魔王がやって来たので

もち雪

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未来へ向けて

魔王として

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 聞いても、聞いても腑に落ちない。邪眼の力は、不幸しか予想出来ないのなら、それはのろいと同じだ。
 
 しかし魔王と言う役職からそれは正しい事にに思えて、やり場のない不満に言葉の発声が強くなる。

「では、いったい誰がフィーナを、呼んでいるのですか?」

「それはわからん、可能性が多すぎる。どんな手段でか、そこから探る方法も個々の能力が違い過ぎて……フィーナをおのれの元へ呼ぼうと思えば、狐は誰でも可能であると言って良い」

「魔界でのミステリー小説の、陸の孤島や密室殺人は能力面の抜け穴があり過ぎ問題とかは、よく聞く話だしな」

「殺すまでの心情描写にしても、強いアイツを倒したかったってと言う理由が結構多いが、普通に戦って倒せよって感想を聞いて…………それはミステリーでは無いのではと思う事もあるしなぁ」

「いや……小説のお話は、またの機会に…………是非に……………」

「貴様、あまり小説にはあまり興味はないのか?」

「今、一番フィーナさんに興味があります」
 僕は静かに、重く言い切る。
 
「そっ、そうだな」

 魔王も流石に今回はちゃかさないようだ。

「フィーナの事について貴方は、彼らに何もしないのですか?」

「まぁフィーナに何かあれば、狐の関係者全員を滅ぼして、根絶やしにしてもいいとは考えてはいる」

 僕は、魔王を見た。

「なんだ、そんな顔をするな」

「魔王の部下に、手を出すと言うなら仕方なかろう。だが、それは白煙が証拠を残した時だけだ」

「じゃ、証拠が無ければ……」

「その時は、残念だが静かに、確実に、滅びて貰うしかないな……残念じゃが……」

 たぶん残念なのは、魔王の部下に手を出せばどうなるかを、表立って示せないからなのだろう……。しかし……。

「それを回避する方法は無いのですか?」
 
僕はいつもと違う魔王に驚きつつ聞いた。
 
「ある、簡単だ」

「負けた犬の様に、ひっくり返って腹を出しさえすればいい」

「一番弱い急所を、我の前に差し出して敵意が無い事を証明すればいい」

「それだけでいい、すべて丸く収まる」

「例えば……白雪の産んだフィーナの従兄弟、白煙の大事な孫を差し出せば、まだ収まるだろう」

 僕は、言葉も無くただ魔王を見つめ、魔王は正しさを正面する様に僕の目を見て話した。

 魔王の瞳の色は、その時どんな色をしていたのだろう……僕は怖くて深く見る事は出来なかった。だからなのか魔王は話し終わる直ぐに、そっぽを向いてしまった。

 悲しい気持ちに囚われても、次の話をしなくてはいけない………時間は、有限なのだから……。

  つづく
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