魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
上 下
129 / 204
それでも少しずつ歩む日々

とっても眠いパラダイス

しおりを挟む
 馬車は、ようやく見知った場所までたどり着いていた。

 街並みを見て、こんなに安心したのと、馬車から落ちそうで生命の危機を味わいながらの移動して来たの初めてだった……。

 しかし聖女ルナと話す事が、出来たので成果はあったと思う。

 城の城門を抜けると僕達は、夜勤の兵士達が居る前の広場で降ろされる。「こんばんは」と挨拶もそこそこに、勇者の間に向かうと、夜勤のシルスさんが駆け寄って来た。

「おはようございます、ハヤトさん」

「こんばんは、シルスさん」

 首の座らない赤ん坊の様に、眠すぎてぐわぁんぐわぁんしている、僕を見て彼は僕を心配している様だ。

「どうしたんですか? ハヤトさん精神汚染系の魔法を使う敵でも、居たんですか?」

「彼は、無理に御者の席に乗り込んで、眠れなかっただけなので、気にしないでいいですよ」

 ルイスが、僕とシルスさんの間に入って説明をしてくれている。「はぁ……」と言いながら、彼は小さなメモ用紙を、彼の手提げ鞄から取り出す。

「今、ギルド長が城に来ているので、一度会って話がしたいそうです。午前9時までは、会議室に居るとこの事でした」

 僕と、ルイスとシルスさんは三人顔を見つめ合っている。

「「どうします? ハヤト(さん)」」

「少し、したら向かいます……」

「はい! わかりました伝えてきます!」そう言いシルスさんは、暗い城内を駆けて行った。

 僕は、蝋燭の炎が揺れている、家の中に入ってウンディーネを呼ぶ。

「ウンディーネちゃん! ウンディーネちゃんや!」

「どうしたのハヤト?」
 リビングルームの方からフィーナが蝋燭の燭台を持って、顔を覗かせる。僕はそこまでゆっくりと行くと、腕を組みながら――。

「君も来て欲しいのだが、これからこの国のギルド長に会う事になった。それで少しでも、ウンディーネに回復してもらえないかと思って……」

「ウンディーネならもう長椅子で、眠ってしまったみたい」

 彼女に続いて、リビングルームに入ると長椅子の上で、ひざ掛けをかけられたウンディーネが眠っていた。子供の様に眠ってしまい、ほっぺをつついても全然起きやしない。

 フィーナはテーブルの上に燭台を置き、僕の手を引きもう片側の長椅子を指さし、「こっちに寝て」と彼女は言う。

 僕の木の魔法は彼女ゆずりの魔法で、僕よりは回復の能力は高いのだろう。でも、それとは別に彼女に「こっちに寝て」と言われるのはとてもいい。

 ソファの上でゆっくり横になる。

「むっ」

「むっ?」背中が、ゴキィと音を出す。痛い!

「なんか、ちょっと猫背になってますよ!」ゴキィッ痛い! 痛い!!

 それは、終わると全体手に、施術って感じに全体をゆっくりをもまれて、最後に木の魔法をかけられる。

「終わりました」彼女は、顔の横から僕に声をかける。半分眠っている僕は「ありがとうございます」と丁寧いに正座をしてお礼をした。

 フィーナは、クスクスと、少し笑い『背筋が少し丸まっているので、気を付くて下さいね』。と僕に言う。

 眠いのはまだ、眠いけど背中のだるさが不思議と全然なくなった。

 二人で台所へ行くと、ルイス、ぬいぬい、オリエラが、立って飲み物を飲んでいた。

「コーヒーとミルクがありますが飲みますか?」

 ルイスがそう聞き、僕達はコーヒーを頼み、ミルクを多めに入れた。

「今から会議室へ行くのは、この5人です」

 僕も壁にもたれながら、「やはり道中の魔物を、倒して欲しいとかあるのかな?」と、発言する。

「それは十分あるでしょうね、勇者のパレードもここだけはないでしょうし」

 僕は遊園地のパレードを思い出す。そこには、夢と希望が必要で、「やはり宴会芸も必要か……」

「まぁ、無いよりあった方がいいでしょうね」僕とルイスがそう話していると、残りの3人も難しい顔をする。

 夢と魔法の異世界には、宴会芸は無用の長物であったのかもしれない。


      つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...