魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
上 下
117 / 267
それでも少しずつ歩む日々

装備をつかるかっこ良さ

しおりを挟む
 ウンデーネは、泣いていた……。

 梅干しおにぎりすっぱいと泣いていた。……後、ちょっとで童謡が出来そうな感じではあるな……。そんなすっぱいおにぎりでも、頑張って食べるウンデーネは、偉い子だな。

 って最近、ウンデーネに対する目線がお父さん目線なんだよね――。
 
 それしてもシルエットも、フィーナもお箸をちゃんと使えるし、食べる時のマナーもちゃんとしているけれど、魔界にもマナー教室でもあるのだろうか?

「どうしたんですか? ハヤト」

 僕の視線に気づきフィーナが、声かけてくる。

「ふたりとも、箸の使い方もちゃんとしているし、マナーも良いなと思って」

「あぁ、魔王様が相手になめられない様にってそう言う事にうるさいんです」

「なるほど」なんか、言ってる事が不良みたいだな。

「私は、いついかなる時も、国を転覆出来る機会にそれを遂行出来る様に、傾国の悪女としての身だしなみだけは整えているの。そう言う野望があった方が人生楽しいじゃない」

 シルエットは、夢見る様にそう言うが、駄目だ!……いろいろ駄目だ。大丈夫だと思うが、この国の王子が隣国に留学中の帰って来るより、先にこの国を出なければならない。

「もう、シルエットたらうふふ」

 フィーナ……、どころの騒ぎではないが!?

「お待たせしました。親子丼です」

「はい」

「ご注文は以上でしょうか?」

「はい」と返事をしつつもう箸を、まず三つ葉……。三つ葉ぽい?葉ののるお吸い物いただく。少し優しい味わいであるが、葉も三つ葉に近いところまでいっていて、向こうで食べたお吸い物の味がする。もしかすると薄味醤油を、つけっているかもしれない。

 親子丼は、卵は程よい半熟で、肉の柔らさも丁度良く美味しい。

 最後の締めに、クズ餅をみんなで食べてお店をでた。

「お金大丈夫でしたか?」

「うん、大丈夫だよ」

「「ご馳走様です」」元気にお礼言えて偉いねの二人と「ご馳走様です」と、慎ましく言うフィーナ。

 僕達は、そのまま表通りのギルドまで来る。

「ハヤト、こっちです」そこにはもう、ルイス達が先についていた様だ。

「おまたせ」と僕達は、それぞれに挨拶をすます。

「今月の初めはもう、クエストは、パプキンヘッド一色でした」

 僕はこれからのクエストに備えて、ルイスの持って来てくれた装備を付けていく。

 腰に鞘、そして剣を差し込んでいく。槍だけはなんとか、魔法で大きさを調整し指輪の中に仕込めるようになったけれど、他の部分はまったく魔力の調節するのは難しく、そのままの大きさで持ち歩いている。

「へぇ――こっちもハロウィンが、あるんだ」

 僕は、服の上から軽量版の鎖帷子を着こむ。

「あります。そしてこの時期には、人手確保の為冒険者がかり出されますね」

「人手が必要? 警備体制でも整えるのだろう……向こうの世界とそんなに、違いはないのかな」

 そう言いながら日本料理行った為に、一応つけておいたネクタイを外す。その時何気なくフィーナと目があったのに、僕と目が合うと彼女はどこかへ行ってしまう。

「あれ?」

「ネクタイを、外す事でときめく人も居ますからね……」

「それならネクタイずっと付けたり、外したりして様かな……」

「いいですね。それも面白いと思いますよ」

「本当にいいと思ってる?」

「はい、もちろんですよ」ルイスは、素敵な笑顔でそう言った。

 絶対、嘘だ……。

 準備が出来た僕は、パーティーのみんなと一緒に馬車に乗り込む。

 僕の畑とは違い、今回のギルドクエストの畑はすぐそばなのだが、うちのパーティー人数が多すぎたりいろいろな理由で、城から馬車が出ている。
 主な理由が、住民に不安を与えるって事の様な気がしなくもない……。

 馬車の中では、パプキンヘッドの対策説明がこれから行われるのだった。

       つづく 

 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

お花畑な母親が正当な跡取りである兄を差し置いて俺を跡取りにしようとしている。誰か助けて……

karon
ファンタジー
我が家にはおまけがいる。それは俺の兄、しかし兄はすべてに置いて俺に勝っており、俺は凡人以下。兄を差し置いて俺が跡取りになったら俺は詰む。何とかこの状況から逃げ出したい。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

嵌められたオッサン冒険者、Sランクモンスター(幼体)に懐かれたので、その力で復讐しようと思います

ゆさま
ファンタジー
美少女パーティーにオヤジ狩りの標的にされ、生死の境をさまよっていたら、Sランクモンスターに懐かれてしまった、ベテランオッサン冒険者のお話。 懐いたモンスターが成長し、美女に擬態できるようになって迫ってきます。どうするオッサン!?

Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶
ファンタジー
Sランクパーティのリーダーだったベルフォードは、冒険者歴二十年のベテランだった。 しかし、加齢による衰えを感じていた彼は後人に愛弟子のエリックを指名し一年間見守っていた。 彼のリーダー能力に安心したベルフォードは、冒険者家業の引退を決意する。 故郷に帰ってゆっくりと日々を過しながら、剣術道場を開いて結婚相手を探そう。 そう考えていたベルフォードだったが、周りは彼をほっておいてはくれなかった。 これはスローライフがしたい凄腕のおっさんと、彼を慕う人達が織り成す物語。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...