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それでも少しずつ歩む日々
進もうとする道
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城下町に一軒だけの日本料理屋、決して潰れる事のない国営の店である理由は、きっと彼女達の友達の勇者が理由だろう。
料理屋へ入ると僕は、個室を希望した。申し訳ないが、個室が開いてない様だったらここで食べるのは、諦めて貰うつもりでいた。けれど、個室は開いており日本料理を食べる事が出来る様だ。
「私、おにぎりと豚汁、卵焼きの『勇者へのおもてなし』にします」
注文をとりに来た、仲居さんにフィーナは、そう伝えた。
「ウンディーナもそうする」
「ウンディーナ、梅干し食べられるの? 酸っぱいから変えて貰う?」
仲居さんの配ってくれた。お茶飲みながらウンデーネに、僕は横ヤリを入れる。
「主様、大丈夫」
そう言ってニコニコ笑顔だが、その笑顔はわりとすぐ曇る事を僕は知っていた。
そしてシルエットは、「天麩羅とミニうどんのついたセットをください」
「僕は、親子丼のセットを1つ」そしてみんなを見回したのちに「以上です」と、告げる。
「はい、少々お待ちください」
中居さんは普通の洋装を着ていたが、東洋人ぽい人だった。
そこでようやく一息ついて、彼女達に今後の予定を聞く事にした。
「フィーナ、今後の予定としては魔界の魔王の城に行く事を考えている」
「でも、一度私の故郷に帰るだけの事に、魔王様に話を伺うまでもないと思います。小さな頃の私ならいざ知らず……」
「僕は、人間だから向こうの魔界で勝手をすると、魔王の顔に泥を塗る事になりかねない。僕側の理由で向かう理由もあるけど……けれど、彼は悪くすると君の故郷を根絶やしにするまで考えているのでそこは慎重に動きたいというのもあるんだ」
「それは分かっていますが、魔王様に了承を得ると言う事は、それだけ事が大きくなり、ただでは、済まない部分も大きくなります」
「それなら、私達が来た道を使えばいいじゃない? それかフィーナがいつもハヤトを覗いていた様に、ヤーグ様を覗けば? 彼ならすぐに気付くじゃないかしら?」
「えっ!? いつそんな」
いつも落ち着いている彼女にしては珍しく慌てていた。そして顔は、耳までピンク色だ。
「えっ?!」
僕も慌ててフィーナを見返す。僕も普通の男性として見られてはいけない場面は、多々あるわけで……。
「大丈夫だった?」
思わず、聞き返す。大丈夫だったってなんだ。しかしあえて墓穴を掘るわけにはいかなかった。
「だいたい、大丈夫でした……」
彼女は太ももに手を置き、下を向く。彼女の前髪のせいで彼女がどこを見ているのかさえわからない。
えっ……彼女は自分の覗き恥ずかしいのか、僕の大丈夫でない部分について照れてるのか、薄暗い事はないが……気になる。
「そこについては、二人だけの時は話そう」
「えっ!? ……はい……」
「二人だけの時、どんな話をするのか気になるわね」
そう言ってシルェツトが楽しそうに笑う。
「じゃ、シルェツトの言う通りここを出発する直前に、魔王に通信を試みるなど、いろいろ試してみよう。でも、この国の人々や、仲間の前でも、もしかして誤解されるような事は控えたいから、出来るだけ出発の前にするよ事にしたいんだ……」
「「はい」」と、シルエットとウンデーネは答えるが、シルエットだけが……「貴方はここへ来たばかりなのに、人間界に随分肩入れするのね」
「えっ? そうですか? たぶんシルエットと同じ位だと思いますけど」
僕が、そう言うと彼女は少し黙り込み――。
「貴方は若いのに遊びがいが、無いわよねぇ……」と、ルイスに鍛えられた僕に対して、こっそり呟いた。
「そして狐達の里では、僕としては出来たら、白銀狐の時期後継者後継者としてでは無く、両親をの事について聞く立場がある事。そして君に父について来た人についての責任がある事についてだけ、君の従兄殿の祖父殿と対峙して貰いたい。悔しいかもしれないが、上手く行ったら従兄殿に祖父殿を裁いてもらいそこで納得して貰いたい。君が望めば後継者争いに手を貸すが、人間の僕が出ていけば軋轢しかうまないから……二人で一緒に、ここの人間界か魔王と一緒に暮そう」
「ハヤトは、ハヤトの世界には帰らないの?」
「そうだね。たまに遊びに行くのは、いいかもしれないけどね」
彼女は、少し信じられないって顔もするが……僕はただ作り笑いしか浮かべる事しか出来なかった。上手くいかなければ、魔王の行おうとする事を、僕が行う事になるだろう。
そうすれば僕はこの世界の月の向こう、懐かしの故郷に帰る事を僕自身が断念する事になる。
きっと……狐達は僕から見分けがつかないほど、人間だのだから……。
つづく
料理屋へ入ると僕は、個室を希望した。申し訳ないが、個室が開いてない様だったらここで食べるのは、諦めて貰うつもりでいた。けれど、個室は開いており日本料理を食べる事が出来る様だ。
「私、おにぎりと豚汁、卵焼きの『勇者へのおもてなし』にします」
注文をとりに来た、仲居さんにフィーナは、そう伝えた。
「ウンディーナもそうする」
「ウンディーナ、梅干し食べられるの? 酸っぱいから変えて貰う?」
仲居さんの配ってくれた。お茶飲みながらウンデーネに、僕は横ヤリを入れる。
「主様、大丈夫」
そう言ってニコニコ笑顔だが、その笑顔はわりとすぐ曇る事を僕は知っていた。
そしてシルエットは、「天麩羅とミニうどんのついたセットをください」
「僕は、親子丼のセットを1つ」そしてみんなを見回したのちに「以上です」と、告げる。
「はい、少々お待ちください」
中居さんは普通の洋装を着ていたが、東洋人ぽい人だった。
そこでようやく一息ついて、彼女達に今後の予定を聞く事にした。
「フィーナ、今後の予定としては魔界の魔王の城に行く事を考えている」
「でも、一度私の故郷に帰るだけの事に、魔王様に話を伺うまでもないと思います。小さな頃の私ならいざ知らず……」
「僕は、人間だから向こうの魔界で勝手をすると、魔王の顔に泥を塗る事になりかねない。僕側の理由で向かう理由もあるけど……けれど、彼は悪くすると君の故郷を根絶やしにするまで考えているのでそこは慎重に動きたいというのもあるんだ」
「それは分かっていますが、魔王様に了承を得ると言う事は、それだけ事が大きくなり、ただでは、済まない部分も大きくなります」
「それなら、私達が来た道を使えばいいじゃない? それかフィーナがいつもハヤトを覗いていた様に、ヤーグ様を覗けば? 彼ならすぐに気付くじゃないかしら?」
「えっ!? いつそんな」
いつも落ち着いている彼女にしては珍しく慌てていた。そして顔は、耳までピンク色だ。
「えっ?!」
僕も慌ててフィーナを見返す。僕も普通の男性として見られてはいけない場面は、多々あるわけで……。
「大丈夫だった?」
思わず、聞き返す。大丈夫だったってなんだ。しかしあえて墓穴を掘るわけにはいかなかった。
「だいたい、大丈夫でした……」
彼女は太ももに手を置き、下を向く。彼女の前髪のせいで彼女がどこを見ているのかさえわからない。
えっ……彼女は自分の覗き恥ずかしいのか、僕の大丈夫でない部分について照れてるのか、薄暗い事はないが……気になる。
「そこについては、二人だけの時は話そう」
「えっ!? ……はい……」
「二人だけの時、どんな話をするのか気になるわね」
そう言ってシルェツトが楽しそうに笑う。
「じゃ、シルェツトの言う通りここを出発する直前に、魔王に通信を試みるなど、いろいろ試してみよう。でも、この国の人々や、仲間の前でも、もしかして誤解されるような事は控えたいから、出来るだけ出発の前にするよ事にしたいんだ……」
「「はい」」と、シルエットとウンデーネは答えるが、シルエットだけが……「貴方はここへ来たばかりなのに、人間界に随分肩入れするのね」
「えっ? そうですか? たぶんシルエットと同じ位だと思いますけど」
僕が、そう言うと彼女は少し黙り込み――。
「貴方は若いのに遊びがいが、無いわよねぇ……」と、ルイスに鍛えられた僕に対して、こっそり呟いた。
「そして狐達の里では、僕としては出来たら、白銀狐の時期後継者後継者としてでは無く、両親をの事について聞く立場がある事。そして君に父について来た人についての責任がある事についてだけ、君の従兄殿の祖父殿と対峙して貰いたい。悔しいかもしれないが、上手く行ったら従兄殿に祖父殿を裁いてもらいそこで納得して貰いたい。君が望めば後継者争いに手を貸すが、人間の僕が出ていけば軋轢しかうまないから……二人で一緒に、ここの人間界か魔王と一緒に暮そう」
「ハヤトは、ハヤトの世界には帰らないの?」
「そうだね。たまに遊びに行くのは、いいかもしれないけどね」
彼女は、少し信じられないって顔もするが……僕はただ作り笑いしか浮かべる事しか出来なかった。上手くいかなければ、魔王の行おうとする事を、僕が行う事になるだろう。
そうすれば僕はこの世界の月の向こう、懐かしの故郷に帰る事を僕自身が断念する事になる。
きっと……狐達は僕から見分けがつかないほど、人間だのだから……。
つづく
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