魔王がやって来たので

もち雪

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旅立った僕達

海の見える丘で

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 ソイルドソレルの街のギルドは、ホイルトツェリオ城下町のギルドの様に兵士だった者が集まるある程度規律が保たれたギルドと違い、ここは海を渡りあらゆる荒くれ者が集まるギルドである。

 そんなギルドの応接室で、僕とぬいぬいは、僕達の担当のヴァリス嬢と面談していた。

「ヴァリスさん僕達この街で結構、ギルドクエストをこなしましたよねぇ? そろそろ僕達も次の街へ移ろうと考えていますが、クエストの進み具合っていかがなものですか?」

 彼女は、背筋を真っ直ぐにし戸惑いの表情を浮かべる。

 「そうですよねー、わたしもそろそろ言われるじんゃないかな? と思ってました」
 彼女は、ピアノでも弾く様に指をこまめに動かす。

「では、そろそろ出発しても?」僕は、腰を浮かし気味に返事をまった。

「私もそう言ってあげたい!……そう言ってあげたいんですが……、何せ人手不足で、この街は海からも陸地からも人が集まる分、有能な人もいますが、そうでない人も大勢居る。しかし彼らを教える教官が限られている。そうすると育成が全然間に合わない。本当に私もどうしよう!と思ってました。」

「はぁ……」僕は嫌な予感をひしひしと感じていた。と言うか、困った事態決定だった。

「でも、みなさん勇者様一行が現れて、私達も歓喜、感涙ですよ。最近ではまだ? って言われても怒鳴られる事は無くなりました。ありがとうございます。勇者様」

 彼女は僕達より、重い事態に瀕していた様だ。何故、こうもギルドがブラックなのか……。

「わかりました……。今日のギルドクエストの優先順位高いクエストの説明書ください……」

 僕は左手で顔を覆いながら、右手を差し出す。

「はい、これです」
 ヴァリス嬢は、用意してましたとばかりに、背中のバインダーを僕の右手に乗せた。

「お前、いい鴨だな。俺達のこの世界の人間にはありがたいが、時が過ぎるのは早いぞ」
 僕の肩に手を乗せ彼は言うが、小学生みたいな既婚、子持ちに言われても実感がわかない。

 僕は、このギルドクエストを持ってルイスの元に行かねば、彼は何て言うだろう……。

             ☆

「やはりですか、彼女手強い感じですからね。でも、ハヤトも人がいいだけでは駄目だって気づけましたよね?」

「本当に面目ない……」

――わかってはいるが、さんざんRPGゲームやり込んでいるので、いつもこっちの選択をしてしまう。刷り込み効果なのだろうか?

 そして僕達は海についた。海では、やはり海の近くのお店の商工会の人たちが待っていた。それぞれ割烹着や白衣を身に着けている。

「頑張ってください。勇者様」「この街を救ってください」

 彼らは口々に僕らそう言うと、商工会の偉い人に連れられて、海へ向かう僕達を彼ら拍手で見送った。

「やはり人助けはいいものですね」「ね!」

 と、ぬいぬいとルイスに言ってまわった。

「わかった、わかった」「子犬の様で可愛らしいですね。ハヤトは、木の棒でも投げましょうか?」

 と、言う返事だった。海に来た。海のはドーンと大きなタコがいた。

「「デビルフィシュ」」パーティメンバーに、動揺が広がる。

 ――あ……なるほど、海外ではそう言いますよね……。

「みんなタコ食べた事ないの?」

「我を食べると言ったのか人間よ」「私は、食べた事ありますよ」

 タコとフィーナの話が重なった。もちろん、フィーナを取った。

「へぇー狐の里で食べたの?」

「我を無視するな下等な陸上生物よ」「いえいえ、魔王様が焼く機械と材料と作り方の本を買ってくださったので、みんなで一緒に作って食べました。」

「魔王様?」「へぇーやっぱ魔王は、何でもありなんだ……」

 僕は、魔王に若干引いた。タコも若干、意味は違うが魔王に引いてた。

「その様な見え透いた嘘を、魔王様がそんなアットホーム事をするか!?」

 そう言うと、タコは、水面をバシバシ打った。水が当たると普通に痛い。

 「するのに!」フィーナは、少しふくれつらだった。

 「おい、いつまでもくっちゃべってないで、さっさとやって次のクエスト行くぞ!」

 ぬいぬいが、そう言い地面を、魔女の料理をかき混ぜる様な手つきで、地面に幾何学模様の絵を描いていく。

「落ちろ!」

 その言葉と共に3本の大きな光の剣が、タコを貫いた。

 「この略式魔法方陣は、剣が三本か……略しすぎな……」
 
 そう言って魔法陣を、ごそごそ書いている。

 素早いルイスは、なんか偉い人へ挨拶をし、何かいっぱい貰っている。

「では、皆さん行きますよー!」

 そして僕達を乗せ馬は行く。その道中に、海鮮料理を食べた。ルイスが食べている間は僕が馬を操った。

 そんな僕らの珍道中。

         つづく
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