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伊豆綺談
女護島紀行4 女護島の宵闇は淫らに過行く
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日々様相が変わり還る、月に映る昏き海で樹は、海のすべてで夫達に抱かれているような気分になれる、良き海であった。イシバ様に包まれながら、いつものように夫達に抱かれていった。子種を受け、それこそ、女のすべてを捧げるように、夫達と抱き合って、イシバ様に愛されて、子種をそれこそ、女のすべてで受け止めるように、夫達を受け入れていた。
善がり、逝って荒れ狂う嵐に抱かれ、木の葉のように突き抜かれた肢体は、ゆっくりと漂う波間でイシバ様に抱かれていた。
「イシバ様。どうであった、為朝殿は」
夫達の子種を溢れる様に受けて、たゆたう海で、夫達に支えられながら樹が訊く。
「このうえなき剛の者よ」
「そうじゃ、気の巡らせ方も凄いものじゃった」
「良き夫となろうな」
夫達の声に、考え込んでいたイシバは、
「確かにこのうえなき剛の者なれど、まつろわぬ者じゃな」
そのように応えた。
「まつろわぬ者か」
樹が繰り返す言葉に、イシバが言葉を繋ぐ。
「為朝という者。国の枠、一族が枠、そんな枠の中では生きられぬ。奔放なる者じゃ」
樹が少し考え込むようにしていたが、イシバがさらに言葉を繋ぐ、
「だが、おそらくは、竜姫の方が、昏く深い闇を抱えておるぞ」
玲について、イシバは語った。
玲については、樹も噂で聞いていた。渡辺惣官家たる本家嫡女が、竜家に差し出されたと。器の大きさ力も本家嫡子として申し分なき者であったが、ただ、あやかしに見え過ぎるが故に、猶子に出されたのだと。
「互いを求め欲しがるほどに、、、竜姫は、人として、渡辺惣官家たる本家を継ぐ血筋でありながら、竜家に差し出された姫だからねぇ。イシバ様」
「人としての地位を棄てさせられたか、美しき竜の肌も、人には良くないようじゃな、樹。残念なことよ」
あやかしの血が強すぎれば、人として見て貰えなくなる。人の母が子は人であり、あやかしが母の子はあやかしが人の定めた格式であっても、血が強く出過ぎれば、難しき立場の子となるのであった。
「将には、荷が重いかねぇ」
「はははは、我が子を見くびるな。我が妻よ。我らの子、将は、かの姫の昏き闇を超えるほどには、暖かき光を持つ男ぞ」
「ははは、そうかい。まぁ、あの子が決めることだからねぇ。琉威もまぁ自分で選ぶのであればというとこだねぇ」
少し、心配そうに笑って言った。
「明日は、出立を見送るのであろう。休むか」
「楼や斉達は」
夫達の名を呼んだ
「既に休んでおるよ」
樹は、賀茂斎宮より遣わされ、イシバに身を捧げて、この十数年を生きて来た。そんな想いが、言葉を紡いだ。
「のぉ、イシバ様」
「どうした、樹」
「あたしは、幸せだよ。京洛より、この地に訪れて、貴方や夫達の妻となれたこと」
「ならば嬉しい、我が望みは、ミヅチの血をひく者を護りたいだけよ」
さらに言葉を繋いで、
「樹のおかげで、子らが増えた」
樹は、賀茂斎宮の寄進領となったこの島を護っていた。不定期で行われた、初穂狩りと巣立ちの儀を年に一度の祭りとして、親島との交流を図ると共に、親島にミズチ衆の血を入れていった。この十年程で、年に数十人のミズチが親島に嫁ぎ、数十人の女が姫島に嫁いで来ていた。
万に届かぬ島であるが、ミヅチの血を引く家が半数を占める様になったのである。
「あたしの望みは、この島でミズチの子を育て護ること」
「この島から、親島へ嫁いだものも千を超えたからねぇ。親島に子供達が何人いるかもわからないくらいだよ」
「この島での、巣立ちも千を越えたな」
イシバが、感慨深そうに言う。
「今度は、親島でなく、他の島にも移っていきそうだね、イシバの血が」
今度のことで、伊豆の島々へもミヅチの子等が拡がっていきそうであった。
「そうだな」
「ねぇ、イシバ様。賀茂斎宮は、次代の斎宮を送ると文を持ってきました」
「何、そなたがおるのにか」
「斎宮外院の任期は一回り十二年、わたしは後五年で、二回りとなります」
「そなたは、京洛へ還るのか」
「還りません、普段、服を幾重にも着るような面倒な生活は御免ですよ。よろしいですか、イシバ様」
これは、賀茂斎宮家分院をこの地に作ることを意味していた。樹が子は、女であれば斎院補となり、男であれば、斎院司となる。
「我は、そなたが、居てくれるのが嬉しい」
大きな体を樹に寄せて、イシバが応える。そんな、イシバへ樹は、
「イシバ様、次の斎宮外院斎皇を抱いてあげてくださいね」
役儀として訪れる、賀茂斎宮家の娘にとって、イシバとの契りは、必要不可欠なものであった。
「そなたは、どうする」
「楼や斉、烈、漂、蓮が良ければ、彼らや子等と司家をなします。女護島斎宮家に仕える司となりましょう、南へ池や畑を増やせば、さらに百人程は、この島で暮らせましょう」
ミヅチによって広大な海域で漁をおこなう、女護島の海産物は、親島で加工され、難波湊から各地へと送られていた。
イシバは、難しそうな顔となって、
「年越しの儀は、どうする」
樹は、答えて、
「年越しの儀は、斎皇の勤めですよ、イシバ様、できぬ斎皇は、京洛へ返します」
斎宮家に寄進された荘園は、遠方も多かったため、重要な荘園には、外院を立てて対応していた。つまりは、賀茂斎宮家より、斎皇を妻として、現地有力者へ送り、子を為させることで、御厨を維持していたのである
年越しの儀は、間引きの儀であった。ミヅチ衆で人の姿を取れぬ者達を間引くことが、年越しの儀として行われていたのである。
女護島は、南方の砂糖黍や丁子などの薬樹を生産する拠点であると同時に、親島では、ミヅチ衆が外洋で漁をおこなって得た様々な海産物の加工をおこなって利益を上げていた。また、ミズチという高速で海域を移動する手段を有することで、通信連絡の拠点に使われていた。
ミヅチ衆が長の屋敷は、非常に広かった。木で組むのではなく、柱すらも白漆喰で固められていた。書院造りのように柱を立てていたが、三間ではなく、三丈間隔で一抱えありそうな柱が建てられていた。大ミズチが蜷局を巻いて住まえるように造られていた。広く七丈十丈ほどの大きさだが、岩に載っているのは半分ほどで、後は、水に柱を立てていた。
「しかし、広いなぁ。琉威」
「ここは頑丈に造られているから、台風のような大嵐が来たら、村の女達はここに逃げ込む場所ともなっているからね」
「男達は、海に住まうか。琉威」
「ここにいるミズチ衆は、人の姿をとれないミズチも多いからね」
「何、琉威。ミズチは、人の姿になれるのではないか」
「最近は京洛でも、人の姿がとれぬあやかしが増えているって母様が言ってたよ、知らなかったのかい」
「俺は、暴れ者でな。京洛を追い出されて、戦の時にしか、京洛に呼ばれなかったからな」
「京洛では、狐や兎は普段から、耳を出しているんだろ」
「ん。当たり前ではないのか」
為朝が不思議そうに訊くと、
「ははは、為朝さは、見てたけど、気づかなかったんだ。耳を出しているのは、できないんだよ」
「ん。普通に話してたし、話しかけると、向こうは嬉しそうだったな」
「あやかしには、嬉しいさ、好きだよ。為朝」
キスを交わす、傍に控えていた、冴や瞳が我慢できずに抱き着いて来ると、流石にきつくなっていった。三人合わせると、百貫を軽く超えるのである。
「さすがに、きついな」
「ははは、なら、池に行こう、為朝」
琉威が、手を引いて、奥の間から扉を開くと、池に飛び込んだ。
「さ、為朝さぁもね」
瞳と冴が為朝を突き飛ばすように、池へと落として、そのまま二人とも飛び込んでいった。
琉威が、為朝を水の中で抱きしめて、キスをして抱き合っていくと、冴が、為朝の下帯を解いて、そのままいきり立ったものを頬張っていった。瞳が遅れたので、為朝の後ろからまわって、菊門へキスタッチしていった。
水中では、琉威達の体重は減ったようだった。軽々と為朝に抱かれていく。
「水中では、軽いのだな。変わるのか琉威」
「良く判らないけど、そうだね。ミヅチは、大きくなれば、相手とは浜で抱かれるのさ」
為朝は、身体の芯奥から、快感が突きあげるように、淫らに溢れていくと、琉威を抱いて山側の岩壁に泳いで向かった。山側は急な場所もあるけど水深が浅くなっていて足が付いた、二メートルの巨躯を持つ為朝は、頭だけ出た状態で、琉威の身体を水の中に入れたまま、後ろから突き入れて、突き抜いていった。冴と瞳がキスを求めて三人でキスを交わしていった。琉威に子種を放つと、冴と瞳を重ねて押し倒し、欲望を突き入れ、本当の意味で突き抜いて、突き抜いて、突き抜いて、愛し合った。
三人のミズチを代わる代わる抱き寄せては、抱きしめて突き抜いて、子種を放っていった。寝待ちの月が大きく西へ傾く頃に、少し息を整えるように、岩肌へ背中を預けていた。
「ほんに、為朝は、凄いなぁ」
琉威が、背中から為朝を抱きしめるようにして下から支えて、為朝の頭を股の上に乗せていた。冴と瞳が、横で疲れて眠っていた。
「さすがに三人は、きついものだな琉威」
「ミズチの女は、情欲に溢れているからね。でもミヅチ三人を相手できる男は、聞いたことが無いよ」
「そうか、俺は必死でお前達を満足させたいと思っただけだぞ」
「為朝は、嬉しいことを言うねぇ」
琉威は、腰に抱いた為朝へキスをしていった。
「なあ、琉威。俺は嬉しいんだけど、島に残らなくても良いのか、斎皇の後継ではないか」
「まぁ、そうだね、為朝。母様には悪いけど、あたしは斎皇にはなれないからね。逃げ出したいのさ」
「島から出たいのか、琉威」
「母様は、凄い。あたしの誇りだ、でもあたしにはできないことがあるんだよ」
「何かあるのか。琉威」
「為朝。さっき、人になれないミヅチがいるって言ったろ」
琉威が言葉を繋いで、
「女護島はね、人の姿をとれないミヅチを集めて暮らせるようにするために、母様が造ったのさ。
ミズチと契りを交わした女達をミヅチと一緒に姫島へ、島に住んでいて人の姿をとれるものを親島へってね」
ミヅチ衆が多い、親島であっても、人はそうそう巨大なあやかしを受け入れられるわけではない。そういった事情を踏まえて、樹が、女護島を造り変えたということらしい。
「女護島はそうやってできたのか、琉威」
「そうさ、為朝。この島にいるのは、女達とミズチだけだからね」
「親島に居るのは、人の姿をした者達、あれ」
為朝が気づいたように、言葉を繋いで、
「人の姿がとれないミズチの娘は」
琉威へ訊くと、
「それが母様の務め、年越しの儀さ」
間引き、生きれる場所を得られぬ者を
「厳しいのだな、琉威。この島で生きることは」
「それが、海で生きるってことだって、教えられたよ」
「そうか、海で生きるか。どんどん、教えてくれ、琉威」
「良いけど、為朝は、どうして知りたいのさ」
為朝は、琉威に
「おれは、海で生きて行きたい。だから、教えてくれ」
そう告げた。
「為朝は、船を持つのかい」
「あぁ、松浦の大船を見たからな、あんな船が欲しい」
「毎年、この島に来る大船みたいな奴かい、イシバ様みたいに大きな奴」
「そうだ」
「あんな船だったら、あたいも乗れるかな」
「大丈夫だ、五十貫くらいの酒樽を何個も積んでいたからな」
「良いのかい、あたしが乗ると、酒樽が減るよ」
「琉威や冴、瞳のためだったら、いいさ」
「ありがとう、嬉しいよ」
為朝は、振り向く様に琉威の女陰へ顔を埋めて、琉威は淫らに喘ぎはじめ、寝待ち月の夜は淫らに燃えて滾るのでありました。
善がり、逝って荒れ狂う嵐に抱かれ、木の葉のように突き抜かれた肢体は、ゆっくりと漂う波間でイシバ様に抱かれていた。
「イシバ様。どうであった、為朝殿は」
夫達の子種を溢れる様に受けて、たゆたう海で、夫達に支えられながら樹が訊く。
「このうえなき剛の者よ」
「そうじゃ、気の巡らせ方も凄いものじゃった」
「良き夫となろうな」
夫達の声に、考え込んでいたイシバは、
「確かにこのうえなき剛の者なれど、まつろわぬ者じゃな」
そのように応えた。
「まつろわぬ者か」
樹が繰り返す言葉に、イシバが言葉を繋ぐ。
「為朝という者。国の枠、一族が枠、そんな枠の中では生きられぬ。奔放なる者じゃ」
樹が少し考え込むようにしていたが、イシバがさらに言葉を繋ぐ、
「だが、おそらくは、竜姫の方が、昏く深い闇を抱えておるぞ」
玲について、イシバは語った。
玲については、樹も噂で聞いていた。渡辺惣官家たる本家嫡女が、竜家に差し出されたと。器の大きさ力も本家嫡子として申し分なき者であったが、ただ、あやかしに見え過ぎるが故に、猶子に出されたのだと。
「互いを求め欲しがるほどに、、、竜姫は、人として、渡辺惣官家たる本家を継ぐ血筋でありながら、竜家に差し出された姫だからねぇ。イシバ様」
「人としての地位を棄てさせられたか、美しき竜の肌も、人には良くないようじゃな、樹。残念なことよ」
あやかしの血が強すぎれば、人として見て貰えなくなる。人の母が子は人であり、あやかしが母の子はあやかしが人の定めた格式であっても、血が強く出過ぎれば、難しき立場の子となるのであった。
「将には、荷が重いかねぇ」
「はははは、我が子を見くびるな。我が妻よ。我らの子、将は、かの姫の昏き闇を超えるほどには、暖かき光を持つ男ぞ」
「ははは、そうかい。まぁ、あの子が決めることだからねぇ。琉威もまぁ自分で選ぶのであればというとこだねぇ」
少し、心配そうに笑って言った。
「明日は、出立を見送るのであろう。休むか」
「楼や斉達は」
夫達の名を呼んだ
「既に休んでおるよ」
樹は、賀茂斎宮より遣わされ、イシバに身を捧げて、この十数年を生きて来た。そんな想いが、言葉を紡いだ。
「のぉ、イシバ様」
「どうした、樹」
「あたしは、幸せだよ。京洛より、この地に訪れて、貴方や夫達の妻となれたこと」
「ならば嬉しい、我が望みは、ミヅチの血をひく者を護りたいだけよ」
さらに言葉を繋いで、
「樹のおかげで、子らが増えた」
樹は、賀茂斎宮の寄進領となったこの島を護っていた。不定期で行われた、初穂狩りと巣立ちの儀を年に一度の祭りとして、親島との交流を図ると共に、親島にミズチ衆の血を入れていった。この十年程で、年に数十人のミズチが親島に嫁ぎ、数十人の女が姫島に嫁いで来ていた。
万に届かぬ島であるが、ミヅチの血を引く家が半数を占める様になったのである。
「あたしの望みは、この島でミズチの子を育て護ること」
「この島から、親島へ嫁いだものも千を超えたからねぇ。親島に子供達が何人いるかもわからないくらいだよ」
「この島での、巣立ちも千を越えたな」
イシバが、感慨深そうに言う。
「今度は、親島でなく、他の島にも移っていきそうだね、イシバの血が」
今度のことで、伊豆の島々へもミヅチの子等が拡がっていきそうであった。
「そうだな」
「ねぇ、イシバ様。賀茂斎宮は、次代の斎宮を送ると文を持ってきました」
「何、そなたがおるのにか」
「斎宮外院の任期は一回り十二年、わたしは後五年で、二回りとなります」
「そなたは、京洛へ還るのか」
「還りません、普段、服を幾重にも着るような面倒な生活は御免ですよ。よろしいですか、イシバ様」
これは、賀茂斎宮家分院をこの地に作ることを意味していた。樹が子は、女であれば斎院補となり、男であれば、斎院司となる。
「我は、そなたが、居てくれるのが嬉しい」
大きな体を樹に寄せて、イシバが応える。そんな、イシバへ樹は、
「イシバ様、次の斎宮外院斎皇を抱いてあげてくださいね」
役儀として訪れる、賀茂斎宮家の娘にとって、イシバとの契りは、必要不可欠なものであった。
「そなたは、どうする」
「楼や斉、烈、漂、蓮が良ければ、彼らや子等と司家をなします。女護島斎宮家に仕える司となりましょう、南へ池や畑を増やせば、さらに百人程は、この島で暮らせましょう」
ミヅチによって広大な海域で漁をおこなう、女護島の海産物は、親島で加工され、難波湊から各地へと送られていた。
イシバは、難しそうな顔となって、
「年越しの儀は、どうする」
樹は、答えて、
「年越しの儀は、斎皇の勤めですよ、イシバ様、できぬ斎皇は、京洛へ返します」
斎宮家に寄進された荘園は、遠方も多かったため、重要な荘園には、外院を立てて対応していた。つまりは、賀茂斎宮家より、斎皇を妻として、現地有力者へ送り、子を為させることで、御厨を維持していたのである
年越しの儀は、間引きの儀であった。ミヅチ衆で人の姿を取れぬ者達を間引くことが、年越しの儀として行われていたのである。
女護島は、南方の砂糖黍や丁子などの薬樹を生産する拠点であると同時に、親島では、ミヅチ衆が外洋で漁をおこなって得た様々な海産物の加工をおこなって利益を上げていた。また、ミズチという高速で海域を移動する手段を有することで、通信連絡の拠点に使われていた。
ミヅチ衆が長の屋敷は、非常に広かった。木で組むのではなく、柱すらも白漆喰で固められていた。書院造りのように柱を立てていたが、三間ではなく、三丈間隔で一抱えありそうな柱が建てられていた。大ミズチが蜷局を巻いて住まえるように造られていた。広く七丈十丈ほどの大きさだが、岩に載っているのは半分ほどで、後は、水に柱を立てていた。
「しかし、広いなぁ。琉威」
「ここは頑丈に造られているから、台風のような大嵐が来たら、村の女達はここに逃げ込む場所ともなっているからね」
「男達は、海に住まうか。琉威」
「ここにいるミズチ衆は、人の姿をとれないミズチも多いからね」
「何、琉威。ミズチは、人の姿になれるのではないか」
「最近は京洛でも、人の姿がとれぬあやかしが増えているって母様が言ってたよ、知らなかったのかい」
「俺は、暴れ者でな。京洛を追い出されて、戦の時にしか、京洛に呼ばれなかったからな」
「京洛では、狐や兎は普段から、耳を出しているんだろ」
「ん。当たり前ではないのか」
為朝が不思議そうに訊くと、
「ははは、為朝さは、見てたけど、気づかなかったんだ。耳を出しているのは、できないんだよ」
「ん。普通に話してたし、話しかけると、向こうは嬉しそうだったな」
「あやかしには、嬉しいさ、好きだよ。為朝」
キスを交わす、傍に控えていた、冴や瞳が我慢できずに抱き着いて来ると、流石にきつくなっていった。三人合わせると、百貫を軽く超えるのである。
「さすがに、きついな」
「ははは、なら、池に行こう、為朝」
琉威が、手を引いて、奥の間から扉を開くと、池に飛び込んだ。
「さ、為朝さぁもね」
瞳と冴が為朝を突き飛ばすように、池へと落として、そのまま二人とも飛び込んでいった。
琉威が、為朝を水の中で抱きしめて、キスをして抱き合っていくと、冴が、為朝の下帯を解いて、そのままいきり立ったものを頬張っていった。瞳が遅れたので、為朝の後ろからまわって、菊門へキスタッチしていった。
水中では、琉威達の体重は減ったようだった。軽々と為朝に抱かれていく。
「水中では、軽いのだな。変わるのか琉威」
「良く判らないけど、そうだね。ミヅチは、大きくなれば、相手とは浜で抱かれるのさ」
為朝は、身体の芯奥から、快感が突きあげるように、淫らに溢れていくと、琉威を抱いて山側の岩壁に泳いで向かった。山側は急な場所もあるけど水深が浅くなっていて足が付いた、二メートルの巨躯を持つ為朝は、頭だけ出た状態で、琉威の身体を水の中に入れたまま、後ろから突き入れて、突き抜いていった。冴と瞳がキスを求めて三人でキスを交わしていった。琉威に子種を放つと、冴と瞳を重ねて押し倒し、欲望を突き入れ、本当の意味で突き抜いて、突き抜いて、突き抜いて、愛し合った。
三人のミズチを代わる代わる抱き寄せては、抱きしめて突き抜いて、子種を放っていった。寝待ちの月が大きく西へ傾く頃に、少し息を整えるように、岩肌へ背中を預けていた。
「ほんに、為朝は、凄いなぁ」
琉威が、背中から為朝を抱きしめるようにして下から支えて、為朝の頭を股の上に乗せていた。冴と瞳が、横で疲れて眠っていた。
「さすがに三人は、きついものだな琉威」
「ミズチの女は、情欲に溢れているからね。でもミヅチ三人を相手できる男は、聞いたことが無いよ」
「そうか、俺は必死でお前達を満足させたいと思っただけだぞ」
「為朝は、嬉しいことを言うねぇ」
琉威は、腰に抱いた為朝へキスをしていった。
「なあ、琉威。俺は嬉しいんだけど、島に残らなくても良いのか、斎皇の後継ではないか」
「まぁ、そうだね、為朝。母様には悪いけど、あたしは斎皇にはなれないからね。逃げ出したいのさ」
「島から出たいのか、琉威」
「母様は、凄い。あたしの誇りだ、でもあたしにはできないことがあるんだよ」
「何かあるのか。琉威」
「為朝。さっき、人になれないミヅチがいるって言ったろ」
琉威が言葉を繋いで、
「女護島はね、人の姿をとれないミヅチを集めて暮らせるようにするために、母様が造ったのさ。
ミズチと契りを交わした女達をミヅチと一緒に姫島へ、島に住んでいて人の姿をとれるものを親島へってね」
ミヅチ衆が多い、親島であっても、人はそうそう巨大なあやかしを受け入れられるわけではない。そういった事情を踏まえて、樹が、女護島を造り変えたということらしい。
「女護島はそうやってできたのか、琉威」
「そうさ、為朝。この島にいるのは、女達とミズチだけだからね」
「親島に居るのは、人の姿をした者達、あれ」
為朝が気づいたように、言葉を繋いで、
「人の姿がとれないミズチの娘は」
琉威へ訊くと、
「それが母様の務め、年越しの儀さ」
間引き、生きれる場所を得られぬ者を
「厳しいのだな、琉威。この島で生きることは」
「それが、海で生きるってことだって、教えられたよ」
「そうか、海で生きるか。どんどん、教えてくれ、琉威」
「良いけど、為朝は、どうして知りたいのさ」
為朝は、琉威に
「おれは、海で生きて行きたい。だから、教えてくれ」
そう告げた。
「為朝は、船を持つのかい」
「あぁ、松浦の大船を見たからな、あんな船が欲しい」
「毎年、この島に来る大船みたいな奴かい、イシバ様みたいに大きな奴」
「そうだ」
「あんな船だったら、あたいも乗れるかな」
「大丈夫だ、五十貫くらいの酒樽を何個も積んでいたからな」
「良いのかい、あたしが乗ると、酒樽が減るよ」
「琉威や冴、瞳のためだったら、いいさ」
「ありがとう、嬉しいよ」
為朝は、振り向く様に琉威の女陰へ顔を埋めて、琉威は淫らに喘ぎはじめ、寝待ち月の夜は淫らに燃えて滾るのでありました。
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