魔王がやって来たので

もち雪

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ホイルトツェリオ魔法学校

最高の散歩

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 魔法学校から出発する事、決めた僕達は、校長にお礼の挨拶だけはしておこうと言う話になった。

「ところで、街に何をしに来たの? 」

 と、聞くので、下着や当面の洋服とカレンダーそれに旅の為の食器な事を伝えた。

「下着などは、ここの購買で買うといいよ。白いシャツなら学校のシャツなら、街と同じくらいの値段だし選択としては悪くないよ? 後は、……カレンダーはなぁ……、学校のカレンダー持って行くのはないかな?」

「じゃ……ちょっと購買部を覗いてみます」

「じゃ……俺は、ペン先とインク買って帰ろう」
 
 僕と、ぬいぬいは、購買へ行くと白いワイシャツや靴下などの衣料品や、雑貨が山の様に陳列されている。服が普通に折りたたまれて売っている様子は、こっちもそう変わらないようだが、雑貨のスペースでは、プラッチックがない分厚紙の筒や木の洗濯バサミで止めてあるものある。

 衣料品コーナで、オリエラが掛けてある紐をとりはずと、売店で働いている女性に「メージャー借ります」と声をかけた。「では、私が」とルイスが言うと、腕の長さから、背丈の長さまで様々な箇所を、次々に測りルイスの手帳に記入していく。「終わりました」の言葉の後に、彼は少し考えたのち――。
 
「お買いになるのなら……これと、これと、これがいいでしょう」

 と、僕の前まですべて、持って来てくれる徹底ぶりだった。サイズは、向こうの世界と変わらずMサイズでは、あるらしい。

「では、見学がてら同じ物を、もう1枚づつ取ってきますね」

 衣料品の値段やサイズなど厚紙などに手書きで、書かれている。市場の野菜や魚を売っている所、思い浮かべた。しかし洋服を見てみるとすべてのサイズが、インクのスタンプで押されていた……。やはりこの量の、手書きはきついのだろう。最後に、雑貨のスペースで、厚いノートとペンとペン先を買う事にした。厚いノートには、ばっちり『ホイルトツェリオ魔法学校』と不死鳥のイラストが刺繍されていた」

 これは、卒業生と在校生のふたりには、あまり受けが良くなかったようだ。

「これだけ買った後に、残りの予定の物を、お城から支給されるお金で買えますか?」と、ルイスに聞くと――。

「今月分だけで後、15セットは買えると思いますよ」と、笑いながら答えるので、「オリエラは、凄いお金持ち」といい。

 ぬいぬいは「妥当だろう」と、言った。

 ルイスが、買っている横で見学していたら……。紙袋に、ペンなどの雑貨類、衣服、最後に厚いノートを、ぞんざいに入れたので、ぬ!?っとなった。しかしそこで誰も気にする者どなど居なかった。みんな、僕よりおおらかな人間性なのだろう。

 魔法学校の校長は、さっきよりすすけむりなどが、ついていて明らかに怪しい魔法の実験をしましたと、いう感じだったが何も語らずにそっけなく挨拶は終わった。

 「あれは、偽物か、まぼろしかどちらかだな……」
 失礼な事を言っていたが……オリエラもそれに納得していた。そんな事もあったが、やっと魔法学校の見学は、終わった。まるで、何日も居た様だったが……。


 僕達を運んできた、馬車はもう帰ってしまっていたので街の中心まで歩いて向かう。ここは、街の外れだからなのかすべてが、草花に囲まれ花は咲き誇っている。白いレンガ作られた家の壁から、灰色の屋根まで、白い花をつける蔦と葉が多く茂り。他にも家々で色とりどりの花が咲き乱れている。地面は芝生に覆われていたさしずめ、緑のジュータンの様で……。

「ブリティッシュガーデン……」

「あぁ、そうだな、きれいなもんだ」

 きれい過ぎるでしょう……そして会話として通じたし。

「ここは教会ってありますか? そして結婚式ってやってますか? 僕でも式が挙げる事は、出来ますか? 」
 予定があるので、矢継ぎ早にに質問してみた。

「それには、回答出来ない」だたいの事情を知っているぬいぬいは、そう答えた。

「ハヤト様のように、神に選ばれた勇者なら、式を挙げるのも可能なのでは? 」

「本当ですか!?」

「教会の教えと勇者とは密接にかかわりますし、お相手が……例えば……オリエラ様なら、なんの問題もないはず」

「大問題だよ」

「本当にそうでしょうか?」
 ルイスとオリエラが、話し込んでいる中、僕はすぐに訂正した。

「いや、違うんです……知識として知りたかっただけで、そこまではそんな……考えてませんでした……」

 心無い嘘をつく。好きな人が居て、でも……ここでは誰かに本当の事を告げる事も、今は出来ない。そんな時、ぬいぬいが、貰ったみかんを寄越した。

「余計な事など考えないで、食べろ。魔法は、イメージって言っただろう。作るイメージじゃなく、出来上がった未来をもとにして、少しずつ考えていけばいい」

 僕達は、貰ったみかんを備え付けのベンチで並んで食べた。ごみは、買い物袋を空にしてそこにいれる。

 みかんは、美味しかった。どこで、誰と食べるのは大切な要素だ。

 きっと、君とならここで最高の散歩が出来る。僕はそう思った。


        つづく
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