魔王がやって来たので

もち雪

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新たな仲間

かれら

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 次の日、ぬいぬいは午後を過ぎて、一人でやって来た。

 玄関先に現れたぬいぬいは、いつもより疲れた顔して顔に影がさしていた。そしていつもはきちっと魔法使いのローブと帽子なのだけれど……。今日は、灰色のタンクトップに黒のはかまと言うか、牛若丸が穿く様なズボンを穿いている。

「すまん、少し寝かせてくれ……」
 と言って、次の日まで起きなかった。

 次の日朝早く起きたぬいぬいは、執事長が持って来てくれたミルクティーの一口目をゆっくりと飲んだ。

「悪いなぁ泊めて貰って」

「昨日は、あるるの親父さんの誕生日で、昨日から三日あるるは向こうに泊まる予定だったんだが……」

「一昨日の夜に、息子のそるむが夜中起きてしまって、朝まで寝かったんだ……。そのままあるるの実家まで送って、向こうで出された沢山のご馳走ちそうをたべたら……眠くて、眠くて」

「こんなに世話になるつもりじゃなかっのだが、すまん」
 
 ぬいぬいは、両ひざに手を置いて頭を下げた。

「いえ、いつもお世話になっているので、僕はいつでも歓迎ですよ。部屋も多いですし」

「師匠が、弟子の世話になるわけにはいかないだろう」

「僕の世界では、師匠の身の回りの世話をするのも修行って話もありましたが、そうですね……。僕はここでは、まだまだ独り立ち出来そうにないので、自分でお金を稼げるようになってから、その事に考える事にします」

 そう言って僕はスクランブルエッグを、一口食べる。僕はまだ、このスクランブルエッグの価値もわからない。
 
 でも……出来る事も増えてきた。

「ところで、レンさんから、ギルドの初級証明書を貰いました」

「ああ、そうだな」

「だが、まだそれはただの身分証明書に過ぎない。お前にはまだまだ教える事が、あるからな。それを使って、クエストを受けに行こうと思うなよ」
 
 ぬいぬいには、僕の胸の内はわかるらしい。戦いながら経験値を積んで、レベルアップと言うわけないはいかないようだ。

 その時、玄関の扉の方で、来客を告げる鐘の音が鳴る。

「誰だ?」

「オリエラでは?」

「そんな予定はないぞ」

「じゃーとにかく行きましょう」
 
 僕たちは、立ち上がり玄関に向かう。
 
 玄関の飾り窓の外の風景を反射させて、外の風景を映し出す鏡を見ると、長身で正装の男性が立っている。

「どちら様でしょうか? 」
 
 僕が声をかけると、彼は明瞭めいりょうで、よく通る声で答える。

「今日からこちらでお世話になります。執事見習いのルイスと申します」

 レンの言っていた執事見習いの様だ。僕は、扉を開けてる。
 
 その間に、シルクハットを脱いだだろう彼は、自然な動作で扉を少し広げ、彼が扉を支える形にする。

「ありがとうございます どうぞ」
 と、僕はお礼を言い、彼を招き入れた後に自己紹介をする。

「草薙ハヤトです よろしくお願いします」

「ぬいぬいだ、俺はこいつの師匠だ。 よろしく」

「ご丁寧にありがとうございます こちらこそよろしくお願いします。改めまして、執事見習いのルイスと申します」

「ご用件は何なりとお申し付けくださいませ」

 彼がお辞儀をすると、緩いウェーブのある前髪が、深い緑の海を思わせる瞳にかかる。
 そんな彼を見つめている僕に気付き、彼はにっこりと笑う。
 
「あのハヤト様、不躾ですがお部屋を拝見しても? 」

「どうぞ、よろしくお願いします」

「では、失礼します」
 そいうが早いか彼は、台所に消えた。

「あれは、女泣かせの顔だな」
 と、ぬいぬいがぽつりとつぶやいた。
 
   つづく
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