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黒眼◆~◆

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Lost days

失われた平和な日々

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「今日はとてもいい天気だ。」ある日の午後、俺はそう呟いた。特にすることもなく、一人で暇をつぶしていた。「まぁ、外に出てみるか。」そんな軽いノリで靴を履き、玄関を出た。マンションの一階まで来ると、大家さんは言った。
「ちゃんと鍵は閉めた?。」正直、面倒だったので、
「あぁ、しめたよ。」そう言うと、大家さんは顔を真っ青にしていった。
「あ、あんた、何をしめたってんだい。まさか、首だとか言わないよね。」
「は!なんで、今の話で首を絞めた話になるんだよ!。」俺は安定のツッコミをいれた。すると
「おっと、鍵の話か…。」分かってるなら、さっさとしろ。なんて思いつつ、マンションの自動ドアへと向かった。
しかし、ここで家を出たことが平和な日々に終わりを告げることになる。
マンションを右に曲がった交差点にある電柱のうえに黒い塊が止まっていることに気が付く。目を凝らしてみると、それは人であることが分かった。
「眼を合わせないようにしよう…。」一人でそう呟き、下を向きながら歩いた。しかし、どうやらこちらに気が付いていたようだ。上から呼ぶ声が聞こえた。ゆっくり顔を上げる。
「ねえ、お兄さん。b5って知ってる?」
電柱の上に座っている人を見た時、俺は口が閉じれなかった。
「b5って知ってる?。」繰り返される質問に、(b5)という言葉に、話している人に、俺は恐怖を覚え、そのまま、真っ直ぐ走り出した。この時、俺、皆川 壮馬は人生でもっとも危ない状況に落ちたのだろう。
まず、順を追って説明して行こう。

ある日の午後、特にすることもなく外へ出た。

管理人としばしの戯れをしたのち外へ出た。

交差点を曲がった所の電柱のうえの黒い人に話しかけられた。

そして今、全力で逃げている。
「なんでこうなった!!!!!!!!!」俺は叫んだ。後ろの黒い人はまだ追ってきているようだった。
「お兄さんが、質問に答えてくれないからですよ!!!!!!!!!」後ろの方で声がした。まだ、高校生位なのだろうか…。しかし、今はそんなことを考えている余裕はない。今は逃げるのだ。この、黒いものから。全力で。
交差点を曲がった時。平べったい箱を持った男の子とぶつかった。全力で走っていたこともあり、男の子は、持っていたは箱を地面に落としてしまった。その箱を見つめていた男の子に俺はとっさに、
「ごめん。何でも買ってあげるから!今は逃げよう!。」そう言って、男の子を抱え、箱も抱え、再び全力で走り出した。しばらくすると、人が多くいる駅前についた。とりあえずかくれなければと思い、近くにあったハンバーガー店に飛び込んだ。急いで、コーラを二つ注文し、ばれにくそうな喫煙席に入った。
「さっきはごめんね。ちょっと変なのに追われててさ。」そう言いながら、先程の箱を渡すと、
「いいよ。気にしないで。喜代はいつも強引だから。」箱の中身を空け、ピザを取り出した。ピザ!?
「さっきの奴と知り合いなの!?つか、ここ!ハンバーガーの店だから、ピザはまずいって!。」
「大丈夫だよ。もうすぐほかの人も来るから。」男の子はおいしそうにピザを食べている。
「お前もグルなのか!。悪いけど先に行かしてもらうぞ!。」そう言って、席を立とうとした瞬間。(そうはさせない…)男の子が呟いた。確実に呟いていた。次の瞬間、体中の力が抜け、筋肉が硬直するのが分かった。地味に腰を浮かしたままで固まっている俺は男の子を見た。眼の白いところまで黒く染まっている。
「何をした…。」俺は重たい口を開いた。
「足止め。喜代とスカーレット姉さんが来るまで。」そう言って、ピザをまた食べている。
「分かった…ピザはいくらでも買ってやる…だから離せ…」そう言うと、伸び切ったチーズをすすりこう言った。
「ピザをくれるのは嬉しいんだけど。この能力、少なくとも五分は続くよ。」
「ちくしょう…」この体制のままあと五分。外見から見たら、ただの筋トレをしている人に見えるだろう。しかし、これは正真正銘の金縛り…。しかも、筋肉の疲れはじかに伝わっていて、とても疲れる。
五分後...
金縛りは解けた。
「じゃあな。」そう言って席を立った時。
背の高い男の子と、ツインテールの子が来て。席に座った。
「証、番号、マーク付け、研究者はそう呼んでたな…。」そう言って、自ら手をかざし、眼を開いた。その眼は一から十まで黒一色に染まっていた。
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