魔王がやって来たので

王の命

本を読めば

　スライム一掃作戦後の魔法学校へ行った。
　
　しかし入校は、許可されなかった。まぁ……当然と言えば当然だ。1つ例外を作るとそれによって契約が破綻するのだから……。仕方なく城まで帰ると、パンツいっちょで、紙の上に立たさせ砂を丹念にまぶさせれ、砂を払い落される。それからやっとシャワー、そして厳重に回復魔法、その後、城内の神父さんに神の加護系の回復魔法をかけられた。主ぬし級の魔物になると個体差あるので、ヤバさが格段に上がる様だ。
　
　やっと昼食を取った時には食堂のランチの時間もあとわずかと言う時間だった。

「ルイス、午後はこの後、大豆の苗を畑に植えるんだよね」
　
　僕は、料理を前にしてけだるげに、片肘かたひじを付いてルイスを、見ている。ウンディーネは僕の左手を持ってちょっと泣いている。まぁ故郷から出て来て、やっと契約もした人物が、その後二日続けて死にそうなってたら泣きたくもなるよね。

「はい、ですが、大丈夫ですか？　ハヤト……いろいろと……」

「うーんあんまり大丈夫じゃないかな？　二日続けて死にかかるの初めてだし……体が、回復してるんだろうけど……ちょっとなんか、思考が働かない」

「主様、今日は休んだ方が……」

「うん……ちょっと待ってくれ。」
　僕は、食事を終えると、ダイニングルームへと鞄を持ってくる。漫画を中から取り出し本を、広げる。

「主様、これ何ですか？」

「漫画で、これが字だけど読める？」
　僕は、表紙の文字を指さした。

「読めません……」

「ルイスは？」

「日出国ひいずるくにの言葉に似ている様ですが……ちょっと違いますね」

「僕が、住んでた国も昔はそう呼ばれていたらしいので、何か秘密があるのかもね」

「ちなみにこれが、『の』なんだけど、音の響から理解度が変わったとかはない？　転移者は、言葉を実際聞くことによって理解出来るようになるのだけれど」

　そう言うと二人は首を振った。それから僕は、漫画の読み方を教え、ウンディーネにせがまれて音読しながら読む事になってしまった。

　1つ1つの出来事にリアクションして、怒ったり、泣いたりするウンディーネと珍しいものに対して質問を何度もするルイス。ルイスもそれなりにリアクションをして、楽しそうなんだが、ウンディーネは悲しい別れの場面ですごく泣いてしまったので音読はそこでストップする。　でも、気になるらしく僕が音読し始めると……。

「主様は、悲しくないのですか？　ふたりがここで別れ別れになってしまったんですよ！！」

「だから、先が、気になるから先に進もうか？」

「先を読むと気になっちゃじゃないですか！？　でも、ふたりが別れてしまった事が悲し過ぎて……」と、ウンディーネは泣く。

　「ウンディーネ、そんなにご自分のペースで読みたいのら、ハヤトに日本語を、教えて貰ったらどうですか？」
　ルイスは、心底面倒くさそうに言うが――。（そんな事してたら僕が、過労死しちゃうよ＾＾＾＾）

　ルイスには、ひらがな、カタカナ、漢字の話をした。そうしたならば――。

「なんで、そんな非生産的な事をしているんですか？」

　不可解さを顔前面で表現していたので、面白かった、それでも字の読み書きが出来る人は、１００％ではないけど、結構な人が出来るよって言ったまた驚いていた。珍しいものを見た。

　漫画によってテンションを、上げる事は出来なかった。ふたりによって、僕は少し助けれられたように思う。

　　　　　　　　　つづく