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ふたたび動き出す世界
立派な王様と言う本と湯飲み
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魔界の書庫では、彼女は懸命に魔王が買い込んで来たさまざまな品物を分別し片付けていた。突然切られてしまった映像の事に、少しがっかりしているが……その事で仕事のスピードが落ちる事はない。
(ハヤトは、私達白銀狐達の事を知ったらなんて思うのだろう)
と、いう不安もあって、いつもよりその表情が曇っているけれど……。
お茶に、コーヒーそれらを入れる陶器に、食器。魔王様の買い込んでくるものに、ハヤトの家にあるような便利な電気で動くようなものはなく、魔界の近くの村里で買えるような物より少し便利で素敵な物を買っ来る。
それぞれの魔族、そして人間界から移り住んできた変わり者達の所をへ持ち込んで、少し魔界を便利になるよう部下任せ、商談をさせている。おかげで少し魔界も少しだけ便利になったが、人間界にうつつを抜かす愚か者もいると言う事も聞いている。
しかし魔王は、「1月1日の魔王決定戦が楽しみだな」と笑い飛ばすだけだった。
書斎の中央の机の上には魔獣王サーグラの妃ヘルドーラの作ったとさせる子供用の本“立派な王様”が、今日も見えるように置かれている。
ヘルドーラが、自分の息子立達の為に作らせた帝王学の書かれた本だ。その最後のページには、「貴方は、貴方の世界の王様です。立派な王様になるよう心から願っています。ですが、貴方自身の身体と気持ちを一番大切に。」彼女自身が記したとされている文章で閉じられている。彼女はこの本を、燃やしても良い、見なくても、しかしこの本の事を伝える事と石に刻まれた原本だけは破壊しない様にと言い残した言う。
この城で、仕事に就くものはこの本を一冊手渡される。私もこの城で、最初に与えらたものとして持っている。
(ハヤトもここで、このを手にするのかしら……)
ふと、そう彼女は思ったのだった。
◆◇◆◇
僕の家では、魔王が甘いいちごジュースを飲みほして……。「美しいが、甘いな」と、微妙な顔をしていた魔王の為に、ハヤトはお茶の用意をしている。魔王の前に以前、大学で買った湯飲みを置くと……魔王は、少しおぉー!と歓喜の声をあげた。
この魔王、ルンルンである。
お湯が、沸くまで見ていると――やはりいそいそと湯飲みの横に添えた、2つのTパックを破り、それぞれの湯飲みの中に入れている。
「僕のが、濃い緑色の湯飲みで良かったですか? 今日初めて使うのですが」
「うむ」
「おっと……忘れておった……ホビットの長老に作らせていた湯飲みの試作品が出来たので、ここへ置いていいか? 」
魔王は可愛らしい絵柄の付いた、布袋から湯飲みを取り出した。
「あぁ……例のですか? 」
「うむ? 我はそこまで話したか?」
「あ……フィーナさんから、世間話として聞きました」
「うむ、そうか――そのフィーナが、これをここに置いてくれるよう、頼んで欲しいと言うのでなぁ……」
「ふふっ もちろんいいですよ」(お父さん)
受け取った湯飲みは、白地にピンクの花のちいさいなまとまりが、数点描かれていた。
細身の湯のみだった。
(早く、彼女とここでこの湯飲みを使えたらな……)
そう思っていると、お湯の沸いた知らせがなったのであった。
つづく
(ハヤトは、私達白銀狐達の事を知ったらなんて思うのだろう)
と、いう不安もあって、いつもよりその表情が曇っているけれど……。
お茶に、コーヒーそれらを入れる陶器に、食器。魔王様の買い込んでくるものに、ハヤトの家にあるような便利な電気で動くようなものはなく、魔界の近くの村里で買えるような物より少し便利で素敵な物を買っ来る。
それぞれの魔族、そして人間界から移り住んできた変わり者達の所をへ持ち込んで、少し魔界を便利になるよう部下任せ、商談をさせている。おかげで少し魔界も少しだけ便利になったが、人間界にうつつを抜かす愚か者もいると言う事も聞いている。
しかし魔王は、「1月1日の魔王決定戦が楽しみだな」と笑い飛ばすだけだった。
書斎の中央の机の上には魔獣王サーグラの妃ヘルドーラの作ったとさせる子供用の本“立派な王様”が、今日も見えるように置かれている。
ヘルドーラが、自分の息子立達の為に作らせた帝王学の書かれた本だ。その最後のページには、「貴方は、貴方の世界の王様です。立派な王様になるよう心から願っています。ですが、貴方自身の身体と気持ちを一番大切に。」彼女自身が記したとされている文章で閉じられている。彼女はこの本を、燃やしても良い、見なくても、しかしこの本の事を伝える事と石に刻まれた原本だけは破壊しない様にと言い残した言う。
この城で、仕事に就くものはこの本を一冊手渡される。私もこの城で、最初に与えらたものとして持っている。
(ハヤトもここで、このを手にするのかしら……)
ふと、そう彼女は思ったのだった。
◆◇◆◇
僕の家では、魔王が甘いいちごジュースを飲みほして……。「美しいが、甘いな」と、微妙な顔をしていた魔王の為に、ハヤトはお茶の用意をしている。魔王の前に以前、大学で買った湯飲みを置くと……魔王は、少しおぉー!と歓喜の声をあげた。
この魔王、ルンルンである。
お湯が、沸くまで見ていると――やはりいそいそと湯飲みの横に添えた、2つのTパックを破り、それぞれの湯飲みの中に入れている。
「僕のが、濃い緑色の湯飲みで良かったですか? 今日初めて使うのですが」
「うむ」
「おっと……忘れておった……ホビットの長老に作らせていた湯飲みの試作品が出来たので、ここへ置いていいか? 」
魔王は可愛らしい絵柄の付いた、布袋から湯飲みを取り出した。
「あぁ……例のですか? 」
「うむ? 我はそこまで話したか?」
「あ……フィーナさんから、世間話として聞きました」
「うむ、そうか――そのフィーナが、これをここに置いてくれるよう、頼んで欲しいと言うのでなぁ……」
「ふふっ もちろんいいですよ」(お父さん)
受け取った湯飲みは、白地にピンクの花のちいさいなまとまりが、数点描かれていた。
細身の湯のみだった。
(早く、彼女とここでこの湯飲みを使えたらな……)
そう思っていると、お湯の沸いた知らせがなったのであった。
つづく
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