魔王がやって来たので

もち雪

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女王のおさめる国にて

ルイスへの決定打

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 冬の夜に、勇者の僕と馬と何でも掴める筈の執事がいる。

 その彼が言う。
 ……馬の方ではなく、執事の彼が――。

「私の最初の夢は、物心つく前にやぶれました。勇者になりたい。この世界の誰もが一度は、夢みる夢を父に告げる前に、父は屈強な戦士の挿し絵の若者を指差し『この方は私達の先祖だよ。ルイスも大きくなったら勇者を導くような人になりなさい』と、言ったのです。私はなんと答えたか覚えいませんが、とても父が喜んでいた事は覚えています」
 
 今日のルイスの気持ちは繊細だった。
 彼の顔に似合った語り出し……だが――。

 「ルイス……う……ん、正直に言って言い?」
 
「なんでしょうか?」
 彼は少しやつれたように、僕を見る。
 
「ルイスぽくない……もし、仮に君が父上の作り出した偶像として、生きて期間はあっても……偶像の"勇者を導く存在"は、あんなに楽しそうに勇者に大豆畑を作らせたりしない」
 僕はおおいに首を振った。
 
「ハヤト……ちょっと、ウンディーネの話し方に感化されてませんか?」
 
「それは否定できないけど……」
 
 僕はルイス見る。やはりちょっと寂しそうに、馬のブラッシングしている。

「ルイスはオリエラが好きなの? そこはぶっちけていこう!」
 
「それは私もわかりません。私が正直好きなのはお姫様なのです」

「お姫様……」このルイスが?
 
「結局のところ、私は勇者の英雄譚が好きなのです。他の人々には子供の御伽話でありましたが、私の家系では生きる指標でした。実際に勇者が現れずとも、王家と王子は居ました。そして勇者に仕えないだけで王子に仕え生きる私の運命は決まって居ました。しかしある日、姫が現れ、魔法学校に入学した。そこに貴方と言う存在があらわれた。そして貴方には好き女性が居て、貴方はフィーナと結婚したい。そうですよね?」

「はい! 絶対に、結婚します!」

「はぁ……、本当に貴方は自由でいいですね。正直羨ましいです。でも、決められた人生でも時には楽しいものです。私はホイルトツェリオ城を出発する前に父は私に言いました。『勇者殿はたぶん、王家と宰相殿がこの街から離すことはないだろう、しかしオリエラ姫と結婚するとなれば、勇者殿が強い権利をもち王家と争う事になりかねない。だから勇者殿は適当な貴族と結婚し、お前がオリエラ姫とともに辺境の領地をまとめるのだ。わかったなルイス』そこで私は幼ないオリエラ姫の事を思い少し良心痛み、そして私は、昔見た夢を思い出したのです」
 
「しかし君は、ぽっと出の王子と何も意思を表明してないオリエラの前から逃げここにいる」
 
「やはり本物の王子にはかないませんから、私が勇者になれなかったように、背負っているものが違う彼にも敵わないのです。彼は歳も若くオリエラと釣り合っている。私ただ、貴族の中の取り決めで1番相応しいのが私に過ぎなかっただけです。私には、彼女を幸せする自信と私もそれなりに普通の貴族として彼女を愛し、幸せにする自信があった。でも、オリエラが真実の愛を見つけたなら引き下がるしかないのです」
 
 ルイスはなんでも出来るが、1番好きな者にはなれず、それでも彼は幸せだったのだろう。でも、弥一さんに見せた表情は本当の勇者のソレだった。
 
 仮にここで、ルイスが本気をだしてオリエラを口説きだしても面倒くさいが、今のルイスも正直面倒くさい。
 彼はすました顔で、王子に心理的ダメージ与えるながら、成長させるくらいが丁度いい。だが、どうする?
 
「わかった。君と僕とはたぶん愛し方も違うし、僕は君の考えを尊重しょう。それで君がある意味、恋に破れているのも尊重しょう。そこ質問だけど、僕も君を真似て言うけど、ムーンドルイの話しにはしばらくかこれからずっとオリエラの結婚話が関わると思う。僕の執事あえて聞くけどムーンドルイの話しに絡む?絡まない? 君ならわかるだろう? 君が居なくても、完璧は無理かもしれないが、それなりには上手くまとめる事は出来る」

 僕はルイスを助けに来て、彼の恋に最後通告を告げている。
 
 ここで彼は絡むと言わないなら、彼が勇者を諦めてから、やっと自分を納得させ掴んだ誇りも、彼の考える恋も僕は今すぐに破壊しようとしている。

 ルイス、君に鍛えられた僕が、それだけで許すわけはないの読めてる? 僕は君が絡むと言わないのだったら、僕は地獄の使者を君に送るつもりだからな!
    
      続く

 
 
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