魔王がやって来たので

もち雪

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旅立った僕達

階層攻略 その4

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 ミノタウロス迷宮の孤独な支配者、彼についての不名誉な事実を知り僕ただ狼狽うろたえ、フィーナに手をつないで貰いみんなの元へと戻った。

 ルイスは傷付いてはいたが、大変有能な人なので、少ないながら僕が抱えている不安を感じ、ある程度の者につたえているだろうが、彼らは僕が話すのを待っている様に思う。その理由は僕が異世界の人間だからの様に、僕は思われた。

 彼らは明るく元気に暮らしているが、僕の暮していた生活と違い、魔物のいる生活におびやかされ、暗い噂話から彼らを守る法が整備されるまでに至ってないから……そう思う。僕の脳は、勝手に困る事があると次から次へと正解を求め思考を繰り返す。そんな状態に今、僕はおちいっている。

「僕はあのミノタウロスについて事について知りました。あの半獣が、女性を凌辱りょうじょくする事しり、それでも僕は先へ進みたい。僕はそれこそ死ぬ思いでやりますが答えが出来ないでいます。これは現実でそれを語る事を避けては進めない、不誠実ではいたくない。いや、不誠実だから? 責任逃れかもしれないが皆さんにも聞いてもいいでしょうか?」

「それについては、旅をする上で切実な問題であり切り離せない問題と言うのはある、俺がオリエラを人間界で引かせたい理由でもある。この問題は、死でもいえるが、死以上に秘密にされ語られない。しかしその事について溺れては世界は救えないのも事実。どうするのが正しいのでなく、どうしたいと相手が出した答えを、尊重する事こそ正しい。冒険者とはそういう職業だ。しかし俺が知っている事がすべてではないので、俺は情報が入ればすぐに考えを変えるがな」

 ぬいぬいが、そう言い、そして彼は再び口を開く。

「しかしだ。ハヤトにも言ったがミノタウロスについては、この地でも、決して珍しい魔物ではない。牛がそうであるように、標的を定め、ミノタウロスは対象物に対して直進で向かって来る事が多い。斧の威力はデカいが、その分大振りでよけ易い。パーティーで挑む時は、対象物となる前衛2名用意される。魔法を使える方がベストだ。1名がおとりになり攻撃を回避し、2人目が相手を攻撃し相手を呼び込む。他の攻撃は、範囲攻撃であのデカい斧を振りまわす時がねらい目、それが終わったら前衛の攻撃の繰り返しなる。こんな感じだな」

「考えられる状態の異変にとすると、一番厄介なのはモーモー言う彼の雄たけびなどで、我々の動きが止められるのが怖いですが、後は攻撃関してはあの斧を振りまわしながら走って来るでしょうか? 両手斧ですよ?」

 ルイスは、そういい疑問を投げる。

「私は絶対そういう目に、あうのは嫌だ」オリエラの声。

「でも、私の故郷は魔族に一度、蹂躙じゅうりんされかかり、父は死の淵へと落ちかけた……。怖い嫌だ。絶対無理! でも、母が語る父の話は好きだった……。だから魔法学校へ入ったの。将来は、わからない。敵の目前で鼻水を流しながら逃げるかも。でも、今日はやれると思う。だから私は引かないよ! 師匠が止めても」

 それを聞いてぬいぬいは、帽子で顔隠す。でも、微かにふぅっと微かな微笑まつわる吐息が漏れ聞こえた。

「この戦闘だけ、今は引きたいと思う者は今から下の階で待っていてくれて構わない。何故なら貴方が呼んでくれた助けが我々を救うだろうから、僕は誰にも君に事は攻めさせない。それは絶対だ。」

 僕は今の、非力な自分の言える事だけいい固く目を閉じ答えを待つ。

 その時、僕の肩に彼女の手が置かれた。

「みんな残ったわよ」

「シルエットなんで!?」

「だって引いたと思われたらいやだもの。私はいつでも強者として貴方達を見ていたいもの」

 そう言うと彼女は、バ――ンと言う音を立てて、黒いこうもりの羽を広げる。

「サキュバス!?」

「痛い!?」サキュバスと言った僕に、シルエットの手刀しゅとうが入った。

「ドラキュラを、サキュバスと言った罰よ」

 そう言って彼女はウインクする。彼女は、サキュバス程、服の表面積の少なさは凄くは無いが、下のロングスカートには、凄い切れ込み入っているし、胸チラだし別方向から見ればサキュバスよりエッチなのに理不尽極まりない。他のメンバーも同様彼女は魔物である事は薄々わかっていたが、実際彼女の種族を知ると驚きを隠せないようだ。

「そこの事務方の二人、私の事を報告書に書いたら、私に絶対逆らえない様にするわよ」
 そう言って彼女は、その脚線美を披露する。

 「えぇ――!?」と言うミッシェルと、「それは困りましたねぇ」と言う全然困ってないルイスが居た。

 彼女が入った事で前衛は、僕とシルエットがメインで、オリエラが控えとなった。

 さっきと同じように場所を、ある程度パーティーメンバーの場所を程度固定する。

 そして機動力のあるシルエットにまず、先発に行って貰う。彼女は魔物を避け斜めに移動する。彼女に、ミノタウロスの攻撃モーションが行った所で、僕が彼女の対極へと向かい。僕に攻撃で彼はこちらへ向かうだろう、その間に階段の対極へと位置し、シルエットは階段側へ、空いた隙で各面メンバーが各位置に着くつもりだった。

 しかし彼は言った。

「貴方、人の部屋に勝手に入るのは無礼ではないでしょうか?」

 僕達の動きは止まる。

「挨拶くらいはすべきです」
 ミノタウロスは、そう流暢に話す。

「すみません、お邪魔します……」僕は言った。もうこういうの慣れた。

 「いいのです。私も冒険者に友はいます。彼らも私が話せると知って最初驚いていましたが今ではいい友です」

「へぇ……、そんな方が……是非お名前をお聞きしたいですね……」
 ルイスはそう言って笑った。しかし目の奥は笑って無かった。彼らの情報があれば、うちの事務組はここまでのメモは、補足程度で済んだはず……」

 「はい、ラキアさん率いるチーム『黄昏』の皆さんです」

「あ……なるほど……彼らですか……久しぶりに会いたくなりました。私も」

 そう高貴な者同士、彼らは話が合うのか、楽しそうに話している。チーム黄昏のメンバー、確かギルド上級ランク試験の時の彼らだ。ミッシェルが売り込んでいた頃は事務はいなかったはず。僕はミッシェルを見た。彼は青い顔をして、ルイスを見ている。僕もミッシェルの元へ行き手を取り合って見ていた。そんなパーティの一番後ろに居た僕達を誰も知らずに、皆、ミノタウロスとお話しているのであった。


               つづく
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