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旅立った僕達
頑なな者達
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秋の木から舞い落ちる色とりどりの落ち葉、その落ち葉は誰かが掃除しなければ、すぐにゴミの山になる。
でも、僕の感想だと保温効果はいい様に思う。と、いうわけで、僕は昨日色とりどりの落ち葉の山の中で眠ってしまったようだ。
払っても、払っても出てくる落ち葉のクズを落としつつ、昨日の鮮明な記憶から探ることにしよう。
夕方間近、僕は体力アップの為に街の中、壁に沿ってジョギングをしていた。しかしそこへ小さな女の子が僕に声を掛けた。
「助けて、狸さんが落とし穴に落ちて、上がれないみたい」
向こうの世界ならいざしらず、野生動物に直で触ったら病気になっていたら冒険者などやってられないが、念のために魔法のツタで狸を引っ張りあげた。
女のこは凄く嬉しそうに、「良かったね狸さん」と駆け寄ったが、僕は「野生の狸さんは触るのは良くないよ」と言って止めた。
狸は何度もお礼を言うように僕達を振り返り、塀の下の穴から外へと帰って行った。
――さよなら狸……。
僕は狸の出て行った穴に、ツタを通し塀の上でツタを確認する。また、この穴から中に入って来たら危ないので、僕は両方の穴を埋め立てた。
塀の下の穴を埋める寸前、女の子が「えっと!?」と言ったが「また、狸さんが入って来たら危ないんだよ」と言ったら……「わかった……」と、女の子は残念そうにし、了解した。しかし女の子は、いつまでも名残惜しいそうにその穴を見ていたのだった。
「お兄ちゃん、お礼をするからうちの家に来て!」
やっと立ち直った女の子が、僕に言った。
「御礼なんていいんだよ、早くおうちにお帰り」と言って僕は彼女と別れ走り出す。
心がチクンと傷んだが、僕はそのままジョギングを続けたのだった。壁の内側をただ塀に沿って行くジョギングなのに、僕は迷いに迷ってしまう。何かの力を感じずにはいられない。
そんな時ふたたび、あの少女が、母親と名のる女性と一緒に僕の前に現れた。
彼女達はやはり、『家に泊まって欲しい』と言うのである。
「女性だけの家には、泊まれません!」
僕はきっぱり断り、迷い道を行くのだった。だが、日はどんどん暗くなり……辺りの獣の声と、フクロウの鳴く声が聞こえ始める。僕はそろそろ決断をしなければならない事を感じていた。
それでもあきらめきれずに、僕は壁の内側をただ進む。驚く事に塀際に立つ一軒の家を見つけた……。塀のから離れる方法がないばかりか、家まで出現するとは驚きの連続である。
家の中には美味しそうな料理が湯気をたたて置かれている。辺りは何故か街中であるはずなのに、その家以外、光もささない。
――そして僕は観念して、落ち葉の中で寝たんだっけ……。
しかし腰に妙な感覚がある、ズボンや上着中にイガから外された栗が山ほど入っていたのである。
僕は、それを持って、ゲストハウスに帰り、栗をいろいろな手段で鑑定した。
……ただの栗だった。そして僕らはフィーナに栗ご飯にして貰い食べた。
食べている間、僕に非難が集中した。
「何で、お前はそんなに頑ななんだ、家に行ってあげる位いいだろう」
「ハヤトは、白雪姫とか、ラプンツェルとか知らないの? 勇者が広めた話として有名だよ?」
「ヘンゼルとグレーテルも一応、魔女の家へ行く事で死はまぬがれていますよ」
と、そうみんな言うのである。
「泥だんご食べさせられるとか、食べたら死に導かれるご飯の話ってないの?」
何故そんな必要があるんだと、逆に聞かれた。
――これだから西洋圏の基本ネアカ民族は……。と、思いフィーナを頼りにしたが、知らない様で、ちょっと寂しかった今日なのでした……。
つづく
でも、僕の感想だと保温効果はいい様に思う。と、いうわけで、僕は昨日色とりどりの落ち葉の山の中で眠ってしまったようだ。
払っても、払っても出てくる落ち葉のクズを落としつつ、昨日の鮮明な記憶から探ることにしよう。
夕方間近、僕は体力アップの為に街の中、壁に沿ってジョギングをしていた。しかしそこへ小さな女の子が僕に声を掛けた。
「助けて、狸さんが落とし穴に落ちて、上がれないみたい」
向こうの世界ならいざしらず、野生動物に直で触ったら病気になっていたら冒険者などやってられないが、念のために魔法のツタで狸を引っ張りあげた。
女のこは凄く嬉しそうに、「良かったね狸さん」と駆け寄ったが、僕は「野生の狸さんは触るのは良くないよ」と言って止めた。
狸は何度もお礼を言うように僕達を振り返り、塀の下の穴から外へと帰って行った。
――さよなら狸……。
僕は狸の出て行った穴に、ツタを通し塀の上でツタを確認する。また、この穴から中に入って来たら危ないので、僕は両方の穴を埋め立てた。
塀の下の穴を埋める寸前、女の子が「えっと!?」と言ったが「また、狸さんが入って来たら危ないんだよ」と言ったら……「わかった……」と、女の子は残念そうにし、了解した。しかし女の子は、いつまでも名残惜しいそうにその穴を見ていたのだった。
「お兄ちゃん、お礼をするからうちの家に来て!」
やっと立ち直った女の子が、僕に言った。
「御礼なんていいんだよ、早くおうちにお帰り」と言って僕は彼女と別れ走り出す。
心がチクンと傷んだが、僕はそのままジョギングを続けたのだった。壁の内側をただ塀に沿って行くジョギングなのに、僕は迷いに迷ってしまう。何かの力を感じずにはいられない。
そんな時ふたたび、あの少女が、母親と名のる女性と一緒に僕の前に現れた。
彼女達はやはり、『家に泊まって欲しい』と言うのである。
「女性だけの家には、泊まれません!」
僕はきっぱり断り、迷い道を行くのだった。だが、日はどんどん暗くなり……辺りの獣の声と、フクロウの鳴く声が聞こえ始める。僕はそろそろ決断をしなければならない事を感じていた。
それでもあきらめきれずに、僕は壁の内側をただ進む。驚く事に塀際に立つ一軒の家を見つけた……。塀のから離れる方法がないばかりか、家まで出現するとは驚きの連続である。
家の中には美味しそうな料理が湯気をたたて置かれている。辺りは何故か街中であるはずなのに、その家以外、光もささない。
――そして僕は観念して、落ち葉の中で寝たんだっけ……。
しかし腰に妙な感覚がある、ズボンや上着中にイガから外された栗が山ほど入っていたのである。
僕は、それを持って、ゲストハウスに帰り、栗をいろいろな手段で鑑定した。
……ただの栗だった。そして僕らはフィーナに栗ご飯にして貰い食べた。
食べている間、僕に非難が集中した。
「何で、お前はそんなに頑ななんだ、家に行ってあげる位いいだろう」
「ハヤトは、白雪姫とか、ラプンツェルとか知らないの? 勇者が広めた話として有名だよ?」
「ヘンゼルとグレーテルも一応、魔女の家へ行く事で死はまぬがれていますよ」
と、そうみんな言うのである。
「泥だんご食べさせられるとか、食べたら死に導かれるご飯の話ってないの?」
何故そんな必要があるんだと、逆に聞かれた。
――これだから西洋圏の基本ネアカ民族は……。と、思いフィーナを頼りにしたが、知らない様で、ちょっと寂しかった今日なのでした……。
つづく
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