8 / 37
夏休み
朝の体操
しおりを挟むうちの神社の夏休み朝は早い。
何故なら6:30から朝のラジオ体操をやっているからだ。なので夏休みに前日から、夜、眠くなると人間の姿になるから、変な感じ。
「眠い」
早朝、僕は、眠い目をこすって起きる。とても眠い。
「なんで、6:30からなの眠いよ……」
僕より先に起きた、みずほちゃん朝の用意をしながら答える。
「この前の踊りのおじさんとお父さんは、朝やるラジオ体操が好きだからだよ。おじさんから、夏休み前にラジオ体操やりますか? って連絡が来て『やります』ってところに、〇するといろいろ送ってくれる仕組みみたい。だから寝てたいなら寝ててもいいよ」
「行く。そしてねこのスタンプを押すの」
僕は、鞄から出て来る制服に着替えて、鞄にパジャマをしまう。朝の準備をしてから神社の境内で、待っていると子供達がやってくる。
するがくんもたろうくんもサッカーの練習をしているのか、どんどん日に焼けて小麦色になってきている。
僕とあずき先輩は、少し離れたところで、ベンチに座りみんなの様子を見降ろしている。
(なんかちょっ寂しい気持ち)
横を見るとあずき先輩もただ、みんなを見ていた。長い黒髪をなびかせて、ベンチの座る部分を、両手で掴み。ちょっと猫背になってるあずき先輩。そんな先輩もちょっとなんだか寂しそう。
「あずき先輩、僕が来てよかったね」
「そうだな」あずき先輩が、ぽつりと言った。そしてちょっと顔をさげる……。
(あずき先輩……も寂しかったのかも……)
「ひとりは……「あずき先輩、抱っこしてあげますね」」
「調子に乗るな」
あずき先輩は、僕の帽子の先のつばの部分を下にさげて、僕がだっこをするのを邪魔した。抱っこはいいのに。ぷんぷん!
6:30になるとラジオ体操が始まる前に、朝のお勤めを早めに、すませたお父さんが出てきた。お父さんは、今日もジャージ姿、ジャージ姿もかっこいい。
「お父さ――ん」僕が、大きな声で呼ぶと、手を振ってくれた。
「あずき先輩、お父さんが、手を振ってくれたよ!……でも、みんなの前でこっちに手を振ってもいいのかな? 何人かこっちを見てたけど……」
「なら、呼ぶなよ。でも、おとうさんは、そう言うところがあるって、みんなに知られてるからいいよ。」
ラジオ体操を一生懸命やっている、あずき先輩はそう答えた。それを見て、僕も慌ててラジオ体操を始めた。
「ねぇねぇあずき先輩、地面にどんどん手が付くよ、凄い? ねぇ、凄い?」
「まぁ猫だから……、でも、凄いと思うよ。うん、けが予防にもなるんじゃないかな?」
「で、しょ――う。」うれしくなって、何度もあずき先輩を、見る。そしたらあずき先輩は、次の体操やってて、慌てて僕も真似をした。
いよいよ、最後の深呼吸。一番、深呼吸が覚えてるんだよね。もう完璧と言っていいくらい。
深呼吸が、終わると、あずき先輩が猫のはんこを押してくれる。今年は、ねろちゃんのはんこらしい。毎年違うので、人間版の時のはんこもあったらしいから、いつかそっちも見たい!
ラジオ体操の子ども達も、はんこうを貰うと次々帰って行く。少し待つと、するがくんとたろうくんが、一緒に僕たちの目の前を通って行く。
僕たちが、その後に続くと、するがくんが体の下の方で、手を振ってくれる、僕たちも手を振る。
「藤井、宿題やった?」
「俺にしては、まぁまぁやってるかな? それよりゲームしないか? これから」
僕達は、慌ててたろうくんを応援する。
「たろうくん、宿題出来て、凄い!立派だよ!」
「でも、去年の大変な日々を思い出せ! 後、少しで終わる頑張れたろうくん!」
「あっ、今日はちょと忙しいかな? 明日遊ぼうか?」するがくんも、僕達に協力してくれるようだ。僕達の視線はたろうくんに集まっている。
「じゃ……宿題やるか……」
僕達と、するがくんは、ハイタッチして喜んだ。驚いた、たろうくんに言い訳してたけど。たろうくんの勉強習慣は、出来たみたいだし。これから8月まで応援お休みだ~。
するがくんたちとは、そこでバイバイしてお別れ。
今日はおうちで、様子見?で食べていいって言われた、かき氷の氷をすこしだけー食べられる~ぅ。色の付いたシロップはないけど、きっと冷たくて幸せ。素晴らしい。
「明日から、踊りの稽古が、始まりそうだなぁ……」あずき先輩がちいさな声で、つぶやいた。
しかし幸せ気分でいた僕は、あずき先輩がそう言ったのを聞いたけどすぐ忘れた。
おわり
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
生贄姫の末路 【完結】
松林ナオ
児童書・童話
水の豊かな国の王様と魔物は、はるか昔にある契約を交わしました。
それは、姫を生贄に捧げる代わりに国へ繁栄をもたらすというものです。
水の豊かな国には双子のお姫様がいます。
ひとりは金色の髪をもつ、活発で愛らしい金のお姫様。
もうひとりは銀色の髪をもつ、表情が乏しく物静かな銀のお姫様。
王様が生贄に選んだのは、銀のお姫様でした。
クラゲの魔女
しろねこ。
児童書・童話
クラゲの魔女が現れるのは決まって雨の日。
不思議な薬を携えて、色々な街をわたり歩く。
しゃっくりを止める薬、、猫の言葉がわかる薬食べ物が甘く感じる薬、――でもこれらはクラゲの魔女の特別製。飲めるのは三つまで。
とある少女に頼まれたのは、「意中の彼が振り向いてくれる」という薬。
「あい♪」
返事と共に渡された薬を少女は喜んで飲んだ。
果たしてその効果は?
いつもとテイストが違うものが書きたくて書きました(n*´ω`*n)
小説家になろうさん、カクヨムさんでも投稿中です!
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
【完結】王の顔が違っても気づかなかった。
BBやっこ
児童書・童話
賭けをした
国民に手を振る王の顔が違っても、気づかないと。
王妃、王子、そしてなり代わった男。
王冠とマントを羽織る、王が国の繁栄を祝った。
興が乗った遊び?国の乗っ取り?
どうなったとしても、国は平穏に祭りで賑わったのだった。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
ローズお姉さまのドレス
有沢真尋
児童書・童話
最近のルイーゼは少しおかしい。
いつも丈の合わない、ローズお姉さまのドレスを着ている。
話し方もお姉さまそっくり。
わたしと同じ年なのに、ずいぶん年上のように振舞う。
表紙はかんたん表紙メーカーさまで作成
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/children_book.png?id=95b13a1c459348cd18a1)
ぼくの家族は…内緒だよ!!
まりぃべる
児童書・童話
うちの家族は、ふつうとちょっと違うんだって。ぼくには良く分からないけど、友だちや知らない人がいるところでは力を隠さなきゃならないんだ。本気で走ってはダメとか、ジャンプも手を抜け、とかいろいろ守らないといけない約束がある。面倒だけど、約束破ったら引っ越さないといけないって言われてるから面倒だけど仕方なく守ってる。
それでね、十二月なんて一年で一番忙しくなるからぼく、いやなんだけど。
そんなぼくの話、聞いてくれる?
☆まりぃべるの世界観です。楽しんでもらえたら嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる