琉球お爺いの綺談

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if昭和史をお爺ぃが描くと

if昭和史をお爺ぃが描くと  日本は、困ったことに、お役所仕事が得意です

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 お役所は、仕事を創るのが、仕事なのです。
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 昔々、インターネットという言葉が無かった頃、24時間ネットワークを維持するという概念が、日本国にはありませんでした。つまり、サーバの稼働時間は、朝9時から夕方17時までと、とってもお役所らしい稼働時間だったのです。最初の頃、24時間稼働させるために、電源を切り忘れるとか、最初から電源を切るつもりがないという形で運用することで、誤魔化しておりました。きちんと動作していれば良いのですが、停電とかで停止してしまうと再起動させる必要があります。ですが、大変なことに、再起動の方法を職員が、誰も知らなかったりしたのです。

 日本のお役所は、戦前も大して変わりませんし、現在よりも遥かに酷かったのが、戦前の役所だったそうです。

「お役所仕事」という言葉は、とっても悪い言葉です。
 役所の担当者は、何も知らないまま作業することは、当たり前であったりします。しかも、自分が担当していないことには、触れたくありません。絶対に他所の部署の電話をとってはいけません。また、お役人さんは、基本として接遇する能力を必要としませんので、訪ねてきた人をお客さんとも考えていません。ですが、お役人さんは、忖度しますし、目的を達成しなければならないときは、すべての手段を正当化してしまいます。

 戦前の役所がやっちまったことは、対米開戦における宣戦布告について、外務省が認識していなかったことにあったことがある。現実的には、忖度が行き届いていたのが、当時のお役所である。日本は、対米戦闘をするしかないという判断をしたが、開戦をギリギリまで引き伸ばすほど、戦いたくなかったというのが前提にあった。

  しかしながら、開戦そのものを楽観視していて、戦争が起きると考えていなかった外務省を忖度していた、現地外交員の判断もあったと思います。まして、当時のアメリカは、日本が本当に戦争を仕掛けてくると、希望はしていましたが、疑ってもいたと思います。
 1939年12月の段階で、日本の大使がアポイント取るという状況では、「妥協する」「再度の交渉を求める」「蹴とばす」の選択が来るということは、当たり前ですが想定できます。「蹴とばして、戦争する」とは、想定していなかったととも言えます。日本の交渉が、アメリカにとって想定外だったのは、日本が妥協に関する提案をしてこなかったことにあります。

 困ったことに、日本には、妥協するという選択肢がありませんでした。なぜなら、妥協しようにも、現地が言うことを聞かないのですから、反対の行動して叩き潰しにかかるから、妥協という選択肢が日本政府になかったのです。

 第二次世界大戦の開戦理由は、全員が相手に責任があるとして、誰も責任を取りたくない結果として、お爺ぃは戦争という結論になったのだと考えています。妥協する場合、どのような妥協が可能かと言う調整能力も、日本政府にはありませんでした。交渉に妥協が必要だとして、妥協をする権限は外務省にありません、外務省は、陸軍や海軍、内務省に妥協を求めることになります。外務省の言い分を、内務省や陸海軍、さらに関東都督府には承知してもらわなければなりません。外務省の言うことを聞かなくても、省益に反することはありませんし、誰も損をしません。外務省の言い分を聞いてしまったら、聞いた人が苦労することになり、どこかで暗殺されたり左遷されたりして消されます。結果として、各省庁で聞き分けが良くて、苦労してくれる人が、どんどんいなくなります。

 明治の創成期には、それぞれの役所には、同郷(長州や薩摩といった地域で繋がっている人)や、同じ大学の友人や同窓生が居たりして、融通を聞かせることもできましたし、建前として仕事の職掌があっても、「日本のために」という思いで、垣根を超えて協力するということができました。

 大正、昭和と時代が下がるにつれて、垣根が高くなり、職掌が厳格化されて、役所の仕事は、動かなくなっていきます。単に、忖度すれば良かった、明治から、忖度するのも命に係わる、時代へと変化したのです。

 昭和以降は、役所は、職掌を超えて活動できなくなったと推定できます。大正期には、融通した結果、省益を損ねれば、暗殺されたり、左遷されたり、降格されたり、自殺させられたり、そんな時代でもあったのです。官僚や政治家が、自分の命を恐れたら、結果的には、暴力に屈することになります。

 殴り合いとか、刃傷沙汰は当たり前で、本当に殺されたりすることも多かった、日本の大正から昭和は、職掌を超えた動きができるような状況ではなくなってしまったということになります。

 職掌を超えた動きができなければ、誰も他省庁の職掌範囲について、口出しすることはできなくなります。総力戦研究所に省庁を超えてエリートを集め、国家事業としての日米戦をシミュレートした結果、日本必敗という結論が得られた。それなのに、日米開戦を止めることが、誰にもできなかったのです。

 日米開戦の動きは、アメリカ側で、開戦を求める動きになった。これ自体は、普通にあったことだろうと思います。しかしながら、何一つ譲歩できないままでは、外交成果など出るはずはないのです。昭和10年以降、アメリカに対して市場開放もできず、貿易制限をして、工場を締め出すようでは、アメリカが石油輸出停止をしたとしても正当な外交交渉になってしまいます。当時の日本は、開戦はしたくない、だけど妥協はできない、そんな我儘で尊大な餓鬼でしか無かったのです。

 お爺ぃは、アメリカ側が、日本との戦争を急いでいたと推定しています。日米の国力差は、史実昭和10年(1935年)が最大格差であり、日本の経済成長が早く、経済格差が少しづつ縮まっていったのも事実です。これは国内を不満の塊にした大陸開発が、少しづつ軌道にのっていって、経済活動として形になっていったことを示します。

 アメリカが石油輸出禁止とかせず、そのままの経済活動を許容した場合、国力格差は徐々に縮まっていきます。

「これって、まずくねぇ」

 そんな風にアメリカが考えたのも、事実だろうと思います。アメリカとしては、石油輸出禁止して、日本経済を締め上げ、大陸に関して譲歩を引き出すのが、良心的なアメリカの行動です。まぁ、日本側は、譲歩ができない状況でしたので、結果としては変わらなかったとは思いますが、開戦時期そのものは遅れることになります。
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