魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
上 下
121 / 269
それでも少しずつ歩む日々

朝の風景

しおりを挟む
 僕は、朝も早くから本を読みふけっていた。

 物騒な話であるが、一般的な動物たちのそれぞれの急所を読み込み、魔物に応用する為にの勉強だ。この本の読み込みが終われば各魔物の詳細な急所とその弱点の属性が書かれた本を読み込まねばならない。最初の頃は子ども心に戻り読んでいたが似た魔物が多すぎる。どんだけ人間に歌を聞かせたいんだって位、人魚、惑わす系の魔物はいるし、コカトリスは、パーツの組み合わせで名前は、変わるし、そろそろこの城ともお別れなはずなのに――!

 僕は1つだけ決めている事がある。それはには時間が重要で、焦りだけ募っていた。

「何を朝から苛立っているんですか?」
 
 朝の点検から帰って来たルイスが、僕に声をかけた。

「この弱点や急所について覚える事に、今格闘していて……」

「何を馬鹿な事を……。そんなのは誰でも死ぬ目にあえば覚えますよ。大事な事は2つです。聖女ルナ様を殺さない事。そして彼女の為に回復魔法を使う貴方が死なない事です。そこで一番大事なのは命の見極めです。誰を殺せば活きるのか」

「いきる……」

「そう聖女は何者の生かす慈悲がありますが、貴方は誰を見殺しにして、死を活かす役目がある。しかし決して他人は、何者であっても、活かす事は出来ません。大丈夫です。この国の子ども達は勇者が命の価値を測るのはパーティーの為だって事を潜在的に教え込まれ生きています」

「ルイス、それは君もそう思っているの?」

 僕は、ありったけの敵意や呆れを持ってルイスにそう聞いた。

「もしかして、ハヤト怒ってます?」

 ルイスは、僕にそう聞く。だから僕は怒っていると答える。でも、ルイスは気付いてるのだろうか? 僕が全然そんな事で怒っていない事を……。

「そりゃね。守る命が、自分の命は軽いっていいだしたらどうしていいのかわからないでしょう?」

「それはそうですね、でも最悪の事態には思い出してください」

「わかった。でも、実際言われるまぁいやなものだよね、って事なだけだから」

 ルイスの言う事はだいたい理解してたけど、僕はそう言う事を聞きたくないだけで、ただ怒っている振りをした。それはいい事なのかどうかは、わからない。でも、人間としての礼儀みたいなものなのかもしれない。と言ってまた自分を誤魔化す。

 ハァ……朝から会話重っ……。

 と、思ってたら玄関の鐘がなる。

 ルイスが玄関に向かうので、僕もついて行く。不審人物の確認ののちルイスが、扉を開けると朝食を乗せはワゴンを押しメイドのマーレルが、入って来た。

「あら、勇者もう起きてたんですか?」

 目も髪も茶色の彼女は、村育ちらしく今日も不躾な物言いである。

「おはよう マーレル、って起きてましたよ、昨日も朝会ったじゃないですか」

 僕は、彼女から朝食の入ったワゴンを、受けとる。

「あっおはようございます お二方、それはそうでしたが、お寝坊さんにもそんな日があるのか……としか思っていませんでした」

「まぁハヤトには、着た当時、伝説の勇者に合おうとした早朝担当のメイドが、あまりにも貴方に会えない事から妖精的な扱いをされてましたからね。ながらく」
 
 ルイスまで、彼女の肩を持つ。

「でも、まぁ生まれ変わったて事って事ですよ」
 
「朝、起きられる様になっただけでそんなたいそうな」

 マーレルは、芝居がかったちょっと生意気で、驚いた顔をする。それにしても今日は少し甘い香りのする。

「それよりマーレル今日の朝食は、パンケーキ?」

「そうですよ、コック長達は、もっともつと早朝からパンケーキを焼きだしてまだ焼き終わってませんよ」

「それは大変だ。でも、パンケーキは凄く美味しいから、こっちとしては凄く嬉しかったりするからねぇ」

「それは確かに」

 ダイニングルームに来ると結構な人が、したに降りて来ていた。

「「おはよう」」

「まだ朝食で、取りに行く物はありますか?」

 そうフィーナが、聞く。

「大丈夫ですフィーナ様」

「わかりました」
 そう言うと、止まったワゴンの中から次々皿に盛られて、テーブルに置かれていく。

 我々はいつ何があるのかわからないので、そこにいる人が手伝うシステムになっている。そして内職をしているものや、皆、体力が資本だけあって睡眠は確保されているが、料理がて来て1時間は待つが、1時間経てばルイスと居れば僕が起こしに行くことになる。

 ちなみに女性の場合は、女性に同行してもらう事にはなっている。

 まぁ僕は、だいたい起こされる側だったけどね。

 とりあえずいる人だけで、一同座ったら祈りはしないが、祈り終わるのを待つて、朝食って事になってはいる。

 しばらくするとだいたいの者が、祈るようになる。生死を分ける仕事と言うのは不思議なものではある。

                 つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

調子に乗りすぎて処刑されてしまった悪役貴族のやり直し自制生活 〜ただし自制できるとは言っていない〜

EAT
ファンタジー
「どうしてこうなった?」 優れた血統、高貴な家柄、天賦の才能────生まれときから勝ち組の人生により調子に乗りまくっていた侯爵家嫡男クレイム・ブラッドレイは殺された。 傍から見ればそれは当然の報いであり、殺されて当然な悪逆非道の限りを彼は尽くしてきた。しかし、彼はなぜ自分が殺されなければならないのか理解できなかった。そして、死ぬ間際にてその答えにたどり着く。簡単な話だ………信頼し、友と思っていた人間に騙されていたのである。 そうして誰もにも助けてもらえずに彼は一生を終えた。意識が薄れゆく最中でクレイムは思う。「願うことならば今度の人生は平穏に過ごしたい」と「決して調子に乗らず、謙虚に慎ましく穏やかな自制生活を送ろう」と。 次に目が覚めればまた新しい人生が始まると思っていたクレイムであったが、目覚めてみればそれは10年前の少年時代であった。 最初はどういうことか理解が追いつかなかったが、また同じ未来を繰り返すのかと絶望さえしたが、同時にそれはクレイムにとって悪い話ではなかった。「同じ轍は踏まない。今度は全てを投げ出して平穏なスローライフを送るんだ!」と目標を定め、もう一度人生をやり直すことを決意する。 しかし、運命がそれを許さない。 一度目の人生では考えられないほどの苦難と試練が真人間へと更生したクレイムに次々と降りかかる。果たしてクレイムは本当にのんびり平穏なスローライフを遅れるのだろうか? ※他サイトにも掲載中

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

のほほん異世界暮らし

みなと劉
ファンタジー
異世界に転生するなんて、夢の中の話だと思っていた。 それが、目を覚ましたら見知らぬ森の中、しかも手元にはなぜかしっかりとした地図と、ちょっとした冒険に必要な道具が揃っていたのだ。

処理中です...