魔王がやって来たので

もち雪

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旅立った僕達

ちびスフと僕の悲しみのレポート

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 モフモフのスフィンクスは獅子の顔をしている。

 気高い獅々だ。そのちびスフを使役する為に、聖印を入れる事が正式に決まった。

 聖印は、各魔物使いの流派で、それぞれ模様が決まっている。ちびスフの行先が、決まってから本当は聖印を入れた方がいいが、外での寝泊まりとなってしまうので仮のものだけでも入れる事になった。

 聖印の形については食事の時の話し合いで、ミッシェルの「砂漠に居たのだから、太陽かピラミットのマークでいいんじゃないですか?」と言う意見から、太陽が、カッコいいからそれでいいだろうと太陽に決まった。

 実際、教会へ行き司祭様と相談すると、「子どものスフィンクスで、小さい様なら3日かけて行うのがいいでしょう」と、助言を貰い連れて行ったら入り口から軽自動車位の大きさのちびスフは、入れず中庭で聖印を入れる事になった。

 なんかその間中、司祭様は、何か言いたそうだったが、最終日に「はぁ……やっと終わりましたか。ルナ様お疲れ様でした」と、何やら疲れた顔で、言ったのみだった。

 実は3日の間にも、我々パーティーについても、ちびスフについて、いろいろな事があった。

 まず暇な者や、後学の為に、聖印を入れる所の希望者が内外にいろいろな所から出て、僕達パーティーからは1日3名の枠のみ行ける事となった。

 もちろんその枠に、聖印を施すルナと、ちびスフパパの僕は入って無くもちろんフリーパスだが、僕が行くとちびスフはすぐにごろーんとお腹を見せてしまう……ので、僕だけ毎日教会の窓を開けちびスフの確保要因として待機する羽目になった。

 僕は毎日、ルナが箱座りをちびスフに、行わせるのを少し嫉妬の気持ちを持ちつつ見守りスフィンクスの右のお尻の肉の厚そうな部分に、少しずつ太陽の刻印が魔法で色濃く刻まれていくのを見ていた。教会の中のちびスフから見えないだろう窓際で……。

 ご飯は、魔物肉を調達してもらい幼いうちはルナに祝福して貰ったものを食べさすのだが、僕が行くとお腹ごろーん。

 ご飯より僕は、主従関係の頂点と言うか高見に居た。だからあっさりご飯時は、接触禁止になった。

 やっと聖印が終えた次の日、ルナがちびスフにお手をしているところを見た。みんな可愛いと言っているところへ近づくとやはりちびスフは、ごろんと僕にお腹を見せた。

「どうしてハヤトには、そんなにお腹みせるのかな?」

 オリエラが、お腹を撫でながら言った。

「野生動物だから、ハヤトの勇者の血に敏感なんだろ?」

 ぬいぬいも、両手を広げながら撫でるというへんな撫で方で撫でてた。

 「パパは、そんなに怖くないから、お腹そんなに見せなくてもいいんだよ」

 僕も撫でててた。

 しかし、いつのまにか魔物使いへジョブチェンしそうなルナが、スフィンクスを箱座りさせながら僕を呼んだ。

「スッスフィンクス――!」ちびスフは、やっと僕を箱座りで迎え入れてくれたのだ。長かった……実質的に僕は何もしていないけど長かった……。

 それからちびスフは、鞍を付けて人を乗せられるところまで成長した。
 
 しかし僕が乗った時にだけ、スイッチが入るとちびスフが気が済むまで、撫でて欲しいとごろーんする癖は残ってしまった。

 悲しいみのあまり撫で過ぎたのかもしれない……。

 つづく
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