155 / 511
経世済民は夢か
プロジェクトとオペレーション
しおりを挟む
関東大震災後の復興事業は、天災への対応であり、国家主導による復興が行われたのは事実である。
経世済民の本懐の一つが、天災に対する対応であり、復興支援の在り方であろう。3.11東日本大震災においても同じであり、非常に多くの方々の支援があり、現在も支援が継続することで、復興事業が継続されている。震災が記憶になるということは、徐々にコスト負担が増加することであり、復興の継続は困難になっていく。
震災に対して、復興事業というのは、プロジェクトである。プロジェクトには、始まりと終わりを定義して、きちんと完了させる必要がある。
日本の政府と言うモノは、戦前戦後に関係なく、始めるのは好きだけれど、終わるのは嫌う人が多い。終わる前に、次のプロジェクトが追加されると、プロジェクトがプロジェクトを生み出すことになり、延々とプロジェクトが継続されていく状況が発生する。官僚のお仕事というのは、紙を増やすこと、という言い方があった。紙とは、事務所類のことである。大規模なプロジェクトを実行するためには、当たり前であるが大量の事務書類が必要となる。プロジェクトの開始時期は、必要とされる書類数に対して、効果が高く予算も効率的に消化することができる。プロジェクトが一定の成果を収めていくに従って、必要とされる書類数が増加するけれど、プロジェクトの効率は低下していく。これは、同一効果を上げるために、必要となるコストが増加するためである。
関東大震災の時も、震災復興は、非常に多くの資金を必要としましたが、国債の発行を含めて、資金を確保することが非常に大変であったのです。関東大震災当時は、国庫にあまり金が無くて、国債を欧米諸国家に購入してもらう必要があり、予算を確保することが困難であったのは事実です。
例として言えば、天災による被害を受けた人、全員に見舞金を支払うというのは、必要とされる書類数に対して、対象となる人数も多く、効果は非常に高い状況となる。だが、復興が進むと、当初の見舞金で不足する事態が、当たり前に生じる。この時期になると、不足する金額には、ケースごとに違いが生じ、一律に対応することが困難になり、必要となる書類が増加するが、対応できる対象者数は低下していく。つまり、書類数の増加に対して、コストが増加して、効果が低下していくのである。
<<<<<>>>>>
これが、震災復興の課題である。
<<<<<>>>>>
震災復興というのは、本来はプロジェクトであるが、終了の見えないプロジェクトなのである。プロジェクトは終了の明確化が必要であるが、終了の定義は人によって異なり、日本の場合、震災復興プロジェクトは、際限なく継続されていくことになる。プロジェクトは、最終的にオペレーションに転換する必要がある。つまりは、恒常業務として、継続的に活動を行うということである。
オペレーションは、恒常業務であり、プロセスに終わりはなくなり、業務は永遠に継続していくことになる。日本の場合、毎年台風が吹き荒れるような震災大国でもあるので、震災業務と考えれば、オペレーション業務へ移行しても、それほど大きな問題とはならない。しかしながら、単独の関東大震災という業務が、オペレーション業務に移行すると、震災対象者が一人もいなくなるまで、オペレーションは継続され、業務は拡大する一方となる。
プロジェクトからオペレーションへの移行は、それほどに上手くいくものではない。
これは、戦争も同じだったりする。終了が明確に定義されたプロジェクトであれば、明確に終了を確定させることができる。
日露戦争を考えると、始まりをロシア皇太子ニコライ暗殺未遂事件とするという考え方があります。いわゆる、大津事件です。オーストリア皇太子がセルビアの青年に殺される事件が、最終的に第一次世界大戦の発端なのだとすれば、日露戦争の発端を大津事件とするのも、理解できない話ではない。
戦争の場合は、終了は明確化されることが多いが、始まりはあまり明瞭に規定することが難しいことが多い。特に、何故、戦争になったのかを遡ると、戦争の開始時期は、明確に定めることが難しくなる。
近代以降の戦争というモノは、恒常的な外交という、通常のオペレーションの中で、国交関係が悪化していって、最終的に戦争が発生した結果となる。外交というオペレーションの中で、オペレーションで対応できない、戦闘というイレギュラーが発生した時に、イレギュラーへ対応するために実行されるのが、戦争というプロジェクトとなる。
<<<<<>>>>>
外交はオペレーション、戦争はプロジェクト
<<<<<>>>>>
経世済民の本懐の一つが、天災に対する対応であり、復興支援の在り方であろう。3.11東日本大震災においても同じであり、非常に多くの方々の支援があり、現在も支援が継続することで、復興事業が継続されている。震災が記憶になるということは、徐々にコスト負担が増加することであり、復興の継続は困難になっていく。
震災に対して、復興事業というのは、プロジェクトである。プロジェクトには、始まりと終わりを定義して、きちんと完了させる必要がある。
日本の政府と言うモノは、戦前戦後に関係なく、始めるのは好きだけれど、終わるのは嫌う人が多い。終わる前に、次のプロジェクトが追加されると、プロジェクトがプロジェクトを生み出すことになり、延々とプロジェクトが継続されていく状況が発生する。官僚のお仕事というのは、紙を増やすこと、という言い方があった。紙とは、事務所類のことである。大規模なプロジェクトを実行するためには、当たり前であるが大量の事務書類が必要となる。プロジェクトの開始時期は、必要とされる書類数に対して、効果が高く予算も効率的に消化することができる。プロジェクトが一定の成果を収めていくに従って、必要とされる書類数が増加するけれど、プロジェクトの効率は低下していく。これは、同一効果を上げるために、必要となるコストが増加するためである。
関東大震災の時も、震災復興は、非常に多くの資金を必要としましたが、国債の発行を含めて、資金を確保することが非常に大変であったのです。関東大震災当時は、国庫にあまり金が無くて、国債を欧米諸国家に購入してもらう必要があり、予算を確保することが困難であったのは事実です。
例として言えば、天災による被害を受けた人、全員に見舞金を支払うというのは、必要とされる書類数に対して、対象となる人数も多く、効果は非常に高い状況となる。だが、復興が進むと、当初の見舞金で不足する事態が、当たり前に生じる。この時期になると、不足する金額には、ケースごとに違いが生じ、一律に対応することが困難になり、必要となる書類が増加するが、対応できる対象者数は低下していく。つまり、書類数の増加に対して、コストが増加して、効果が低下していくのである。
<<<<<>>>>>
これが、震災復興の課題である。
<<<<<>>>>>
震災復興というのは、本来はプロジェクトであるが、終了の見えないプロジェクトなのである。プロジェクトは終了の明確化が必要であるが、終了の定義は人によって異なり、日本の場合、震災復興プロジェクトは、際限なく継続されていくことになる。プロジェクトは、最終的にオペレーションに転換する必要がある。つまりは、恒常業務として、継続的に活動を行うということである。
オペレーションは、恒常業務であり、プロセスに終わりはなくなり、業務は永遠に継続していくことになる。日本の場合、毎年台風が吹き荒れるような震災大国でもあるので、震災業務と考えれば、オペレーション業務へ移行しても、それほど大きな問題とはならない。しかしながら、単独の関東大震災という業務が、オペレーション業務に移行すると、震災対象者が一人もいなくなるまで、オペレーションは継続され、業務は拡大する一方となる。
プロジェクトからオペレーションへの移行は、それほどに上手くいくものではない。
これは、戦争も同じだったりする。終了が明確に定義されたプロジェクトであれば、明確に終了を確定させることができる。
日露戦争を考えると、始まりをロシア皇太子ニコライ暗殺未遂事件とするという考え方があります。いわゆる、大津事件です。オーストリア皇太子がセルビアの青年に殺される事件が、最終的に第一次世界大戦の発端なのだとすれば、日露戦争の発端を大津事件とするのも、理解できない話ではない。
戦争の場合は、終了は明確化されることが多いが、始まりはあまり明瞭に規定することが難しいことが多い。特に、何故、戦争になったのかを遡ると、戦争の開始時期は、明確に定めることが難しくなる。
近代以降の戦争というモノは、恒常的な外交という、通常のオペレーションの中で、国交関係が悪化していって、最終的に戦争が発生した結果となる。外交というオペレーションの中で、オペレーションで対応できない、戦闘というイレギュラーが発生した時に、イレギュラーへ対応するために実行されるのが、戦争というプロジェクトとなる。
<<<<<>>>>>
外交はオペレーション、戦争はプロジェクト
<<<<<>>>>>
0
お気に入りに追加
14
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/horror.png?id=d742d2f035dd0b8efefe)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる