魔王がやって来たので

もち雪

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王の命

スライム一掃作戦

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 食事の終わった。僕達は、昨日スライムが生息していた、川のほとりにいる。

 そこには不思議な事にスライムは、もう一匹も居ない。ルイスの行ったあの攻撃によって、すべて倒してしまったのだろうか?

 僕は、ジーンズに麦わらの下のほっかむり手ぬぐいに、長袖のTシャツ、ルイスが、執事用の燕尾服に、ウンディーネが、白、青を基調にしたワンピース。統一感がない3人で辺りを見回す。念のため草木が生い茂る橋の中を調べる事にする。

「ちょっと魔法行きます」

 僕は、橋の横に立ち辺りを見回す2人に声をかけた。

「「は――い」」

 ルイスと、ウンディーネは、一緒に返事をして、一緒に二人してそっぽを向いた。実は気が合うのかもしれない……二人とも高貴な生まれだしな。

 道と道をつなぐ川の上にかかった、石橋の下へ、風魔法を投げてみる。ビィチブィブィチブィと、いう粘着音のはじけ飛ぶ音とともに大量のスライムが、ウネウネと石橋の下の薄暗いトンネルからはい出て来る。緑の透明な体液なんだけど……なんかいっぱい管とかも見えて……あれに昨日、自分がはむはむされてたのか……と思うと気の滅入るばかりである。

 川岸へと上がって来ようとするスライムを、絡めとり、風魔法の力の塊は、その威力を少しずつ高めていく。グチャグムニャチャとスライムが、ちぎれ再生する音がする。気になるのが、ピィ――ピィ――というどこから出ているのかわからない高い音が、スライムからする。その音は何か理解に苦しむが、そっちに思考をさく事が出来るほどに魔法の技術は、僕には成長はしてない。しかしそんな事情も知らぬ他人には、この風景は僕によるスライムの殺戮に過ぎない様に思われ、あまり気持ちのいいものではない……。
 しかし全然、スライムは減らずに、増えてさえいるよに感じる。この橋の下のどれだけいるのやら……。

「ハヤト、そろそろこいつらのぬしが出ると思うので、気をつけてくださ――い! 彼らの声が歓喜に変わりました!」 

「ピィ!ピィ! ピキ!」確かに、スライムの声は変わっているが、どこから? そのスライムは現れるのか……風魔法の力の塊を手に置き相手を誘うため、ゆっくり最小限の力で、回す。硬直状態と言って良いこの戦場で、あれだけ煩わしかった、スライムもスライムのぬしと僕らの動向見守っているのか出て来ない。ただ、スライムの声だけ響く。

 その時、足もとスライムのなきがらが「ピィチ」音を立てると、ともに死体が僕をおおいつくす。
 
主様あるじ」「ハヤト」
 二人の僕を呼ぶ声の途中で、外へと繋がる空間は閉ざされた。

 ぬしのスライムは、体が大きい分、単体のスライムほど早くない様であるが、急いでぬいぬい達の言う魔法の組立てというやつをしなくてはいけない。今まで有効そうなイメージをぶちまぜて、僕の手から離し、深呼吸をして口をほっかむりで押さえて、一か八かスライムの粘液の中に飛び込んだ。最大の魔法の風の魔法の中心にゴウゥ――――ゴゥ――――たぎる火炎の力は青白く、全ての空気を飲む込み莫大な火柱が、僕を中心として縦横無人動くまわる。

 目は開けられず、手は最低限しか動かせず、右手の手首を持つ事で最低限のコントロールしかできない。またもや意識がなくなりそうになってしまう間際で、ビシャリッと言う音とともに、僕はスライムの体液ごと地面に叩きつけられた。 まわりはやはりスライムの海で、よつんばいになって少しずつ息をする。ウンディーネが、走って来て、ウンディーネが踏んだスライムだったものが僕の頬に容赦なく跳びちる。

「ウンディーネ……」

「はい、主様あるじさま

「……こんな時……走ると、危ないよ……」


「そんなことより、主様が心配なんです」

 ウンディーネは、目に涙をためて僕を見ている。

「それは、ありがとう……」

 ウンディーネは、困った事にかわいい。そして優しい。僕は、少しため息をはき。スライムの中をずぼずぼとあるく。そのまま川の中のスライムをすべて葬り去り。ウンディーネに、川の水でスライムのむくろを地上へ打ち上げて貰いすべて焼いた。テンションダダ下がりだったが、こんなものだろう。一度、街へ行き魔法学校のシャワーを使わせてもらえないか交渉に行く事になった。もうこの際、庭木のホースでもいい。



             つづく
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