魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
上 下
138 / 204
旅立った僕達

森の魔物

しおりを挟む
僕らは立ち寄った村の村人の願いを受けて、森にいる魔物を倒すべく村近くの森にやって来た。大学近くの森を思わせる規模の森で、管理されほとんどが、獣道の様に踏み固められた土地と、大木で造られた森だった。

 僕、ぬいぬい、オリエラと言う師弟コンビで、今回の魔物退治を担当する。

 ついて来てくれた木こりの親方の話では、木を伐り出すとやって来るとの事だったので、親方の作業を見守りながら警戒をする。

 そうすると親方が作業を始めて30分もしない内に、ドスーン、ドスーンと、魔物の足音が響いた。親方には一度森の外へと一旦避難してもらい、足音のする方向に向かう。

 そこにはファンタジーでおなじみの大木の、幹の部分に顔がある系の魔物がそこに居た。顔はどうやた木に出来る不自然な溝が、そう見える様で目玉も息をしている様子見ない。

 大木の後ろに隠れている僕は、ぬいぬいがうなずくのを合図に、大きな風の魔法を練り上げ魔物に向かって放つ。そいつは簡単にも魔物を真っ二つに分けたが、その断末魔にギギィ――ギィ――! と言う咆哮を発すると、その声にこたえる様に森中に同じ声がこだまする。

 そこらかしこからドスーン、ドスーンと言う足音が響き、身構えると背後から突然敵が出現した。

 魔物が、頭を揺らす事で、枝がムチの様にしなる。わずかギリギリで避けると葉っぱが木の枝から飛んでくる、普通の葉っぱをぶつけられる程度には痛い。

「オリエラ、ハヤト!、この魔物の初動攻撃には、絶対当たるなよ!」

「「はい!」」

「30分だ! 30分以内に全滅させろ!」

「はい」「師匠、どれだけいるのかわからないのに。厳しすぎるよ――」

 そう言った彼女だが、魔物の枝を切り刻みつつ懐に飛び込むと、口の部分である木の奥まで刻まれた溝に、剣をつきたて引き抜くと、大木の体内から現れた風の魔法が、大木の魔物を切り刻み傷跡を大きく見せつけ飛び出してくると、魔物の息の根は絶えて横たわる。

 彼女は、その繰り返しを機械的に行う。そうとうな訓練を積んで居る事が、その剣の軌道と身のこなしからはっきりわかる。

 僕とぬいぬいは、魔法使いのセオリー通り魔法を組み立てている間は、出来るだけ体を隠し攻撃するが、ぬいぬいは発動させている魔法の3つ、まわりの普通の大木に当てぬ様にその魔法を維持し、確実に相手を真っ二つに引き裂いていく。

「ハヤト、観察もいいが前には気を付けろよ」

 そう言われて前を見た瞬間、大木は一瞬止まり攻撃姿勢をとった。一瞬止まる習性がなければ魔法で強化されているとはいえ、結構痛かっただろう。

 僕が居た場所の後ろの大木には、うっすらと焼けた線が残っていた。それからは姉弟子のオリエラを見習い機械的に撃破する。

 最後の魔物の時は、槍で突っ込み体内に魔法を叩き込み倒したが……やっぱ何本かの枝は、攻撃姿勢をとる前でも顔に当たり普通に痛かった。槍は、枝を掃うのに向いてなと思うのだが、どう戦いをこなしていくべきか考えて行かねばならない。

 魔物を30分以内になんとか倒した僕達は、木こりの親方の言う栗の木へ行き、落ちた栗を足で踏み、イガの中から借りた道具で、栗を掴み取り栗を沢山集めた。

 そして風の魔法で、イガと落ち葉を脇へ集めて終了した。

 村へ帰ると昼食を取り、今度はみんなの願いを叶える手伝いにかり出された。

 重要な願いを叶え終えた後は、村人から届いたお礼の品をルイスが、必要分だけ貰い。後は、村長に分配するように頼み、もうこの村で行う事は無いだろう……。
 
 後は、ゆっくり村の残りの時間を楽しむだけ。その日の晩御飯は、昨日より少し食材が多くなっていたのでした。


      おわり
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...