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それでも少しずつ歩む日々
槍の稽古とミッシェル
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朝、ホーエンツォレルン城の兵士の練習場へ行くと、あまり人は居ない。みんな職業兵士なので、深夜の務めで帰宅してしまう人や朝にも普通に仕事をしている人が多いからだ。
だから、だれも居ない練習場で、一人で練習するかミッシェルと練習する事が、朝は多い。だから、柔軟体操の為に朝から奇声あげてたり、バランスをとって立ってたりしても大丈夫だ。
時間が来れば一同集まっての稽古が行われる。そして最後に師匠のバジリオと戦うチャンスがある。
「ハヤト準備をしろ」
その一言で、多くの弟子が僕の準備を手伝う事になる。何故なら早く準備をさせる事によって、自分が闘うチャンスが得られるからだ。
腰につける。鞘を次々投げられ、手伝われながら腰に巻いていく。鞘を両側に付けると先に進み、短剣2本と、木の柄で刃先が十字になっている槍を選ぶ事になる。
槍の十字は、相手の剣を抑え込むのにも使えるし、相手を切り裂く燿に本物は刃が付いている。短剣は、槍を時には投げるので予備と護身用だ。
練習用の槍と短剣をそれぞれの置き場から引き抜き鞘に納め、最後に槍を手に持つ。そのまま僕と師匠は、円の中をまわり相手をけん制し分析する。以前からわかっている事だが、改めて言うと普通の剣を携えた師匠は、それだけ力があるし普通の剣を使う事で僕より殺傷能力高い。剣に、短剣の僕は、真っ向から挑んでも無駄だ。その上、師匠は僕と同じタイプの槍を選んだと言う事は、鉄の柄で敵の攻撃を柄の能力で払うのではなく、魔法なりのトリッキーな技を使うと言う事だ。
ちなみに国の槍の兵士が、どんな戦い方をするかまとめられた本が最近、兵士練習場の売店に置かれる事となった。その本はファンブックとしてニックネームと動物にデフォルメされた兵士の挿絵もつけられているが、それに加えご丁寧にそれぞれの戦い方や弱点が書かれている。
その本の取材の時には、憤慨していた兵士達も「それはお前達の弱点を示唆する、大切な評価で、乗り越えねばならない課題だ。それを乗り越えるチャンスを掴めなくてどうする? もし他国にそれが渡った場合もそれを乗り越えるだけの技量をお前達が、身につければ問題はない」そう、師匠のバジリオが言い切るので、彼らを取材している者に最新の注意箇所をその場でねだる様になったので……ミッシェルが「取材になりません!?」と最近愚痴る毎日である。
(ミッシェルさん、訓練する気ある?)
そう言えばその本をについて、他のジョブのパーティーメンバーに聞いて回ってたが、魔法剣士のオリエラには結構好評だったのだが、ぬいぬいは呆れた顔で――。
「魔法使いの連中にそんな事してみろ、明日には毒殺されるぞ」と言われ、ルイスには聞かないと言う賢明な判断をしたようだった。
「「お願いします」」
ミッシェルの熱い視線を受け僕と師匠は戦う事になった。やけっぱちだったミッシェルが、商魂たくましくなりうれしいよと呆れつつ。
「始め!」と、戦いの火蓋は切られた。
やはり僕達は、半円にまわりながら相手を見据える。ここで、師匠に攻撃を先にされてしまうともう、僕のペースに戻れない可能性まであるので、少し無鉄砲だが飛び込む。
そのまま師匠の足先を槍の柄の部分で払い、師匠のすきをつこうとするが、僕が払う前にもう師匠の足先はない。
そのとたん、槍に大きな衝撃と言う重みがかかり、僕はいきなりガクーンと、腰を落とすことになる。
そして柄から降りる師匠より早く、僕の槍に行き渡された木の魔法の因子を実態化させ、師匠をその魔法の蔓でグルグル巻きにしなけ――。
!! 蔦の間から槍の剣先が見えた! と、思う間のなく、蔦は師匠の槍によってバラバラに切り刻まれる。
(もう! なんだよ早すぎるよ!)
そしてもう目の前に来ていた槍先を、何とか短剣で受け止める。その時、オォ と、声がした。
残った蔦で動かしていた槍は、群衆の声によって気づかれ、師匠の背中に当たる一歩手前で、受け止められていた。俺は師匠が俺の槍を受け止め間際に、凄い勢いの柄の攻撃で吹っ飛ばされていた。
師匠と彼の槍先を正面から下へと、押さえている僕の槍は、先ほどの勢いはないものの、一本、一本と蔓の量を増やしその距離縮める様動く。師匠の胸元にジリジリと近づいている僅かな時間。
その本当の僅かな時間で、師匠の槍の剣先と返しの間に入った僕の槍の進行を師匠から逸らし、ながら進む事によって槍先が蔦を切り開く。
目標を失った僕の槍は蔓を絡めつつ僕の近くに落ちたのを、拾うか、座り込みながら短剣を抜くか考えている間に……。
僕の目の前に師匠の、槍先が僕をとらえていた。
「はは……負けました……」
その一呼吸後に歓声があがり、次の対戦相手を師匠が指名していく。
ミッシェルが、僕に手を差し出し……「ハヤトさん、魔法に頼り過ぎです。蹴らてもそれをそらすように、フィジカルをもっと鍛えていきましょう」
「ミッシェル……。ミッシェルの立ち位置そこ?」
「そうです!」
「そうなのか……」
いろいろな技能を取り入れつつあるミッシェルは、新しい自分の在り方や自分の使い道を見つけた様だ。兵士事務所で、くさって居場所のなかった彼ではもうないのかもしれない……。
……あれ? 今回そう言う内容だった? あれ、僕活躍してなかったけ?
つづく
だから、だれも居ない練習場で、一人で練習するかミッシェルと練習する事が、朝は多い。だから、柔軟体操の為に朝から奇声あげてたり、バランスをとって立ってたりしても大丈夫だ。
時間が来れば一同集まっての稽古が行われる。そして最後に師匠のバジリオと戦うチャンスがある。
「ハヤト準備をしろ」
その一言で、多くの弟子が僕の準備を手伝う事になる。何故なら早く準備をさせる事によって、自分が闘うチャンスが得られるからだ。
腰につける。鞘を次々投げられ、手伝われながら腰に巻いていく。鞘を両側に付けると先に進み、短剣2本と、木の柄で刃先が十字になっている槍を選ぶ事になる。
槍の十字は、相手の剣を抑え込むのにも使えるし、相手を切り裂く燿に本物は刃が付いている。短剣は、槍を時には投げるので予備と護身用だ。
練習用の槍と短剣をそれぞれの置き場から引き抜き鞘に納め、最後に槍を手に持つ。そのまま僕と師匠は、円の中をまわり相手をけん制し分析する。以前からわかっている事だが、改めて言うと普通の剣を携えた師匠は、それだけ力があるし普通の剣を使う事で僕より殺傷能力高い。剣に、短剣の僕は、真っ向から挑んでも無駄だ。その上、師匠は僕と同じタイプの槍を選んだと言う事は、鉄の柄で敵の攻撃を柄の能力で払うのではなく、魔法なりのトリッキーな技を使うと言う事だ。
ちなみに国の槍の兵士が、どんな戦い方をするかまとめられた本が最近、兵士練習場の売店に置かれる事となった。その本はファンブックとしてニックネームと動物にデフォルメされた兵士の挿絵もつけられているが、それに加えご丁寧にそれぞれの戦い方や弱点が書かれている。
その本の取材の時には、憤慨していた兵士達も「それはお前達の弱点を示唆する、大切な評価で、乗り越えねばならない課題だ。それを乗り越えるチャンスを掴めなくてどうする? もし他国にそれが渡った場合もそれを乗り越えるだけの技量をお前達が、身につければ問題はない」そう、師匠のバジリオが言い切るので、彼らを取材している者に最新の注意箇所をその場でねだる様になったので……ミッシェルが「取材になりません!?」と最近愚痴る毎日である。
(ミッシェルさん、訓練する気ある?)
そう言えばその本をについて、他のジョブのパーティーメンバーに聞いて回ってたが、魔法剣士のオリエラには結構好評だったのだが、ぬいぬいは呆れた顔で――。
「魔法使いの連中にそんな事してみろ、明日には毒殺されるぞ」と言われ、ルイスには聞かないと言う賢明な判断をしたようだった。
「「お願いします」」
ミッシェルの熱い視線を受け僕と師匠は戦う事になった。やけっぱちだったミッシェルが、商魂たくましくなりうれしいよと呆れつつ。
「始め!」と、戦いの火蓋は切られた。
やはり僕達は、半円にまわりながら相手を見据える。ここで、師匠に攻撃を先にされてしまうともう、僕のペースに戻れない可能性まであるので、少し無鉄砲だが飛び込む。
そのまま師匠の足先を槍の柄の部分で払い、師匠のすきをつこうとするが、僕が払う前にもう師匠の足先はない。
そのとたん、槍に大きな衝撃と言う重みがかかり、僕はいきなりガクーンと、腰を落とすことになる。
そして柄から降りる師匠より早く、僕の槍に行き渡された木の魔法の因子を実態化させ、師匠をその魔法の蔓でグルグル巻きにしなけ――。
!! 蔦の間から槍の剣先が見えた! と、思う間のなく、蔦は師匠の槍によってバラバラに切り刻まれる。
(もう! なんだよ早すぎるよ!)
そしてもう目の前に来ていた槍先を、何とか短剣で受け止める。その時、オォ と、声がした。
残った蔦で動かしていた槍は、群衆の声によって気づかれ、師匠の背中に当たる一歩手前で、受け止められていた。俺は師匠が俺の槍を受け止め間際に、凄い勢いの柄の攻撃で吹っ飛ばされていた。
師匠と彼の槍先を正面から下へと、押さえている僕の槍は、先ほどの勢いはないものの、一本、一本と蔓の量を増やしその距離縮める様動く。師匠の胸元にジリジリと近づいている僅かな時間。
その本当の僅かな時間で、師匠の槍の剣先と返しの間に入った僕の槍の進行を師匠から逸らし、ながら進む事によって槍先が蔦を切り開く。
目標を失った僕の槍は蔓を絡めつつ僕の近くに落ちたのを、拾うか、座り込みながら短剣を抜くか考えている間に……。
僕の目の前に師匠の、槍先が僕をとらえていた。
「はは……負けました……」
その一呼吸後に歓声があがり、次の対戦相手を師匠が指名していく。
ミッシェルが、僕に手を差し出し……「ハヤトさん、魔法に頼り過ぎです。蹴らてもそれをそらすように、フィジカルをもっと鍛えていきましょう」
「ミッシェル……。ミッシェルの立ち位置そこ?」
「そうです!」
「そうなのか……」
いろいろな技能を取り入れつつあるミッシェルは、新しい自分の在り方や自分の使い道を見つけた様だ。兵士事務所で、くさって居場所のなかった彼ではもうないのかもしれない……。
……あれ? 今回そう言う内容だった? あれ、僕活躍してなかったけ?
つづく
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