魔王がやって来たので

もち雪

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それでも少しずつ歩む日々

遅い夕食と魔族のふたり

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 すっかりぼくらの家となった、勇者の間に帰り着くと、皆、夕食を食べ終わった後だった。料理が、城の調理場で調理され時間通り運ばれて来るので、コックの達の為にも温かく美味しい内に食べた方がいいと言う考えが僕達のルールになっていた。

 それでも、今、この屋敷に居るメンバーは、ダイニングのテーブルに集まっている。右側が男性、左が女性と言う風に何となく割り振られている。話題の中心人物が、暖炉側を中心として順番で、僕、ルイス、ミッシェル、そしてぬいぬい。左側は、フィーナ、オリエラ、ウンデーネ、シルエットになっている。最初は、オリエラは、ぬいぬいの前に座ろうとしていたが、「なぜ、お前がそこに座る。お前はもっと向こうだろ。行く、行かないにしても、話はちゃんと聞いておけ」と言われその位置についた。

 ちなみに、今、ウンデーネは、シルエットになにやら、手や腕を掴まれて凄く観察されている。ウンデーネは、普段は強気なのなのだが、シルエットの能力とは別に、強気でグイグイくる妖艶な女性に弱いようで、涙目でこちらを見てくる。僕はそれを少しの笑顔で見守る。正解は、よくわからないがここで見守るのが正解な気がする。シルエットはここ人間界で生きるのだから、僕に依存せず生きて貰いたい……。

 人生に正解は、無くも僕の考えが間違っているかもしれない。いや、きっと間違う事もある。足が止まった時、それから考えてもいいと思う。僕は、ここでこれだけの仲間が出来たのだから……。

 そう言えば、ルイスもミッシェルも仲間でいいんだよね? ルイスは、当初、誰かの思惑で来ているみたいな事言ってて、ミッシェルは、転職の為に最近すご――く頑張っているけど……。

 僕が、ルイスの顔を見つめると……。

「あぁ……ウンデーネとハヤトは、食べていて大丈夫ですよ。不都合があったら話す、と言う形で」

 と、至極しごく真っ当に、僕の達のパーティーのリーダー補佐をしてくれる。

「お願いします」と、言いながらエビフライぽいフライを食べる僕。う――ん、こんなリーダーです! まぁ力不足は、今始まった事ではないし良いか。

「では、今日のギルドで聞いて来た情報を、まず。今回、運よくレンギルド長が居たので、滞りなく進み。フィーナとシルエットの仮の身分証明書は、ウンデーネと同じ書体の物が、ギルド長の権限でだされました。しかしやはり、副長の紫龍しりゅうさんとめる声が待っている間中、待合室によく聞こえてました。それはやはり……王への我々の貢献を越えての反感を買うと言う、可能性がある、という事を覚えておいてください。

「わかりました」「怖いわねぇ」

 ルイスの言葉を、受け入れたフィーナと、机に頬づえをつきながら不敵な笑みを浮かべなら答えたシルエット。

「でも、二人とも魔王ヤーグのもとにいたのだから、心配などいらないと心配はいらないと僕は考えていますよ」

「もちろんです」と言うフィーナと、「ふふふ」と笑うシルエット、あえて魔王の名前を出した事をふたりは気付いていると思う。いや、思いたい。魔王の名を出して醜態しゅうたいは、見せないだろう絶対。

 しかし僕の仲間は、その事をしらない。

「しかし人間やはり未知の出会いには、不安になるものだから何かあったら僕かルイスに話して、そうしたら力になるから」

「そうですね、わたしも聞きたい事は山ほどあるので、そのついでで、良ければ一緒に聞きましょう」

 そう言って、先頭を切って切り込んでくるのが、ルイス。

「なんでも、答えられる事ではあればでが……答えます!」 「プライベートの事はちょっと……」

 なんか返答が、自由過ぎる……。

「お前たちが魔王からのスパイって事は無いんだな」

 一番後ろからの、ぬいぬいの声……。

「ちょっと、師匠! フィーナは、ハヤトの恋人なんだよ」

「大丈夫です。ここは少しですが城からも離れていて、ハヤトはもともとこの城の人々から、警戒されてここに隔離されているようですので、そこに魔王の幹部が来ても、良い監視が出来る場所にいる、と思っていただければ、貴方達人間は、安心出来るのでは?」

「私も大丈夫よ♪ ここならスパイするまでもなく、壊滅させる事が出来るもの、安心して」

 「なっ!?」珍しく、ぬいぬいが、絶句する。

「じゃ、そう言う事で、次に話題に行きます」ルイスが、淡々と進める。魔界から来た二人の力を感じとり、彼女達の力を肯定し、新たなもめ事を避けたのだろうか?

「ちょっと、待ってください。城を、壊滅させる様な人たちをここに置いておいていいんですか?」ミッシェルが、声を荒げる。まぁそれは、そう……。

「ごちそうさま」
 ウンデーネが、食べ終わったらしい。よくこの空気で、晩御飯食べれてましたね……。それに目を付けたルイスが――。

「ウンディーネ、お皿はキッチンに行ってちゃんと洗って来て、最近サボってますよね?」

「はい……」そう言って、ウンデーネは退場した。

「ミッシェル、一人だけの意見を、みんなが言っていると言うのは馬鹿げた事と思いますが、この場合はそう考えた方をした方がいいと私は考えます。魔族の人間は帰れ、それは正しい事だと思います。しかし私はまぁ――ハヤトとがと言うとわからないかもしれないでしょうが、勇者が対話が出来ると考えているのならば、一度は試してもいいと思います。
 まぁここで話が、破談になり世界を危険にされすよりは前向きな明日があるはずです。なんせ勇者は、彼女にべた惚れなので彼女達が裏切るようならもう世界は、終わったも同然です。と言う事です、ミッシェル」

「もう! ハヤトさん何やってるんだすか!?」

「恋?」

「も――う、ハヤトさ――ん!」
 ミッシェルの声が、ダイニングルームに響く。僕の前には、耳まで赤い彼女が居た。


          つづく
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