魔王がやって来たので

もち雪

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旅立った僕達

ソイルドソレルの街のギルド長のサルメス

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 新しく降り立ったばかりの街。

 賑わう人だかりの中、『大蛇の牙』のメンバーの一人を、魔法の蔦でグルグル巻きにしたまま、その片方の先の蔦を持って歩く。

 少年の妹と親にはには、自警団か、ギルドに逃げろと言って来たがそれでも、全員の安全をふたたび確認するまで気が抜けない。

 仲間達も多分大丈夫だろが、絶対はないだろう……。

「出来たらもっと早く歩いて」

 そう言いながら、蔦の力を強める。

「こんな所で、早く歩けるかこんちきしょう」

 悪態をつく男の歩調に合わせながら進む、苛立つ時間は、少年の「あそこがギルドだよ」ッという声に一旦終わったが、すべてを終わらすのはまだまだ時間がかかりそうだ。

 ギルドの奥へと通されると、ルイス達と少年の妹と母親がさきについていた。

 僕達はそのままいかにも海の男という感じの、ギルド長のサルメスと面会する事になった。

「街に来るその日のうちの内に騒ぎを起こすとは、さすが勇者と言ったところかおもしろい。俺が、サルメスこのギルドのギルド長だ!」

「勇者を名乗らせて貰っている草薙ハヤトです。よろしくお願いします」

 彼は僕の手を握りぶんぶんと振りながら握手すると、その手をほどきながらすぐ僕の関わる案件へと会話を移した。

「では、本題に移るがお前の捕らえた男は、『大蛇の牙』の一員だ。でだ、勇者様はそいつらをどうしたい?」

 サルメスもレンと同じで、僕をはかりにかけて見定めようとするもの言いをする。そういうがこの世界では、偉くなるのかそれともただの偶然かは、僕にはわからない。

「僕は、この街へ来たばかりで何も詳しく知らず、今までの常識で悪として連れてきました。だからいろいろ『大蛇の牙』の情報が欲しいです。すべて仲間を、捕まえる事が容易なのか、逆に逆恨みされ収容所を破壊して味方を助け出す様なグループなのか、そういうところが詳しく聞きたいです」

「破壊するようなグループだったらどうする? お前はまだ目の曇りがないまだ人を殺したことはないだろう? だが、この街の為にだけに、人を殺すのか? お前が、縁もゆかりも無い人間達をだ」

「そい事は考えた事はありますが、例えば低級のギルドクエストに連れて行き、死んだら死んだにするとか……、そのボスの家に乗り込んで改心するまでただ、食事を落とし続けるとか」

「落として改心すると思うか?」
 サルメスは、僕の答えにまゆげを八の字にして僕に質問した。

「わかりません……相手の尊厳がなくなるまでただ落とし続ければどうにかってところでしょうが、そういう場所で育った人間には聞かない方法だと思うので、今度は寝ない様に、布団から叩き落とし続けるかもしれませんね」

「お前は、弩級どきゅうの馬鹿だな。だが、おめでとう。今回はそれはしなくて良さそうだ。やつらはまだ出来たばかりのグループで、こちらとしても自警団と連携をとる事も後回しにするような雑魚ばかりだ。だが、勇者が絡んだ事で、あいつらのランクが上がった。だから、今自警団に人を行かせた。早くするとあいつら今晩は留置所で眠る事になる。とりあえずお前は来たばかりだ、ゲストハウスで少しは休め」

 彼に促され、僕達が席から立ち上がった時、ものすごい音が受付の方からした。僕達がドアから出ると馬車が窓ガラスにつっこん炎をあげている。しかしまわりの冒険者達は馬を外すと、面倒くさそうに魔法でその馬車事土の魔法で粉砕してしまった。・

「怪我人の救助を早くしろ!!」

「馬の治療をしてやれ」

 怒号が飛び交うが、怪我人も偶然いた冒険者に治療されていく。死人が居ないのを確認すると、ギルド長のサルメスは笑いながら言う。

「おもしろいあいつ等はギルドと大戦争を起こすつもりらしい、ならあいつ等がどれだけ惨めで弱々しい、牙の無いヘビなのか教えてやろう」

「いや……これは全然笑えないでしよう……」

「まぁそう言うな勇者様まで登場する祭りはそうない、楽しくなるのも仕方ないだろう?」

「そんなもんですかね」
 
 僕のこの街の1日目は、まだまだおわらそうだ。

     つづく
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