魔王がやって来たので

もち雪

文字の大きさ
上 下
47 / 204
新たな仲間

当面の話

しおりを挟む
 思わず、うちの未来の愉快なパーティーメンバーの一員である、執事に頭を抱えたが……。

 「では、他に僕と同行をしてくれる方について、何か情報はありますか? 」
 と、僕は話を続ける。

「おとぎ話の、中の人物でも構いません」

「後、必要なのはヒーラー、教会の聖女様か、日出ずる国の巫女だな。あと、お前も木属性の魔属性が強いから、ある程度は使えるはずだ」
 
 ぬいぬいが、僕を見ながら言い ルイスが続く。

「他のパーティーメンバについては、何も伺っておりませんが……。ですが、ヒーラーにつきましては、そのお二方の選出の可能性がたかいでしょうね」 

 ルイスが、ぬいぬいの意見に賛同する。 
 
「ギルドの監督のレンは? 」

「ないな、そんな事になれば、ギルドの事務所の誰かが過労死する、そのレベルでレンが仕事を引き受け過ぎだからな」

「あぁ……ですよね」

 ぼくの中でレンとの思い出が駆け巡る。

 本業のギルドの監督の仕事以外に、召喚された時、精霊の小瓶の授業、山への魔法実践、僕の為の執事の手配どれだけ仕事をこなしているのか見当もつかない……。
 監督だからと言って、誰か気に掛ける人はいないのだろうか? そう思い尋ねてみる。

「でも、いくら何でも働き過ぎなのでは……この世界には、ギルドの労働組合とかなないのですか……?」
 
「あるにはあるが、あいつが副会長だぞ」

「えぇ……」
 
 僕は、これ以上レンの仕事について聞くのを辞めた。
 
 そして今度、健康グッツでも差し入れしょうと心に決めた。

「ところで、ルイスさんの就業開始時間や終業時間などは、何時と決まっていたりしますか? 」
 
「特に決まってございません」
 そう言ってルイスはにっこり微笑む。
 
「えぇ……」
 僕は、ぬいぬいの様子を無意識にうかがう。
 
「冒険者は帰るまでが、冒険だからな……」

(遠足と同レベル!?)

「ルイスさん、休める時には休んでくださいね」
 
 まだ冒険者になって居ない僕に言えるのは、これが精一杯だった。

「はい、承知しました」
 

「では話を戻して、今度、ぬいぬい、オリエラ、ルイスが集まった時にコップなど必要最低限の旅の用具。後、予定を書くのに黒板かカレンダーなどを買いに行きましょう」

「後、必要なものがあれば、その時、お教えてください」

「ほい、ほい」
「かしこまりました」

「ありがとうございます、よろしくお願いします」
 快く引き受けてくれた二人にお礼をいう。

「僕からは以上なのですが……ルイスさんからは、何かありますか?」

「そうですね……今のところわかっている予定など、ございましたら教えてください」
 ルイスの質問に僕はぬいぬいの顔を見る。

「すまないが、あるるが帰って来るまで、残り2日はここへ泊めて貰って、朝から晩まで魔法の練習だ。ルイスは、しばらくはこの屋敷を把握する必要があるだろうが、それが終われば、俺が居ない時も練習に付き合ってやってくれ」

「後、しばらくは、コップなどは城の下働き用の物か、兵士用の物を使うように言っておいてくれ。割った時には、寝覚めが悪くなるからな」

「まぁ、予定はそんなところだな」
 
「わかりました、そのようにいたします」

「今のところ私も、そこまでわかれ十分です」
 
 そういい、ルイスが立ち上がると、ぬいぬいも立ち上がるが……。

 両手を広げ何か探している様だ。

「しまった、昨日、眠すぎて肝心のローブを着てくるのを忘れた」
 
「やはりローブに凄い効果があるんですか? 」
 
 ゲームの様に魔法力アップ効果があるのだろうか?と僕は思わずくいいる様に聞いてしまう。

「魔力効果の呪いをかけた糸で作ってあるので確かに、魔力アップ効果もあるが……。ローブを着ないと俺は魔法使いだって、気がしないだろう?」

「だからイメージが損なうの。格闘家の筋肉みたいなものだな」

「そんなものなんですか……」

「そんなものなの」

「じゃールイス、兵士の練習場で、夕ご飯まで食べて来るからよろしく」

 そう言ってもうぬいぬいは玄関に歩き出し、後ろを見ずに手を振っている。

「では、行ってきます」
 
 慌てて、ぬいぬいの後に続く僕の背中に「いってらっしゃいませ」と言うルイスの声が届いた。

     
     つづく
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

小さなことから〜露出〜えみ〜

サイコロ
恋愛
私の露出… 毎日更新していこうと思います よろしくおねがいします 感想等お待ちしております 取り入れて欲しい内容なども 書いてくださいね よりみなさんにお近く 考えやすく

病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない

月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。 人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。 2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事) 。 誰も俺に気付いてはくれない。そう。 2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。 もう、全部どうでもよく感じた。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

テンプレな異世界を楽しんでね♪~元おっさんの異世界生活~【加筆修正版】

永倉伊織
ファンタジー
神の力によって異世界に転生した長倉真八(39歳)、転生した世界は彼のよく知る「異世界小説」のような世界だった。 転生した彼の身体は20歳の若者になったが、精神は何故か39歳のおっさんのままだった。 こうして元おっさんとして第2の人生を歩む事になった彼は異世界小説でよくある展開、いわゆるテンプレな出来事に巻き込まれながらも、出逢いや別れ、時には仲間とゆる~い冒険の旅に出たり 授かった能力を使いつつも普通に生きていこうとする、おっさんの物語である。 ◇ ◇ ◇ 本作は主人公が異世界で「生活」していく事がメインのお話しなので、派手な出来事は起こりません。 序盤は1話あたりの文字数が少なめですが 全体的には1話2000文字前後でサクッと読める内容を目指してます。

家ごと異世界ライフ

ねむたん
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

処理中です...