琉球お爺いの綺談

Ittoh

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人は、神か獣か

Nation、Ethnic、国民とは?

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 日本人という存在は、縄文期から一万年以上の歳月をかけて、陛下に「まつろう民」として、Nationになっていったモノ達である。
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 海幸彦、山幸彦の神話からすれば、山幸彦と海の民が婚姻を結び、「里の民」が生まれたことで、「まつろう民」が生まれたと認識できる。山幸彦に従うことで、海幸彦もまた、「まつろう民」となる。山の民と海の民を繋ぐ存在として、里の民が生まれたのである。ヤマト民族と呼ばれる民は、山の民:山幸彦と海の民:豊玉姫から生まれた一族ということになる。海の民と競合していた、海幸彦が山幸彦を抑え従わせるのは、海の民との関係を継続させるためと推定される。

 日ノ本でNationと呼ぶ場合、山の民と海の民が契ることで生まれた「里の民」であるが、山の民と海の民は祖霊であり、「山の神」「海の神」という扱いをするようになった。時代が下ると、「山の神」が眷属、「海の民」が眷属という形になる。どちらも、欧米的な定義としては、Ethnicとなるが、Nationの祖霊でもある。

 日ノ本では、欧米的な定義で言えば、多民族国家であるが、「まつろう民」という形としては、単一民族国家という形になる。これは、日本の国家設立を、どの時期にとるかによって異なる。

 弥生期から古墳期が、日ノ本の古代であり、ヤマトによる、国家が形成される過程でもある。国譲り神話、四海将軍による四道制覇、ヤマトタケルの伝説、青葉山の鬼退治、これらの伝承は、国家形成の過程で生じた伝承である。

 日ノ本の国家形成は、国府の設立、「古事記」編纂、国分寺の建立、「風土記」編纂の中で確立していった。

 「最初の国史」として「古事記」を捉えれば、和銅5年712年
 日本制覇完了の仕上げとして、地誌を確定させる「風土記」編纂とすれば、「古風土記」和銅6年5月甲子ユリウス暦713年5月30日ということになる。
 国府の設置に始まり、国分寺の建立で完成とすれば、天平13年《741年》ということになる。

 大雑把な日本国成立は、和銅5年712年から遅くても天平13年741年ということになる。これ以降でNationという考え方をすれば、陸奥から薩摩までに住まうモノすべて、Nationという結論になる。

 日ノ本が、日ノ本にあった、出雲、越、備、丹といった様々な多民族国家の一つに始まったということであれば、さらに1000年くらい遡ることになる。この時期を国家設立として、Nationを規定する場合、日ノ本は多民族国家ということになる。

 つまりは、日本を多民族国家と呼ぶか、単一民族国家と呼ぶかは、日本国設立を何時に捉えるかである。北海道、沖縄を加えて、単一民族とすれば、日本国の国家設立は、明治期までずれ込むことになる。北海道、沖縄をEthnicと定義するのであれば、国家成立は和銅から天平西暦700年代であり、近畿の一部と北九州あたりをNationとすれば、紀元前1000年くらいに、日本が生まれたことになる。

 明治日本が成立した時に規定した、紀元前660年を皇紀元年として、皇紀2679年2019年とすれば、日本国は多民族国家ということになる。お爺ぃとしては、里の民がNationとして生まれ、山の民、海の民がEthnicとなり、多民族国家として日本が生まれたという考え方が好みである。NationとEthnicを区別することが困難になるくらいに、数千年の歴史が流れる中で、混血が進んだ多民族国家が日本なのである。

 世界最古の国家であり、結果としてNationとEthnicの閾値が変動する国家、それが日本である。
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