猫のお知らせ屋

もち雪

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夏休み

不意な出会い

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 知っている誰かの声が僕に問いかける。

 知っている誰かの声は優しくて、僕を安心させる。でも、彼に聞かれる事は明かしてはならない秘密の事……だった気がする? 

 その記憶の扉には鍵がかかっていて僕を不安にさせる。たぶん、それだけの事のはずだ。僕が不安をにさせるのは……。

 でも、優しい声の誰かは、その扉に手をかけ、すでに隙間は少し開いていた。

「僕が歩いていると、あずき先輩にあったんた。あずきは、俺達は山猫だから猫みたいに可愛く無くていいよって言って、僕をある場所に連れて行ってくれた……」

「それはどこ?」
 優しい声が、僕に尋ねる。やっぱりどこかで聞いた事のある声……。

「貴方は誰?」

「あっ瑠璃るりです。いつも、ちゃろちゃん、めろちゃんがお世話になっております」

「こちらこそ、いつもお世話になっておりましゅう」
 そこで、僕は目が覚める。僕は、ベンチの上に寝かされて身動きが取れない。

 目の前に、るりくんとめろちゃんがいる。

「るりちゃん、起きちゃってるね」

「そうだね……あそこで、挨拶したのが駄目だったみたい。逆に、言えば挨拶すれば起こせるのか……」

「助けてくだしゃい……」僕は、少しびっくりして泣いてしまった。僕は、家にいたはずなのに、なぜ、公園のベンチで動けなくなっているのか?

「瑠璃、めろちゃん……あっ稲穂、起きたんだ? 稲穂おはよう――、そしてあずきと冬至君瑞穂父がすぐに来てくれるらしいわよ」

 そうしてちゃろちゃんは、携帯を鞄の中にしまった。そうして僕のお腹に優しい触れる、そのとたんに僕は動ける様になった。僕は、体を持ち上げて辺りを見回すが、見覚えがない……。明るさ的に、まだ午前中なのだろうか?

 ベンチの空いた場所、僕の両隣りへ、すかさずちゃろちゃんと、めろちゃんが座る。少しの残った隙間、めろちゃんの隣に、るりくんが座った。
 
 最後にちゃろちゃんが、はしにつめるとみんなで、距離きょり調整ちょうせいしあって僕達はやっと一息つく。

 そしたらすかさずちゃろちゃんがお菓子を取り出して、

「一人2個ね、稲穂も赤ちゃん用おせんべいなら食べれるよね?」

「たぶん? ありがとうごじゃいます」

「どういたしまして」

 めろちゃんは、にっこり笑うとふわふわな茶色の髪の毛がふわふわしてる。

「稲穂ちゃん、好きなアイドルいる?」

「テレビ、あんまり見ないから……」

 そう言って、僕はおせんべいをパクっと食べた。パリッと音がして、優しい味わい。

「そっか……神代かみしろの猫は、普段何してるの?」

「人間の時は、お仕事とひらがなのドリルしてまふ」
 二口目を食べようとしたとき……。

「じゃあ、あずきちゃん何してるの?」

「お仕事と習字とゲームしてます……」
 次のこそは食べ……。

「あずきちゃんぽいね。いなほちゃんは、ゲームする?オンラインゲーム、今度しない?」

「おせんべいが、いつ食べていいか……わからない……」

「えっ?」
「えっ?」

「ほら、二人とも、そんな聞いたら稲穂が、ゆっくりおやつ食べられないよ」

「そうなんだ……ごめんね…稲穂」

「いなほちゃん、ゆっくり食べて、ごめんね」

 僕はおせんべいを二口目を食べた。やっぱり美味しい。僕が食べている横て、ちゃろちゃんとめろちゃんが凄く話している。るりくんは、「そうだね」「うんうんかもしれない」って話しの波に乗れている。
 
 凄い……僕は、テレビで見た事ある……サーファー……。

 るりくんは、会話の波乗りサーファー!!

 ちゃろちゃんとめろちゃんは……会話のビックウェーブ……。凄い……お知らせ屋を、きわめるとここまで………………。

 あっ……でも、あずき先輩が、違うから違うか……。

「稲穂、どうしたの? そんなに目を見開いて? 、そんなにおせんべいが美味しい?」
 るりくんは、僕の前に屈んで聞いてくれる。

「おせんべい? おせんべいは優しい味わいで、美味しいよ」

「そうか、良かった。稲穂の名前はお米の稲穂からきていると思うから、稲穂から出来るおせんべいを君が好きなってくれて良かったよ」

「おにぎりも好き!」

「おにぎりも美味しいからね」

 そう言ってるりくんは、笑ってくれた。


 つづく
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