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頼光四天王筆頭、綱
頼光四天王筆頭、渡辺綱 ひとならざるものの寿命
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渡辺の綱は、ぼぉーっと、難波の渡辺館の縁側で、信太の眷属狐、葛葉に膝枕をしてもらいながら、川を行き交う船を見ていた。
「なぁ、葛葉」
「なんじゃ、綱」
「葛葉は、数百年生きてきたのだろ」
「そうじゃな。日ノ本に辿り着いてからも、既に四百年を超えておるからの、日ノ本の方が長く住むこととなったの」
「でも、普通の狐は、30年ほどしか生きられない」
「人より長く生きるのは、少ないのかな、葛葉」
「綱。あやかしの寿命が気になるのかや」
「あぁ、純血種の方が、短い気がするんだけど」
「そうじゃな、兎衆は10年も生きれば長い方じゃ、鷺衆にしても10年ほどであろうな。人と同じ寿命なのは、鬼衆くらいのものであろうな」
「葛葉は、どうして長く生きれるの」
「妾は、あやかしを捨てたのじゃ」
「あやかしを捨てた?」
「そうじゃ。大陸は、あやかし生きるに厳しく、あやかしままでは、生きて行けなんだだけじゃ」
「生きていけないって、葛葉」
「大陸にあやかしは、もはや住めぬ。人にあらざれば、狩られるだけの獲物となる」
「あやかしは、大陸には住めないの?」
「そうじゃ、綱。あやかしは、狩られる獲物となった。神殺しの者達にの」
「神殺しって、何」
「綱は、知らぬか。殷はあやかしの住まう国であった。人は、あやかしを滅ぼし、周という国を作ったのじゃ」
「あやかしを滅ぼしたのか」
「そうじゃ、殷の流れは、紂王妲己と共に消され、周もまた時の流れに滅びた。まだ、周の頃には、あやかしも生きれたが、周が滅び戦国の世となって、人だけが生きる世に変わった」
「葛葉、、、」
「あやかしに力無く、滅びゆくのを待つだけとなった。妾は、逃げ出したのよ、子をなせる相手を探しての」
大陸で葛葉は、何人もの男や、あやかしに抱かれて数百年、一人も子を為せなかった。
「子をなしたいって、保名のこと」
安倍保名に抱かれて、葛葉は身籠って、安倍晴明を生んだ。
「そなたもであろう、綱」
少し、お腹をさすった葛葉は、綱の子を身籠って言った。
「綱。妾は、大陸で四百年に、幾多の男から精を受けたが、子を為せなんだが、日ノ本に来て四百年、既に二人目の子じゃ」
「葛葉は、日ノ本へ来てよかった?」
「そうじゃな。今の妾は幸せじゃよ、綱」
膝枕した綱へ、葛葉は、キスを交わした。
「なぁ、葛葉」
「なんじゃ、綱」
「葛葉は、数百年生きてきたのだろ」
「そうじゃな。日ノ本に辿り着いてからも、既に四百年を超えておるからの、日ノ本の方が長く住むこととなったの」
「でも、普通の狐は、30年ほどしか生きられない」
「人より長く生きるのは、少ないのかな、葛葉」
「綱。あやかしの寿命が気になるのかや」
「あぁ、純血種の方が、短い気がするんだけど」
「そうじゃな、兎衆は10年も生きれば長い方じゃ、鷺衆にしても10年ほどであろうな。人と同じ寿命なのは、鬼衆くらいのものであろうな」
「葛葉は、どうして長く生きれるの」
「妾は、あやかしを捨てたのじゃ」
「あやかしを捨てた?」
「そうじゃ。大陸は、あやかし生きるに厳しく、あやかしままでは、生きて行けなんだだけじゃ」
「生きていけないって、葛葉」
「大陸にあやかしは、もはや住めぬ。人にあらざれば、狩られるだけの獲物となる」
「あやかしは、大陸には住めないの?」
「そうじゃ、綱。あやかしは、狩られる獲物となった。神殺しの者達にの」
「神殺しって、何」
「綱は、知らぬか。殷はあやかしの住まう国であった。人は、あやかしを滅ぼし、周という国を作ったのじゃ」
「あやかしを滅ぼしたのか」
「そうじゃ、殷の流れは、紂王妲己と共に消され、周もまた時の流れに滅びた。まだ、周の頃には、あやかしも生きれたが、周が滅び戦国の世となって、人だけが生きる世に変わった」
「葛葉、、、」
「あやかしに力無く、滅びゆくのを待つだけとなった。妾は、逃げ出したのよ、子をなせる相手を探しての」
大陸で葛葉は、何人もの男や、あやかしに抱かれて数百年、一人も子を為せなかった。
「子をなしたいって、保名のこと」
安倍保名に抱かれて、葛葉は身籠って、安倍晴明を生んだ。
「そなたもであろう、綱」
少し、お腹をさすった葛葉は、綱の子を身籠って言った。
「綱。妾は、大陸で四百年に、幾多の男から精を受けたが、子を為せなんだが、日ノ本に来て四百年、既に二人目の子じゃ」
「葛葉は、日ノ本へ来てよかった?」
「そうじゃな。今の妾は幸せじゃよ、綱」
膝枕した綱へ、葛葉は、キスを交わした。
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