魔王がやって来たので

もち雪

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王の命

永遠の誓い

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 無言で、大豆のプランターと向き合う。お前は、どんな芽になるんだい。僕に教えておくれ……。種は生命の根源。この大豆から、人が生かされる。ありがたい……。

(……はぁ……本当に終わらねぇ……)

 大豆から悟り作戦は、もう面倒になってやめた。今度は、大豆を、沢山育てたら、山のおじいさんに会える作戦にしょう……。って山にのおじいさんって誰だよ! まぁ、いいや……頑張ろう。

(おじぃさん……に、会う……)その思いが通じのか、すべての苗の芽を出すことが出来た。(やっと……おじぃさんに会える)ってだから、おじぃさんって誰だよ!

 これだけ芽を発芽させてわかったのだが……。結構魔法は『やる気と根性』が必要らしく、機械的に魔法を次々と詠唱しても疲れたなと思った時点で、魔法の効果はなんか少なくなる。まぁ結局、当社比なわけだが。設定考えて、魔法使う以外何か方法はないのだろうか? 効率とパフォーマンス的に大丈夫なのか? 魔法。

 念の為、魔法回復サラダを、モギュモギュするか……うまくしたら、ルイスが、頼んだ魔法薬ジュースとエンカウントするイベントが起きるだろう。僕は、食堂へ足を運ぶ。

「すみません、魔法回復サラダください」
 
「あいよ! ルイスさんから聞いてるよ。魔法の訓練だって。当分、このサラダの材料は切らさない様に、発注されているからいつでもおいでよ」
 
 レアキャラの料理長が、そう言って僕をねぎらってくれる。当分か……。どれだけ予定が組まれているんろう……。僕の覚悟……こんな場面で使っていいのかな?ハハハ。

 サラダを、持って座ると、僕の斜め前に座って居た兵士が、ぎょっとした顔で目を背けた……。

 僕は、黙ってサラダを、モギュモギュ食べた。無くならない……。

「あの……これ良かったら」って斜め前のさっきの兵士さんが、今かかっているドレッシングとは違うドレッシングをくれた。

「大変ですが頑張ってください」

「ありがとうございます、ソルトさんドレッシング感謝します」シルスさんが、彼の事をそう呼んでいたのを、思い出して名前を呼んだ。彼は、すこし照れながら食器をかたずけて、食堂から出ていった。

 彼のおかげで、なんとか魔法回復サラダは、食べ終えてすこし、休憩の為に城の噴水前に座る。噴水の前に座り水の音を聞いていると心が和む。
 バシャン水に何か落ちた音がした。噴水に目をやると、噴水のふちに手がかかる。そしてもう一本の手が、かかる。その間に周りでは怒号すぐに兵士が、噴水の周りを取り囲む。噴水の中から静かに髪の張り付いた頭が、出て来る。それに合わせ兵は、今も槍で刺さんばかりだ、皆の呼吸音が荒く聞こえる。その中心で、僕はその異形いぎょうを、見定めていた。何かあったら刺し貫くのは僕の役目なのだから。

 手に力を込め乗り出した体は、おもいのほか豊満で、この何者かは、女性であろうと推測が付いた。その彼女が、顔を上げその愛くるしい顔を見せても、誰もその武器を持つ手の力を緩める者は居なかった。愛くるしい顔が相手を油断させる手段である事はみなが知っているのだろう。そんな中で僕は、彼女に既視感を感じていた。

「ウンディーネだ……」誰かの呟いた言葉が、波紋の様に周りの人々に認知させる中で、僕は感じていた既視感が彼女の瞳である事を思い出した。

主様あるじ会いたかった――!」彼女がそう言った時、皆に一瞬の隙ができた。だが、僕はなんとかベンチにの横に植わっている。オリーブの樹に触り彼女を貫く……はずが僕の配下の枝はすべて何かの力によって切り裂かれてしまった。もう打つすべなしの状態で身を固くする。

 彼女はその豊満な肉体で僕を抱きしめる。ここであえて言おう、良し!と。

 そこへ人々をかき分け、やって来たのが、うちのとんでも執事ルイスである。

「遅いと思って来てみたら、公衆の面前で浮気とか、なかなか肝が据わって来たじゃないですか? 仕えるかいがあるというものです」

「貴方は、誰? この方は私の主様なんですけど……」

「じゃ……私の後輩なんですね。よろしくお願いします」
 ウンディーネは、ルイスと僕の顔を見比べてる。これ説明する必要ある? 帰って貰おう……。

「ウンディーネ……」

「私、別に……主様と一緒に居られれば……1番、2番とかどうでもいいただ、一緒にいらればいいの……そしていつか貴方に勝ちます」
 
(泣いてる……一大決心して泣いている――ひぃ――助けて――!)

「じゃ……精霊の主従の契約をしましょうか……さぁ、お二人ともこちらへ」

「ふたりとも待って、ちょっと落ち着こう」

「主様は、黙ってて、これは私達の問題なの」
 
(だから、なんでだよぉ!)

「ハヤト様、彼女は四大精霊と言われる、ウンディーネなのですよ。ここで契約してしまえるなら、してしまった方が、我々の為になります。ですが……恋人の事が、気になるなら私から言わせてください。私は、真実しか言いません任せてください」

「本当ですか?」

「本当です、仲間を今から裏切ってどうしますか?」

「では、お願いします……」

「お待たせしました。ウンディーネ様お名前を、伺っても?」

「名前は、彼にしか伝えません。私の事は、ウンディーネと呼んでいただければ結構です」

「では、ウンディーネ、ハヤト様には恋人がいらっしゃいます」

「えっ……」
 ウンディーネが、悲痛な声をあげる。そして僕をあの青い目でじっとみつめた。

「私は、そんなハヤト様と一緒に旅をし、お仕えするものです……。でも、貴方はそうじゃない、今なら泡とならず済むでしょう……これは、貴方の為に言っているのです。貴方は、私とは違うのだから……そうですよね……ハヤト様?」

「はい、僕にはただ一人の恋人がいるので……君は帰るべき場所に帰ってください。絶対無理です」

「そういうわけです。お帰りはあちらです」
 ルイスは、そう言って噴水を指さす。言いたいことは、あるがなんとかまとまりそうだった。

「でも!でも……ハヤト様は、ウンディーネの力が必要なんですよね! 貴方の隣に違うウンディーネが、立つのは嫌なんです。私を貴方のただ一人のウンディーネになります。話は聞きました。だからもう十分です。契約をお願いします」

「貴方が、そこまで言うのなら私に、伝える言葉はありません……。ハヤト様もはい!はい!行きますよ――!」
 
 そのまま、僕が召喚された教会で、僕が右手を差し出し彼女が忠誠をたて、右手にくちづけして終わった。

「川の流れが止まらない様に、氷の下で流れゆく水がある様に、わたくしの忠誠心は留まる事を知らず貴方に捧げ、導くでしょう。永遠の誓いをここの立てます レイン」

     つづく
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