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ふたたび動き出す世界
カフェオーレとクロワッサンと異世界から戻る話
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日曜日の朝、天気は晴れて魔王と向き合って食べる朝食のクロワッサン。
やはり今日、食べるクロワッサンもバターの味が染みていて美味しい、基本的に思える材料たちだけでどうしてこうも味が変わるのか……。基本はやはり大事か……。
「僕は、あまり器用な方ではないので……。フィーナさんに関係ないのであれば、2つの世界の成り立ちについてあまり興味がないです。許容範囲を越えてます」
「うむ」
僕は淡々とはなし、魔王が感情を入れず相槌をうつ。
「今のとこはフィーナの件より、勇者であるお前自身に世界の成り立ちは関係してるだろう……? 勇者のだいたい『俺たちの世界に帰る鍵は魔王!お前にあるはずだ!』とか言うのだから」
魔王は、そう言って理解出来ないと言う顔をする。
クロワッサンを食べると程よいサクサク感で、生地の重たさが僕の食欲を満足させる食べ応えとなっている……と少し、現実逃避してみるが、伝えなくてはだめだろう……魔王に、僕の思う真実を。
「たぶんですが……物語や現代の勇者ならゲームのストーリー上で、魔王を倒すと、ある程度の決着がつくからだと思います。魔王を倒し、現実の世界にもどりましたや人間界が平和になりましたとか……そういう部分を狙ってるのではないかとも思います」
「だが、それはゲームの話であろう?」
「しかし、勇者達は根拠はなくとも、そこしかすがるものがなくて……。まぁ実際のところ導く誰かの意思に、魔王を倒した勇者を人間界へ帰すとあるか、ないないかはわからないじゃないですか? 例えば王様が、こちらの世界へ帰してくれる様、心血を注ぐ事も考えられない話ではないですし」
「そんな都合の良い様には我の世界はなってはいない……と言う事も言い切れないが……」
魔王は、少し考えてこんでいる様で、パンを食べている手が止まる。
僕はその間にカフェオーレを飲む。ブレッド佐藤のコーヒーは、少し甘いだけなのだが、普段は無糖コーヒーに牛乳を入れているだけの僕にしてみれば、その甘さ加減が心地よい。甘いものの多いブレッド佐藤パンを引き立てる優しい甘さ……やはりこのカフレオーレは、パンによく合い美味しい。
しみじみカフレオーレの美味しさをかみしめている僕に、魔王は話し始めた。
「さっきの魔界の成り立ちの話通り、こちらとあちらの2つの世界のすべては天から来た。天で生まれた時の“ギフト”と、天から落ちる原因のギフトとは“真逆な要因のギフト”、その2つの内のどちらかの要因が強いと、我々は多くの不思議で特殊な力を多く得る可能性も、強いとある者が言っておった」
「魔王より異世界に詳しい人物がですか?」
「それについてはあまり触れるな。とにかく強いちからを秘めた勇者は、どちらかのもしくは両方のギフトの力で帰られる見込みはある、それを持つ本人が信じ込めば、自己暗示で帰れるかもしれん。しかし他人が月に返す為には、もっと力を必要なのだから……出来るそいつが、我に戦いを挑んだ方が早いぞ」
「じゃーフィーナさんはどうやってこちらに?」
僕は、少し前のめり気味に聞く。
「あれの髪の、白銀の色は、月から落ちてきた先祖の血が、濃い証らしいからな。後、狐自体が人の魔法を踏み台にして、自分の能力を強力にするっという能力を持っているから我の魔法の痕跡を利用しておるのじゃろう。……だから今も、見ておるのだろうフィーナ? 休憩はここまでだ。仕事を真面目にやる様に」
魔王がそう言うと、僕のベットの横に、小さな稲妻が走る。微かに依然見た、湖面にも似たあの画面があられ、歪みをおびて消えていった。僕は、彼女と話せる機会を逃してしまった事に落胆する。
「本当に、あの子にも困ったものだ」
(でも、少し位話す機会を与えてくれてもよくないですか? なんなら、気持ちを紙に書いて話を……想像したら人前で、恥ずかしい話を書いて黒歴史になりそうな想像は難しくなかった……。ハッ!?まさか……魔王は、それを察して……)
「何を、愚かな事を考えておる……。顔が、緩みきっておるぞ」
「恋は、時には人を愚かにさせるので……大丈夫です」
「そうか、若者も大変だな」
僕の気持ちも知らないで、そう、いい魔王は、3つ目のパンを食べる。僕も2つ目のパンを食べた、その美味しさが僕を前向きに、少ししてくれた。見えなくても彼女の接点があったのだ、いつか彼女ともこうして一緒に机を挟んでパンを食べる事もあるだろう。
そうすれば、最高の佐藤ブレッドのパンが味わえるだろう……きっと。
つづく
やはり今日、食べるクロワッサンもバターの味が染みていて美味しい、基本的に思える材料たちだけでどうしてこうも味が変わるのか……。基本はやはり大事か……。
「僕は、あまり器用な方ではないので……。フィーナさんに関係ないのであれば、2つの世界の成り立ちについてあまり興味がないです。許容範囲を越えてます」
「うむ」
僕は淡々とはなし、魔王が感情を入れず相槌をうつ。
「今のとこはフィーナの件より、勇者であるお前自身に世界の成り立ちは関係してるだろう……? 勇者のだいたい『俺たちの世界に帰る鍵は魔王!お前にあるはずだ!』とか言うのだから」
魔王は、そう言って理解出来ないと言う顔をする。
クロワッサンを食べると程よいサクサク感で、生地の重たさが僕の食欲を満足させる食べ応えとなっている……と少し、現実逃避してみるが、伝えなくてはだめだろう……魔王に、僕の思う真実を。
「たぶんですが……物語や現代の勇者ならゲームのストーリー上で、魔王を倒すと、ある程度の決着がつくからだと思います。魔王を倒し、現実の世界にもどりましたや人間界が平和になりましたとか……そういう部分を狙ってるのではないかとも思います」
「だが、それはゲームの話であろう?」
「しかし、勇者達は根拠はなくとも、そこしかすがるものがなくて……。まぁ実際のところ導く誰かの意思に、魔王を倒した勇者を人間界へ帰すとあるか、ないないかはわからないじゃないですか? 例えば王様が、こちらの世界へ帰してくれる様、心血を注ぐ事も考えられない話ではないですし」
「そんな都合の良い様には我の世界はなってはいない……と言う事も言い切れないが……」
魔王は、少し考えてこんでいる様で、パンを食べている手が止まる。
僕はその間にカフェオーレを飲む。ブレッド佐藤のコーヒーは、少し甘いだけなのだが、普段は無糖コーヒーに牛乳を入れているだけの僕にしてみれば、その甘さ加減が心地よい。甘いものの多いブレッド佐藤パンを引き立てる優しい甘さ……やはりこのカフレオーレは、パンによく合い美味しい。
しみじみカフレオーレの美味しさをかみしめている僕に、魔王は話し始めた。
「さっきの魔界の成り立ちの話通り、こちらとあちらの2つの世界のすべては天から来た。天で生まれた時の“ギフト”と、天から落ちる原因のギフトとは“真逆な要因のギフト”、その2つの内のどちらかの要因が強いと、我々は多くの不思議で特殊な力を多く得る可能性も、強いとある者が言っておった」
「魔王より異世界に詳しい人物がですか?」
「それについてはあまり触れるな。とにかく強いちからを秘めた勇者は、どちらかのもしくは両方のギフトの力で帰られる見込みはある、それを持つ本人が信じ込めば、自己暗示で帰れるかもしれん。しかし他人が月に返す為には、もっと力を必要なのだから……出来るそいつが、我に戦いを挑んだ方が早いぞ」
「じゃーフィーナさんはどうやってこちらに?」
僕は、少し前のめり気味に聞く。
「あれの髪の、白銀の色は、月から落ちてきた先祖の血が、濃い証らしいからな。後、狐自体が人の魔法を踏み台にして、自分の能力を強力にするっという能力を持っているから我の魔法の痕跡を利用しておるのじゃろう。……だから今も、見ておるのだろうフィーナ? 休憩はここまでだ。仕事を真面目にやる様に」
魔王がそう言うと、僕のベットの横に、小さな稲妻が走る。微かに依然見た、湖面にも似たあの画面があられ、歪みをおびて消えていった。僕は、彼女と話せる機会を逃してしまった事に落胆する。
「本当に、あの子にも困ったものだ」
(でも、少し位話す機会を与えてくれてもよくないですか? なんなら、気持ちを紙に書いて話を……想像したら人前で、恥ずかしい話を書いて黒歴史になりそうな想像は難しくなかった……。ハッ!?まさか……魔王は、それを察して……)
「何を、愚かな事を考えておる……。顔が、緩みきっておるぞ」
「恋は、時には人を愚かにさせるので……大丈夫です」
「そうか、若者も大変だな」
僕の気持ちも知らないで、そう、いい魔王は、3つ目のパンを食べる。僕も2つ目のパンを食べた、その美味しさが僕を前向きに、少ししてくれた。見えなくても彼女の接点があったのだ、いつか彼女ともこうして一緒に机を挟んでパンを食べる事もあるだろう。
そうすれば、最高の佐藤ブレッドのパンが味わえるだろう……きっと。
つづく
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