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7巻
7-1
しおりを挟む第一章 幸運な花嫁と商いの王
「わぁ、盛り上がっていますね! さすがは商業王国出身の商人達です!!」
私は周囲の熱気に呑まれ、思わず感嘆の声を上げた。隣を歩くヴィオも、露店の一つひとつに注目しながら瞳をキラキラさせています。
そう、今日は友人のヴィオと一緒に王都へお買い物に来たんです!
まるでお祭りが催されているかのように盛り上がっている、王都ローレリア。それというのも、このシェルフィールド王国に、フィオス商業王国の国王様がいらっしゃったから。
フィオス商業王国は、その名の通り商いが盛んな国。それもそのはず、商いと旅の男神様の加護を受ける国ですからね。
隣国フィオスの国王様は、側近達と一緒に隊商を率いてやってきました。そして今、隊商の皆さんが王都ローレリアで様々な露店を出しています。
「同じ商人として悔しくもありますが、さすがフィオスの商人達。品揃え、商品の見せ方、お客の集め方……どれも目を見張るものがありますね。素直に感心させられます」
ヴィオの言葉に、私も頷きながら口を開く。
「本当ですね! 見たことがない品も多いですし、皆が盛り上がるのも無理はないです!!」
シェルフィールド王国一と謳われるリーシェリ商会で、服飾関係の仕事をしているヴィオことヴィオレッタ・リーシェリ。今日の彼女はずっと商人の顔をしています。
それにしても、本当に賑やかだな……。以前、砂漠の王国エルフィリアへ行く途中にフィオス商業王国を通りました。時間がなくてあまり滞在できなかったけど、すごく活気がある国だったことを覚えています。今日、改めてその勢いを実感したよ。
たくさんの露店を見ていると、懐かしい記憶が蘇ってくる。それは、前世で見たお祭りの屋台の記憶……
――かつて私は、橘ゆかりという女子高生だった。けれど不運にも事故に遭って命を落としてしまい、この世界に転生したみたい。今は、シェルフィールド王国の伯爵家の娘リリアナ・ラ・オリヴィリアとして暮らしている。
魔法や精霊が存在し、言葉も文化も生活水準も違うこの世界に、最初は戸惑ってばかりだった。でも優しい家族や大好きな人達に囲まれて、私は元気に楽しくやっています!
前世のことを思い出しながら露店を眺めていると、背後から声をかけられた。
「リア! キョロキョロしていたらはぐれてしまいますよ」
私はちらりと後ろに視線を向ける。そこには、護衛としてついてきてくれたアレスさんとシリウス先生の姿。アレスさんは腰に手をあてて、ちょっと呆れた表情……一方のシリウス先生はいつも通りの無表情です。
どちらかというと、アレスさんのほうが迷子になりそうだけど。いつも、はぐれてしまうじゃないですか。
とはいえこの人混みなので、気をつけるにこしたことはないよね。私は大人しく頷いた。
ちなみに今日は、『幻影の仮面』で村娘リアに変身中。カイウェル王国の天才鍛冶師グエルさんが造り出したこの仮面は、身に付けた者が望む姿に変身することができる素敵アイテムなんです。
一方、私の隣を歩いているヴィオはもちろん今日も男装。シャツとベスト、トラウザーズという出で立ちでばっちり決めている。綺麗な顔立ちのヴィオは、男装の麗人としてご婦人たちから人気があるんだよね。
その後もヴィオと一緒に露店を冷やかしていると、アレスさんから再び声がかかりました。
「リア、あまりはしゃぐと疲れてしまいますよ。今日はこのあと、大事な用事が控えているんですから」
「あっ、そうでした。今日の夜は、お城でフィオス商業王国の国王様を歓迎する宴があるんでした」
賑やかな露店に夢中で、すっかり忘れていました。いけない、いけない。
「国王陛下主催の宴を忘れるとは……さすがリア、大物ですね。うちの店にドレスを買いに来た貴族令嬢達は、皆その宴を心待ちにしていたというのに……」
「そうなんですか……皆さん、宴が好きなんですね」
どちらかというと、私は貴族の皆さんが参加する宴が苦手です。でも招待されている以上、顔を出さないわけにはいかないよね。
ちょっと憂鬱な気分になっていると、ヴィオは呆れた表情を浮かべて口を開いた。
「彼の国王がシェルフィールドを訪れたのは、ある目的のためだと噂されていますからね。ご令嬢達は、いつも以上にドレス選びに力を入れていらっしゃいました。きっと今頃、マッサージをしたり化粧をしたり、少しでも美しく見えるように準備していることでしょう。隊商を見てはしゃいでいるのなんて、リアくらいですよ……」
う~ん、そう言われてもね……宴がはじまるのは夜ですし、今からマッサージや化粧に取りかかったら、絶対に時間を持て余しちゃいます。
それはさておき、『ある目的』ってなんのことだろう?
「ヴィオ、フィオスの国王様が訪れた目的というのは、なんのことですか?」
「えっ!? 本気で言っていらっしゃるのですか!!」
ヴィオは目を見開いて、驚愕の表情を浮かべる。
うっ……知らなかったから聞いたのに、そこまで驚かなくても……
「えっと……本気です。もしかして、フィオスの国王様はご令嬢の皆さんに人気のある方なんですか?」
ドレス選びに気合いを入れるくらいですから、前世で言うところのアイドルみたいな方なのかな。う~ん、でもそんな方がシェルフィールド王国にやってきた理由まではわからないよ。
私が首を傾げていると、ヴィオはため息をついた。
「いえ、そういうわけではありません。リアは、フィオス商業王国で国王を選定する方法をご存じですか? きっと習っているはずですよね」
そう言いながら、護衛兼家庭教師であるシリウス先生をチラリと見るヴィオ。シリウス先生は、もちろんだと言うようにコクリと頷いた。
うぅ、これは、きちんと答えられないとシリウス先生の沽券に関わりますよね……
「えっと……フィオス商業王国の王位継承は、一風変わっていると聞いています。国王の子供であれば、生まれた順番は関係なく、王位を継ぐ権利を等しく与えられるんでしたよね」
多くの国では、国王の子の中でも第一王子が王位継承順位第一位となります。そしてそのあとに第二王子、第三王子と続く男子優先の継承方法を採用しているんです。シェルフィールド王国でも、そうやって国王様が決まります。
だけど、フィオス商業王国では――
「次代の国王は、三年間の国王選定期間によって決まります。その間、王子や王女達は市井に身を置いて商いをしなければならず、期間中、もっとも利益を上げた者が王位を継承できる……そうして玉座に就いたのが、現国王のレオニダス陛下……なんですよね?」
恐るおそるシリウス先生をうかがうと、無言で頷いてくれた。
良かった! 正解ですね!!
ホッと胸を撫で下ろす私に、ヴィオが口を開く。
「フィオスの国王は、商人である私達にとって憧れなんですよ。特に現国王陛下は、ここ数代の国王の中でも一番の利益を出したことで有名ですからね。まぁ、それも当然でしょう。何せ陛下は、かつてリーシェリ商会に――」
そこでヴィオは、ハッとしたように言葉を止めてしまう。
「どうしたんですか、ヴィオ?」
「……いいえ、なんでもありません。お気になさらないでください」
う~ん、そう言われても気になります。ヴィオは一体、何を言おうとしていたんだろう?
けれど私のモヤモヤをよそに、ヴィオは話を先に進めてしまう。
「それで先ほどの『噂』ですが……レオ……いえ、フィオスの国王は、シェルフィールド王国に花嫁を探しに来たんじゃないかと言われているんですよ」
「えぇーー! 花嫁探しーーーーーー‼」
予想外の言葉に、思わず大声を上げてしまう。
周囲の人達が一斉にこちらへ注目し、ヴィオはすぐさま私の口を塞いだ。
「リア、静かにしてください」
しばらくすると、人々は興味を失くしたように視線を元に戻していく。それを確認して、ヴィオは話を続けた。
「フィオス国王の訪問が決まった際、『シェルフィールド王国へ花嫁を迎えに行く』と周囲に漏らしていたようなんです。その話が我が国のご令嬢達にも伝わったようで……ただ、リアの耳には届いていなかったんですね」
「はい、初耳です」
いまだ気軽にお話しできる貴族のお友達がいない、ぼっちの私。そんな情報、知らなかったよ……
うん、なんだか悲しくなってきました。
ただ、それで合点がいきました。隣国の国王陛下が花嫁を迎えに来たとなれば、ご令嬢の皆さんも気合いを入れるというもの。
あれ? でも、『花嫁を迎えに行く』っていうのはどういうことだろう。
普通は『花嫁を探しに行く』って言うほうが自然だよね?
私が考え込んでいると、ヴィオがにっこり笑って言葉を続けた。
「そういえばリア、この前の王妃様のお茶会でドレスの宣伝をしてくれたみたいですね。今日の宴用のドレスを求めて、たくさんのご令嬢達がご来店してくれました。おかげで店は大繁盛です。ありがとうございました。アナに流れたお客を取り戻すまで、あと少しです!」
拳を握りしめて、ニヤリと笑うヴィオ。
ヴィオの作るドレスは大人気で、以前までは王国一の図案師と言われていました。けれどアナさんという図案師の登場により、今では彼女が王国一と言われるようになってしまったんです。お客さんも随分、アナさんのお店に流れちゃったみたい。
ちなみにそのアナさんは、誰も素性を知らない、謎に包まれた図案師なんだよね。一体どんな人なんだろう。
「ヴィオのお役に立てて嬉しいです。今日の宴では、ヴィオのドレスを身にまとったご令嬢達をたくさん見られそうですね。その中に、フィオスの国王様の目に留まる方がいるかもしれませんよ。楽しみです」
私がにっこり笑いながら言うと、ヴィオはピタリと歩みを止める。そして珍しく俯いてしまった。
「ヴィオ? どうかしましたか?」
具合が悪くなっちゃったのかな。近寄って顔を覗き込もうとしたところ、ヴィオは勢いよく顔を上げて満面の笑みを浮かべた。
「いえ、大丈夫です。一瞬、ちょっと立ちくらみがしたものですから。ご心配をおかけしました。もう平気です」
ヴィオは笑顔で言いますが、顔色が悪いです。
きっと、私に心配させまいと誤魔化しているのでしょう。
友達なんだから、そんな気遣いをしなくてもいいのに。
「本当に大丈夫ですか? きっと普段の疲れが出たんだよ……。ちょっと休んでいきましょう」
「いえ、本当に大丈夫です。それよりも露店を心ゆくまで楽しんで、そのあとは夜の宴の準備に取りかかりましょうね」
「ヴィオがそこまで言うのなら……。でも無理はせず、きつくなったら遠慮なく言ってくださいね」
「リアは心配性ですね。本当にもう大丈夫ですよ。それより、宴の心配をしてください。帰ってきたら、フィオス国王陛下の様子を教えてくださいね。一介の商人でしかない私は、宴に行くことができませんから……」
そういえば、フィオスの国王様は商人達の憧れなんでしたね。
この世界にはテレビやインターネットなんてないから、隣国の国王様の情報を入手するのも一苦労でしょう。普段お世話になっているヴィオのためにも、宴ではフィオス国王様の様子をまじまじと観察して、情報を入手してくるよ!
「もちろんです! 私に任せてください!!」
私は、胸を張って引き受けたのだった。
あたりを見渡せば、着飾った紳士淑女ばかり――
「皆さん、綺麗ですねぇ」
私は、思わずほぅっと息を吐いた。
フィオスの国王様を歓迎するための宴。その会場には、たくさんの貴族達が集まっています。まだ宴がはじまってもいないのに、とても賑やかです!
お父様とお母様と一緒に、会場へやってきた私。二人は挨拶しなくちゃいけない人がいるみたいで、会場に入ったあとは別行動しています。
そういえば王城までの道すがら、馬車の中でフィオスの国王様について尋ねてみたんだけど……お父様がなぜか不機嫌になっちゃったんだよね。会場に入ったあとも、妙に私のことを気にしていたし。一体どうしたんだろう?
一方のお母様は、にっこり笑顔で国王様について簡単に教えてくれました。
フィオスの国王様のお名前は、レオニダス・ル・フィオス。二十七歳の男盛りで独身。
国王の選定期間中には、身分を隠してこのシェルフィールド王国に滞在していたこともあるのだとか。もっともこれは、単なる噂ですけどね。
ヴィオから聞いた通り、レオニダス陛下は本当に『花嫁探し』に来たのかな?
実際のところはわからないけれど、会場内のご令嬢の皆さんがとてつもなく気合いを入れていることは確かです。
生地をこれでもかと使ったボリュームたっぷりのドレス、宝石を縫いつけてキラキラ光り輝いているドレス……それぞれとても美しい格好をしています。
ただ、それと同時に目もギラついていて、ちょっぴり近寄りがたい雰囲気……
これは、宴がはじまったらレオニダス陛下の周りはすごい人だかりになりそうですね。その様子が目に浮かぶようだよ。
いつもの私なら傍観するところだけど、今日はそれが許されません。
何せ私には、レオニダス陛下の情報収集をするというミッションがありますからね!
肉食女子たちに交じって、私も陛下を観察しに行かなければ……
うぅ、考えただけで身震いするけど、友達のためです! 怖じ気づいていてはいけません!!
そうなると、スタートダッシュが大切だよね。宴の開始と同時に動きましょう。
……本当は、その前にどうしてもご挨拶しておきたい人達がいるんだけど。
できれば宴がはじまる前に会いたいな。
目的の人達を探しながら移動していると、背後から声をかけられる。
「リリアナ嬢、お久しぶりね」
振り返ると、赤みがかった金髪と萌黄色の瞳を持つ女の人――フィオレンティーナ様が立っていた。美しいフィオレンティーナ様の隣には、甘い顔立ちをした彼女のお兄様と、優しげな雰囲気の男性が控えている。
「フィオレンティーナ様、ヴィンセント様にユベール様も……! お久しぶりです!」
ヴィンセント様とフィオレンティーナ様は、彼の有名なイクシオン公爵家の出身です。
イクシオン公爵家は、シェルフィールド王国の王妃シャーロット様の生家。当主であるイクシオン公爵は王妃様の兄君で、この国の宰相を務める方でもある。
ちなみにフィオレンティーナ様をエスコートするように佇む優しげな男性が、ユベール様。多くの武官を輩出していることで有名な、リディストラ侯爵家の嫡男です。
フィオレンティーナ様とユベール様は婚約しているから、こういった公の場ではいつも一緒にいるみたい。
そんな有名なお家柄の方々と知り合いになったきっかけは、この国の成人式『初花の儀』だった。
その式典に参加するときには、異性の相手役が必須だったんだけど……貴族のお友達がいないぼっちな私は、自分の力で相手役を見つけることができなかったんです。
そんな私のために、相手役を見つけてくれたのがお母様。
お母様のお友達の伝手で、イクシオン公爵家のヴィンセント様を紹介してもらえることになりました。
そんな大物を引っ張り出せるなんて、お母様の伝手ってすごいですよね。
それ以来、こういった社交の場でヴィンセント様達とお会いしたときには、必ず挨拶を交わしています。畏れ多いですが、ゆくゆくはお友達になれたらいいなぁ。
三人を眺めながらそんなことを考えていたとき、ふと一人足りないことに気がついた。
あれ? いつもはヴィンセント様達と一緒にいることが多いのに……
私はしゅんと肩を落としつつ、さりげなくあたりを見まわした。
「誰かを探しているのかしら、リリアナ嬢?」
「……はい。今日は、ランスロット様とご一緒ではないのですね。どこか別の場所にいらっしゃるんでしょうか?」
ランスロット様は、東のカイウェル王国から来た駐在大使ジェラルディ子爵の次男にあたります。ヴィンセント様達と仲が良くて、いつもは一緒に行動しているところを見かけるんだけど……
このランスロット様、実は容姿が日本人にそっくりなんです!!
異世界に転生して十六年。今まで出会った人々は、目鼻立ちがはっきりした、彫りの深い顔立ちでした。
だけどランスロット様は、私がこの世界ではじめて出会った日本人によく似た男性。闇のような漆黒の髪に、一見黒にも見える濃茶色の瞳。シェルフィールド王国では見たことのない象牙色の肌に、彫りの浅い顔立ちをしています。
なんだかすごく懐かしくて、私はランスロット様にとても興味を引かれました。
それに、彼にはすごくお世話になっているんです。私が時々お手伝いをしに行っている治療院に寄付をしてくださったり、私の家族が誘拐されたときに救出してくださったり……
できればランスロット様にも挨拶をしたいところだけど、残念ながら近くにはいないみたい。
私が肩を落としていると、ヴィンセント様がクスクス笑いながら口を開いた。
「彼は、よくフラフラと歩きまわっていますからね。宴の前に会うのは難しいだろうな。国王陛下のご挨拶が終わり、宴が本格的にはじまってしばらくした頃に、姿を見せるでしょう。それにしても、どうやらリリアナ嬢はランスロットにご執心のようだね」
「べっ、別にそういうわけではありません。ただ、いつもお世話になっているのでご挨拶をしたいだけです。他意はありません!」
断じてご執心なわけじゃないよ。
ヴィンセント様ったら、突然何を言い出すんだろう。おかしなことを言う人です。
ねっ、フィオレンティーナ様にユベール様。
同意を求めるように二人を見ると、ユベール様はヴィンセント様と同じようにクスクス笑っていた。一方のフィオレンティーナ様は、眉をひそめている。
フィオレンティーナ様?
どうしたんだろう。
違和感を覚えてフィオレンティーナ様の顔をじっと見ていたら、彼女はハッとしたあと、すぐに優しげな笑みを浮かべた。
「どうかなさったの、リリアナ嬢? こちらをまじまじと見て……私の顔に、何かついているかしら?」
「……いいえ、不躾なことをしてしまって申し訳ありません。フィオレンティーナ様が美しいので、つい見惚れていました」
先ほどの違和感を指摘することができず、私は誤魔化すようにそう答えた。
「まぁ、ありがとう。でも、リリアナ嬢のほうがとっても綺麗だわ。この会場にいる誰よりもね」
「そ、そんなことありません! 私なんかより、フィオレンティーナ様のほうが断然可憐で美しいではありませんか!!」
思わず拳を握って力説すると、フィオレンティーナ様は頬を桃色に染めてはにかむ。
うわぁ、可愛い人だなぁ。
「褒めてくださってありがとう。でも、それはこのドレスのおかげかもしれないわ」
フィオレンティーナ様はそう言って、ドレスの裾を軽く持ち上げて見せた。
彼女がまとっているのは、黒色の細かい刺繍が施された白地のドレス。アクセントに、深紅や桃色の薔薇の造花が散らされている。
「フィオレンティーナ様の可憐な雰囲気にピッタリのドレスですね。造花がついているということは……そのドレス、もしかして?」
首を傾げながら尋ねると、フィオレンティーナ様はにっこり笑顔で頷いた。
「ええ。リリアナ嬢がおすすめしてくれた、リーシェリ商会の図案師ヴィオレッタの作品よ」
やっぱり! 造花のドレスを扱っているのはリーシェリ商会だけだからね。
嬉しくなって頬を緩める私に、フィオレンティーナ様は言葉を続ける。
「リリアナ嬢のドレスも可愛らしいわね。それも彼女の作品なのかしら? とても素敵だわ!」
「はい、その通りです!」
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