの運上金が、斎宮家の基本財源となっていました。
 遊水区画では、葦の栽培をおこなうことで、葦簾や葦紙などを生産するようになっており、葦簾や葦紙などの加工品についても、賀茂座と呼ばれて、巨椋池や河内湖を含めて淀川水系全般の葦座として、寄進される賀茂斎宮家の座として構築されていました。



 宵闇では、賀茂斎宮家は、伊勢斎宮家と共に、皇室からの皇女を迎えて斎宮家を形成していましたが、平安中期頃から賀茂斎宮家と伊勢斎宮家が独立した家となり、女性当主として立つ斎宮院家となっていきました。初期の斎宮院家では、斎宮が婚姻する場合に、新たな皇女を斎宮に迎えると共に、斎宮院家の御台様となって婿を迎える形態を基本とするようになり、後期には、斎宮院家の娘から次期斎宮候補として、息子は院司となって斎宮家を支える家を構成していったと言われております。



 強大な利権を持つ、斎宮院家は、武家政権が浸透する中で、川筋衆や海の武士団にとってのよりどころとなっており、各地に御厨が斎宮院家へ寄進されるようになっていったのでありました。
 宵闇では、伊豆衆の勢力圏が、伊勢斎宮家へ寄進され、松浦党や九鬼衆などの勢力圏では賀茂斎宮家へ寄進されることが多かったと記録されています。
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