猫のお知らせ屋

もち雪

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夏休み

午後の休息

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 みずほちゃんは、今日の朝――。

「図書館へ行くの」と、朝ごはんの時に言った。

 ラジオ体操と朝稽古を、終えた僕は猫に戻って朝のカリカリと言うか、猫のドライフードを食べていた。

「みずほは、夏休みにもどこかへ行くんだな……」

 稽古から帰って「疲れた」と言って、テーブルに座ったあずき先輩は、朝の料理番組を見ながらそう言った。料理の先生とアナウンサーのお兄さんが、今日は夏に涼しく美味しそうなおやつを作っている。テレビから取り出せればいいのになぁ……。
 
「あずき、また作るの?」
 
「簡単ならな……」
 
 あずき先輩は、みずほちゃんに返事をしたけど、目はテレビに釘付けだ。

「あずきが、料理を作るのはいいけど、私が料理を作ると、横で何か言いたそうにしてるのは気になるんだけど――お父さんがいてもそんな事ないのに」

 みずほちゃんの愚痴より、料理番組の方が気になる様で、あずき先輩からの返事はなかった。

(みずほちゃんの気持ちわかる……)

 まぁーしかし僕達、猫は、ハンターだからきっとご飯を目の前にすると、『食べちゃうぞ』って感じが出てしまうのも仕方がないかもしれない。

 百獣、ライオンは猫科で仲間だし……。けど、あずき先輩は、食いしん坊なだけだと思うけど。

「なぁ……稲穂いなほ、俺達も漢字の勉強の本でも探しに図書館へ行くか?」

「今日はだめ! 今日はだめだよ…… 稲穂は、もう猫の姿だし、変身がとけたら稲穂はまだ思うように変身出来ないでしよ?」

 あずき先輩の提案を、みずほちゃんは慌てて否定する。なんか怪しい……。

「そっか……、稲穂、早く大人になって、しっぽをもっとはやそうなぁ」
 あずき先輩が、僕の前にアヒルさんのようにすわり、首をかしげながら僕に話しかける。
 
(アイスの為に、僕は頑張る)

稲穂いなほは、子猫の今も、十分頑張ってるからそんなに急がせなくていいの」

 みずほちゃんも、あずき先輩の横で、アヒルさんぽく座った。僕は、みずほのちゃんの足に手をかけて言う。
 ニャーン(うん、僕は頑張ってる)

 みずほちゃんは、僕を撫でてから……。

「じゃあ、行って来ようかな?」

「おう!行ってこい」 ニャン

「いってきます」

 みずほちゃんが、行ってしまった……。
 僕は寂しくなって歩いていると、ごはんの匂い……。

 ニャーン(ご飯まだたっかも?!)

「稲穂……それは、俺のだから」
 
 残念あずき先輩が、椅子に座りながら声をかけてきた。仕方ない。チラッ、見てない隙に……チラチラッ。

 それなのにカリカリは、猫のあずき先輩がもうを食べてた。,こんな時だけ早いなんてひどい!

 ……寝よう……。


   ☆★☆★☆
 

 僕が寝てると――。

「ただいま」
 もうみずほちゃんが、帰ってきた。

「おじゃまします」

「おかえりなさい、あら~駿河するがくんじゃない。ラジオ体操は、毎日来てくれるけど、家に来てくれるのは久しぶりねぇ」
 
 するがくんとお母さんの声もする。

「お母さん、駿河くんが、あずきと稲穂いなほみたいって」

「そうなの、稲穂はそこで寝てたけど、あずきは逃げちゃったかもね?」
 
 僕は、辺りを見渡すとあずき先輩は、本当にいなかった。

「やっぱりあずきは居ないみたい」みずほちゃんは残念そうにそう言うと、するがくんと、僕の前に座る。
 
「この子が稲穂くんか、人間の時は、あまりわからなかったけど、三毛猫なんだね」

 そう言って僕の頭を撫でた、するがくんは、ポケットをごそごそして何か取り出す。たぶん、食べ物、お菓子?ちょうだい。

「これ、うちの猫のおやつだけどあげていい?」

「ありがとう、1つくらいならいいよ」

「はい、稲穂くん食べていいって」

 ぴょんぷょんぴょん。百獣の王の仲間の僕は、すごいジャンプ力でするがくんのまわりを跳びまわる。するがくんはそんな僕に恐怖しおやつをくれた。

「かわいいね、食べてる」するがくんは、僕の頭をなでる。その片手で、ポケットからまた違うおやつを取り出すので――。

 僕は、片手でそのおやつも抑え込む。もしかしたら、百獣の王なるかもしれない。いや、僕が百獣の王かもしれない。百獣の王ですから――おやつは僕の物です!
 
「稲穂、1つだけだよ」
 
 おやつを貰えるはずが、取られてしまった。こっちのおやつはもう食べたしもう寝よう……。
 
「凄い力だったねぇ、久しぶりにあずきくんとも、今日も会いたかったけど居ないなら仕方ないか」

「あずきは、長く生きてるから面倒そうな時は、すぐ二階に逃げちゃから」

「じゃ……また、寝てそうな時また来るよ」

「うんうん、寝てる時は、大丈夫だと思う!」

 なんて恐ろしい事を言うんだ、君たちうっかり寝てられないな、寝てるとお菓子貰えないかもしれないじゃない。

「じゃ――今日は、ありがとうね。あっ……これあずきくんに」

「玄関まで、送ってく」

 そうして、するがくんは、「おじゃましました――」と言って帰って行った。みずほちゃんとするがくんは、ちょっと仲良くなったみたい。ふぅ~んそうなんだ。

 美味しいおやつともやもやが一緒に来て不思議な日だった。

 おわ……そう言えば、するがくんが、帰った後、すぐにあずき先輩が、すぐに二階から降りて来た。

 ちゃっかり聞いていて、にゃんにゃんと言ってみずほちゃんに、おやつもらっていたから、やっぱり先輩はただの食いしん坊なのかもね。


           おわり  
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