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それでも少しずつ歩む日々
夜明け前の廃虚の城からの移動
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廃虚の城からの帰り道。
数々の戦いをこなしているので、アンデッドよりは元気だが、それでも夜中の戦いによって疲れていた。
その中で一段と元気が無いのは、聖女ルナ。
彼女と一緒にネクロマンサーを倒しに行った。ぬいぬいに詳しい事情を聞く為に、彼の隣に座る。
「ルナ、彼女は少し元気がない様ですですけど、どうかしましたか?」
「別に救えない命があっただけだ。よくある事で、気にする事じゃない。そう言ってもお前は行くんだろ? 行け、行けそして泥沼にはまって来い」
「そんなひどい」
「本当の事だろ?」
そう言ってにゃりと笑って、帽子を目深にかぶり「おやすみ」言って眠りについた。
彼女は、考えたい事があると言って御者の隣に座って、見張りをしている。僕は荷馬車の後ろの仕切りまで来ると、「よいしょ」と言ってそこから飛び降りた。
何人かに、僕の名前を呼ばれたが、手を振って答える。そこから走って御者とルナの座る前へと走って行い、ゆっくり出来るだけ馬を驚かせない様に前の椅子に上がり込んだ。
まぁ結果的に、御者とルナに叱られ、呆れられる事となったが。
「本当にすみません」
「これからは危ないので絶対やめてください」
二人からそんな事を言われたので、静かに座って居た。聖女ルナは、やはり何かを深く考えているようだった。
「ルナ、貴方が、考えているのはあの城のネクロマンサーについてですか?」
「そうです」
「それは彼を貴方が、救えなかったから?」
「もしかして、ハヤトそれを聞く為に、危険な真似ををしてここまで来たのですか?」
彼女の声から呆れたって気持ちに、しょうのない無い人っという気持ちを込めた笑い感じられた。希望的観測だが、うん。
「そうなんだ。凄くそうなんだ」
僕は嘘ぽい感じで2回そう言った。
「そうですか……。でも、心配に及びません。私が今、考えている事はルーティンワークにすぎません。ヒーラー特に、蘇りの魔法を使う聖女と言う職では、人の命と毎回深く関わり、そして命を選定する事も少なくありません。なので、毎回一定時間を設け、その日触れた命について考える様にしているのです。そうすれば命を軽く扱う事が無くなり、次回の成果につながると考えているからです」
「それなら邪魔してしまいましたね。すみません」
「まぁ、それは少し。でも、その行いを誰かに知っていただくのは大切な事です。一人ではいつか私の中で、命の基準が歪んでしまうかもしれません。その時は是非、教えてくださいまし。特にこれから向かうと言う魔界では、善良な者の魔物であるだけで、切り捨てなければならないかもしれません。善良な者が、禍を呼び覚ます糧になる。そんな事も考慮して考えていかなければいけない」
「そうですね。種族が違えば考え方は全然異なりますよね……。その時どうしたらいいか一緒に考えていきましょう」
そこで、彼女は少し微笑む。天使の笑み。
「でも、それでは遅いのです。戦況は刻刻と変わる事でしょう。ですが、私も伊達に聖女として、今まで生きてきたのではありません。なので、戦いの初動の生き死には私にお任せください。ですが……その基準が少しでも間違っている様ならお教えいただいて良いでしょうか? と言うことです」
「わかりました。その時は絶対言います。貴方の公正さを損なわせません」
そう言って僕とルナの話は終わった。その時、朝日が昇って来た、とか言う綺麗なおわりであったら良かったのだが、そんな事はなく。
ぼくはその後、眠気と御者の席から落ちる恐怖に戦いながら、残りの道を過ごしたのだった。
つづく
数々の戦いをこなしているので、アンデッドよりは元気だが、それでも夜中の戦いによって疲れていた。
その中で一段と元気が無いのは、聖女ルナ。
彼女と一緒にネクロマンサーを倒しに行った。ぬいぬいに詳しい事情を聞く為に、彼の隣に座る。
「ルナ、彼女は少し元気がない様ですですけど、どうかしましたか?」
「別に救えない命があっただけだ。よくある事で、気にする事じゃない。そう言ってもお前は行くんだろ? 行け、行けそして泥沼にはまって来い」
「そんなひどい」
「本当の事だろ?」
そう言ってにゃりと笑って、帽子を目深にかぶり「おやすみ」言って眠りについた。
彼女は、考えたい事があると言って御者の隣に座って、見張りをしている。僕は荷馬車の後ろの仕切りまで来ると、「よいしょ」と言ってそこから飛び降りた。
何人かに、僕の名前を呼ばれたが、手を振って答える。そこから走って御者とルナの座る前へと走って行い、ゆっくり出来るだけ馬を驚かせない様に前の椅子に上がり込んだ。
まぁ結果的に、御者とルナに叱られ、呆れられる事となったが。
「本当にすみません」
「これからは危ないので絶対やめてください」
二人からそんな事を言われたので、静かに座って居た。聖女ルナは、やはり何かを深く考えているようだった。
「ルナ、貴方が、考えているのはあの城のネクロマンサーについてですか?」
「そうです」
「それは彼を貴方が、救えなかったから?」
「もしかして、ハヤトそれを聞く為に、危険な真似ををしてここまで来たのですか?」
彼女の声から呆れたって気持ちに、しょうのない無い人っという気持ちを込めた笑い感じられた。希望的観測だが、うん。
「そうなんだ。凄くそうなんだ」
僕は嘘ぽい感じで2回そう言った。
「そうですか……。でも、心配に及びません。私が今、考えている事はルーティンワークにすぎません。ヒーラー特に、蘇りの魔法を使う聖女と言う職では、人の命と毎回深く関わり、そして命を選定する事も少なくありません。なので、毎回一定時間を設け、その日触れた命について考える様にしているのです。そうすれば命を軽く扱う事が無くなり、次回の成果につながると考えているからです」
「それなら邪魔してしまいましたね。すみません」
「まぁ、それは少し。でも、その行いを誰かに知っていただくのは大切な事です。一人ではいつか私の中で、命の基準が歪んでしまうかもしれません。その時は是非、教えてくださいまし。特にこれから向かうと言う魔界では、善良な者の魔物であるだけで、切り捨てなければならないかもしれません。善良な者が、禍を呼び覚ます糧になる。そんな事も考慮して考えていかなければいけない」
「そうですね。種族が違えば考え方は全然異なりますよね……。その時どうしたらいいか一緒に考えていきましょう」
そこで、彼女は少し微笑む。天使の笑み。
「でも、それでは遅いのです。戦況は刻刻と変わる事でしょう。ですが、私も伊達に聖女として、今まで生きてきたのではありません。なので、戦いの初動の生き死には私にお任せください。ですが……その基準が少しでも間違っている様ならお教えいただいて良いでしょうか? と言うことです」
「わかりました。その時は絶対言います。貴方の公正さを損なわせません」
そう言って僕とルナの話は終わった。その時、朝日が昇って来た、とか言う綺麗なおわりであったら良かったのだが、そんな事はなく。
ぼくはその後、眠気と御者の席から落ちる恐怖に戦いながら、残りの道を過ごしたのだった。
つづく
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