琉球お爺いの綺談

Ittoh

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お爺の一考

相続問題

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 遊動生活の中で生じる、馬や羊といった家畜類であっても同じで、財産が形成されれば、相続の問題は生まれていくものである。遊動生活から定住生活へ移行すると、相続される財産と言うものが増えていくことができる。馬や羊といった家畜類だけでなく、開拓した田畑、建設した家屋、船や網といった道具類、剣や鎧といったものも財産であり、相続の対象となる。



 相続争いというのは、有形無形に係わらず、財産が生まれたことによって生じるものである。旧約聖書における、カインとアベルによる神への捧げ物から来る殺人も、財産と言うモノが生み出した争いごとであろう。



 相続する財産が増え続けるとするならば、子供達が成人していくにつれて分割して相続する。最期に残った子供が、両親と共に家を相続する。これが、末子相続の流れである。これは、風俗習慣に大きな変動がなく、一家一族の財産が拡大していく流れの中では、ある程度の成果が見込める相続方法である。
 日本では、神代の頃からの正統な流れとしては、末子相続であったようである。



 嫡子相続は、家父長制度のように、敵が多く殺伐とした社会状況から、一族郎党が結束して外敵に対処しなければならないような場合、年齢が幼い末子では難しいケースが多くなり、適任者が相続するケースが増えていくこととなり、適任者を巡る相続争いが増加していくこととなる。
 末子から嫡子への変化は、内憂外患が多い状況から生まれていったものと考えられる。一族郎党ですら信用できない状況となれば、年老いた両親や末子を兄達が護るより、自分自身の一家を護るために、両親の一家を治めた方が外敵への対応が容易となる。この理を持って、相続争いをおこなってしまうことが、内憂そのものとなっていった。

 結果的には、内憂外患が多い状況では、嫡子相続の方が、まだ一族郎党を纏めやすいということもあって、徐々に嫡子相続が浸透していったものと考えられる。



 日本の相続は、完全な末子や嫡子の相続ではなく、生前分与を含めた分割相続を基本としている。分割される中で家督相続については一人だけなので、末子から嫡子へ移行する。
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