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4.虚しい憧れ
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絶対に変わらないこの世の真理を実感し、同時にひどく不愉快な気持ちになった。
罪悪感と不愉快さに揺れる自分にも腹が立つ。
あづさに会わないように、あのクラブに行かないことも考えたが、俺が避ける理由はない。
あれだけ冷たくしたから、声はかけられないと思ったけど……。
「あっ、寿くーん久しぶりー」
「この前はコイツが迷惑かけたんだって~?」
「おぼっちゃまで世間知らずだから許してやってよ」
なんとあづさは友達らしき男2人を引き連れヘラヘラ笑って現れた。コイツ……メンタル強すぎだろ。
ア然としているとカップルが俺たちに近づいてきた。
「あ、あの『TUC』のカツヤさんですか?」
「いつも動画見てます!めっちゃファンです!あ、オンラインサロンも入ってて~」
「おーマジ?ありがとー」
「握手とか大丈夫ですか?」
「うん、全然大丈夫」
友達の1人、 サングラスをかけ真っ赤な髪をしたヤツが笑顔で対応している。
YouTuberかなんかか?そんな視線を向けているともう1人の友達が耳打ちした。
「あいつ『東京アングラクラブ』ってチャンネルやっててさー。そっちの界隈ではそこそこ有名らしいよ?」
「ふーん……聞いたこともねぇな」
「ははは、カツヤもまだまだだな」
検索すると、登録者数65万人で都市伝説や陰謀論や裏社会の闇を扱っているチャンネルだと判明した。詳しいことはわからないが、目の前に有名人がいてテンションが上がってしまう。あぁ、いけない。YouTuberごときにキャーキャー言うなんてダサいって。自分に言い聞かせて平常心を保つ。
「で、お前は?」
コイツはあづさとは違って可愛い系のイケメンって感じだ。目が大きくてクリクリしている。
「ただの一般人!強いて言えばたまーにサロモやってるけど……。
だってタダになるじゃん?それ目的。あ、ケイっていいま~す」
「サロモねぇ……」
こっちはセルフカラーだってのに……ツラがいいだけでタダになるのか。ウザ。死ねばいいのに。舌打ちは大音量の音楽でかき消されたのか、ケイはニコニコと笑顔を浮かべていた。
「ところでこの人たちは……?」
「YouTuber仲間?あっ、俳優とか?」
カップルが俺とほぼ同じ質問をすると、2人は慣れた様子で愛想笑いをして首を横に振った。
「コイツは俺の友達。フツーの人だよ」
「そうなんスねー。3人ともかっこいいからなんかやってんのかと思って……」
「そうそう」
3人ともって……俺も入ってんの?思いがけない発言にちょっとだけドキッとしてしまう。
だってかっこいいなんて言われたの初めてだったから……。
あづさたちといっしょにいると俺も『そういう風』に見えたのだろうか?
……正直言ってかなり嬉しい。
カツヤはファンサービスを終えると芝居掛かった動作でパンッと手を鳴らした。
「さっ、話を戻して!奢るから上のバーでゆっくり飲まねぇ?この前のお詫びってことでさ」
気がつけば俺は頷いていた。
罪悪感と不愉快さに揺れる自分にも腹が立つ。
あづさに会わないように、あのクラブに行かないことも考えたが、俺が避ける理由はない。
あれだけ冷たくしたから、声はかけられないと思ったけど……。
「あっ、寿くーん久しぶりー」
「この前はコイツが迷惑かけたんだって~?」
「おぼっちゃまで世間知らずだから許してやってよ」
なんとあづさは友達らしき男2人を引き連れヘラヘラ笑って現れた。コイツ……メンタル強すぎだろ。
ア然としているとカップルが俺たちに近づいてきた。
「あ、あの『TUC』のカツヤさんですか?」
「いつも動画見てます!めっちゃファンです!あ、オンラインサロンも入ってて~」
「おーマジ?ありがとー」
「握手とか大丈夫ですか?」
「うん、全然大丈夫」
友達の1人、 サングラスをかけ真っ赤な髪をしたヤツが笑顔で対応している。
YouTuberかなんかか?そんな視線を向けているともう1人の友達が耳打ちした。
「あいつ『東京アングラクラブ』ってチャンネルやっててさー。そっちの界隈ではそこそこ有名らしいよ?」
「ふーん……聞いたこともねぇな」
「ははは、カツヤもまだまだだな」
検索すると、登録者数65万人で都市伝説や陰謀論や裏社会の闇を扱っているチャンネルだと判明した。詳しいことはわからないが、目の前に有名人がいてテンションが上がってしまう。あぁ、いけない。YouTuberごときにキャーキャー言うなんてダサいって。自分に言い聞かせて平常心を保つ。
「で、お前は?」
コイツはあづさとは違って可愛い系のイケメンって感じだ。目が大きくてクリクリしている。
「ただの一般人!強いて言えばたまーにサロモやってるけど……。
だってタダになるじゃん?それ目的。あ、ケイっていいま~す」
「サロモねぇ……」
こっちはセルフカラーだってのに……ツラがいいだけでタダになるのか。ウザ。死ねばいいのに。舌打ちは大音量の音楽でかき消されたのか、ケイはニコニコと笑顔を浮かべていた。
「ところでこの人たちは……?」
「YouTuber仲間?あっ、俳優とか?」
カップルが俺とほぼ同じ質問をすると、2人は慣れた様子で愛想笑いをして首を横に振った。
「コイツは俺の友達。フツーの人だよ」
「そうなんスねー。3人ともかっこいいからなんかやってんのかと思って……」
「そうそう」
3人ともって……俺も入ってんの?思いがけない発言にちょっとだけドキッとしてしまう。
だってかっこいいなんて言われたの初めてだったから……。
あづさたちといっしょにいると俺も『そういう風』に見えたのだろうか?
……正直言ってかなり嬉しい。
カツヤはファンサービスを終えると芝居掛かった動作でパンッと手を鳴らした。
「さっ、話を戻して!奢るから上のバーでゆっくり飲まねぇ?この前のお詫びってことでさ」
気がつけば俺は頷いていた。
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