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gamerboy

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 「…Bet、C-7へ」
 「ぐぅっ…り、Recallだ!」
 「…(にこっ)Check」
 「なっ!何だと…おい!頼む…やめてくれ!!」
 「残念。俺は、勝つためなら手段を選ばないんだよ」
 Checkの命令で白の石版が黒に変わり、全ての石版が黒になった。オセロの様だがそうではない。オセロというより、将棋やチェスに近い。白黒の石版にそれぞれの役職が書いてあり、Fieldを奪い合うゲームだ。チェスと似ているのはkingを取られたら終わりなところ。あとは少しづつ違う。
 勝負がついた。
 「勝者!blue rabbit!!」
 「「うぉぉぉ!!!!」」
 ゲームの機械ボイスが勝者宣言と野次の声を出す。
 今日のTopScoreともに、ここ2週間程連続のTopは『blue rabbit』だ。

 「ふぅ…今日も、僕がTopっと。今の所、Top3までは入れ代わりあるものの、顔ぶれは変わらないかぁ(面白い様な、つまんない様な…)微妙だな」

『blue rabbit』こと、青柳 凪兎は現在ただの引きこもりだ。バイトができる年齢ではあるものの、彼は外に出る事なんてせず、部屋の中、安全な部屋の中で自分の城を囲っている。
 学校なんて、12…いや、13の頃からろくに行っていない。
 学校が嫌になったというより、学校のやり方が面白くなくて、つまらなくなって登校するのを辞めた。
 それでも1学期までは取り敢えず行っていたけど、夏休み中、あるゲームに出会ってから僕の全てが変わった。そこには、現実世界には無かった僕の居場所があって、他のplayerも僕を求めてくれた。
 それが嬉しくて、僕はリアルの世界に飽きたということに気がついた。
 「もう、リアルになんて、戻れないな…」
 そう。もうリアルに戻る事はできない。ゲーム世界での存在意義、必要とされている悦楽。それらを知ってしまったら現実世界で居場所があるかどうかすら分からなくなってしまう。
 「そういえば、play games ってビギナー(初心者)の時はPell Jが案内人兼助っ人としてplayerの側に居る設定になってたな…もうログインしても居ないって事は、もうビギナー扱いにはならなくなった…って事で良いのか?」
 凪兎はもう、play games においても最強playerとなっている。blue rabbitがログインするまでのTopも彼の足元にも及ばなくなっていた。
 「さて、今何時だ?」
 凪兎はスマホの画面右上を見た。指してある時間はAM9:25。学校はもうとっくに始まっている時間だ。
 「やっべ。もうそろそろ寝ないとだな…」
 凪兎は座っていたゲーミングチェアから立ち上がり、敷いてある布団になだれ込む。掛け布団は足元に丸まってあり、凪兎は一先ず毛布を腹に掛けた。
 …が、彼は眠る前にスマホを再度起動した。
 起動した画面に映るのは異世界召喚もののライトノベルだ。
 「僕も、こんな風にアニメやゲームの世界に行けたらな…」
 スマホの画面が暗くなる。
 「んん。ちょっと寝よ…(夢の見過ぎなんて、良くないんだから…)」
 凪兎は充電器にスマホを挿して眠った。
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