魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
上 下
77 / 166
王の命

カミナリの魔法

しおりを挟む
 久しぶりに兵士練習場へ立つ。

 僕のもと来た世界のジャージは、もう1着のみ。すべては、スライムのデロデロ体液のせいだ。仕方なので、魔法学校の体操着を着ると、普通の状態でも『魔紋』が、ざわつきだす。
 半袖を着ていると、魔紋が見え隠れするようにまでなり、僕を、不安にさせる。それは、良い。その魔力のおかげかウンディーネのお顔が、心なしかつるつるすべるべなのなのも良い。
 でも、少し魔法が、制御出来ない部分が出来ているのが、問題だ。今は、コーヒーカップに、波紋が浮かぶとか、火の火力が強い程度なのだは、未知なものなので慎重にならざるおえない。
 
 今日は、ルイスは別行動で、僕とウンディーネは、兵士練習場に来ている。

 雷の魔法の習得とウンディーネは、雷の魔法から身を守る訓練をしていた。しかし僕の雷の魔法の前には、ウンディーネの水の防御壁は無力で、途中で彼女の水魔法に雷の魔法を、上乗せする攻撃方法の練習に切り替えていた。

「ウンディーネ行くよ――!」

「はい、主様あるじさまどうぞ」

 僕とウンディーネは、並び立つ。まず、ウンディーネが、辺りの空気の水分に力を与え濃い霧を作り出す。その中で、三本の水の矢に、螺旋を描かせ、目標に射る。

 僕の手から放たれて雷が、その中を入り乱れる様に、僕のカミナリが螺旋を描き、そしてその威力を霧を通してたの全体の敵をも倒す様に霧に魔力をうわ乗せする。

 目標物は、真っ黒に燃えて射貫かれているかが……。今の状態なら範囲攻撃にして弱すぎだろうか? 敵が未知数だからわから過ぎる。

「ウンディーネ、この全体攻撃についてどう思う?」

「うん――。ウンディーネは、今まで誰とも契約をした事がないので、わからないです」

 ウンディーネは、その全身を魔法の杖替わにしているので、攻撃はえぐいが、かわいい。手を後ろに組んで、もじもじしている所がかわいい。うーんよくわからないなんだろう。まぁ趣味じゃないって事はないだろうもうわからん。しらん。

「どうしました? レインの事そんなに見つめて」

 いつのまにかウンディーネは、僕の前に立ち、僕だけに聞こえる様にいう。

「あ……そんなに見てたのなら、これから気をつけるようにしないとね。 無意識が、ちょっと制御出来てないから……」

 僕は、そう言って彼女の言葉を誤魔化し、右腕を見せる。そうすると明らかに彼女の表情が曇るので、良くない状況なのだろう。彼女は、丸太の椅子に座らせると、僕の手を取り目を閉じる。

「水の魔法を使う感覚だけに、集中してくださいませんか?」

 彼女の口調が少しかわった。僕は彼女の言う通りにすると、僕の水の力はあっけなく彼女とつながる別次元に流れ込んでいるような、底の無いマナを感じる。僕の水の魔力を飲み込む様に、彼女の回復魔法に似た水魔法が、僕の腕を通って僕のマナに干渉するのがわかる。

「貴方の魔法の早熟さと私の存在とが、貴方のマナに干渉しすぎてしまった様です。しばらくは、落ち着くでしょうが、貴方自身が成長しなかれば、あなた自身を壊してしまう恐れもあります。お気を付けください」
 そう言って彼女は、僕の手を包み込み、「だから、今日の魔法訓練はここでおやすみ。わかった? 主様あるじさま
 
 「あぁ、わかったありがとう。ウンディーネ」

 僕はすべてが、すんなり進まない苛立ちを隠してそう答えた。

          つづく
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

愚かな父にサヨナラと《完結》

アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」 父の言葉は最後の一線を越えてしまった。 その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・ 悲劇の本当の始まりはもっと昔から。 言えることはただひとつ 私の幸せに貴方はいりません ✈他社にも同時公開

【完結】私だけが知らない

綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。 優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。 やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。 記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。 【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ 2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位 2023/12/19……番外編完結 2023/12/11……本編完結(番外編、12/12) 2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位 2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」 2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位 2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位 2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位 2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位 2023/08/14……連載開始

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

王太子の子を孕まされてました

杏仁豆腐
恋愛
遊び人の王太子に無理やり犯され『私の子を孕んでくれ』と言われ……。しかし王太子には既に婚約者が……侍女だった私がその後執拗な虐めを受けるので、仕返しをしたいと思っています。 ※不定期更新予定です。一話完結型です。苛め、暴力表現、性描写の表現がありますのでR指定しました。宜しくお願い致します。ノリノリの場合は大量更新したいなと思っております。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【本編完結】さようなら、そしてどうかお幸せに ~彼女の選んだ決断

Hinaki
ファンタジー
16歳の侯爵令嬢エルネスティーネには結婚目前に控えた婚約者がいる。 23歳の公爵家当主ジークヴァルト。 年上の婚約者には気付けば幼いエルネスティーネよりも年齢も近く、彼女よりも女性らしい色香を纏った女友達が常にジークヴァルトの傍にいた。 ただの女友達だと彼は言う。 だが偶然エルネスティーネは知ってしまった。 彼らが友人ではなく想い合う関係である事を……。 また政略目的で結ばれたエルネスティーネを疎ましく思っていると、ジークヴァルトは恋人へ告げていた。 エルネスティーネとジークヴァルトの婚姻は王命。 覆す事は出来ない。 溝が深まりつつも結婚二日前に侯爵邸へ呼び出されたエルネスティーネ。 そこで彼女は彼の私室……寝室より聞こえてくるのは悍ましい獣にも似た二人の声。 二人がいた場所は二日後には夫婦となるであろうエルネスティーネとジークヴァルトの為の寝室。 これ見よがしに少し開け放たれた扉より垣間見える寝台で絡み合う二人の姿と勝ち誇る彼女の艶笑。 エルネスティーネは限界だった。 一晩悩んだ結果彼女の選んだ道は翌日愛するジークヴァルトへ晴れやかな笑顔で挨拶すると共にバルコニーより身を投げる事。 初めて愛した男を憎らしく思う以上に彼を心から愛していた。 だから愛する男の前で死を選ぶ。 永遠に私を忘れないで、でも愛する貴方には幸せになって欲しい。 矛盾した想いを抱え彼女は今――――。 長い間スランプ状態でしたが自分の中の性と生、人間と神、ずっと前からもやもやしていたものが一応の答えを導き出し、この物語を始める事にしました。 センシティブな所へ触れるかもしれません。 これはあくまで私の考え、思想なのでそこの所はどうかご容赦して下さいませ。

とある婚約破棄に首を突っ込んだ姉弟の顛末

ひづき
ファンタジー
親族枠で卒業パーティに出席していたリアーナの前で、殿下が公爵令嬢に婚約破棄を突きつけた。 え、なにこの茶番… 呆れつつ、最前列に進んだリアーナの前で、公爵令嬢が腕を捻り上げられる。 リアーナはこれ以上黙っていられなかった。 ※暴力的な表現を含みますのでご注意願います。

どうぞお好きに

音無砂月
ファンタジー
公爵家に生まれたスカーレット・ミレイユ。 王命で第二王子であるセルフと婚約することになったけれど彼が商家の娘であるシャーベットを囲っているのはとても有名な話だった。そのせいか、なかなか婚約話が進まず、あまり野心のない公爵家にまで縁談話が来てしまった。

処理中です...