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第15話 三巡目総評②
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「へぇ~、すっごいピンクで半裸の女の人がデカデカと乗っている表紙だからそれ系だと思ったよ」
「俺もだったが、やってみると面白いぞ。 普通に人に薦められるレベルだ」
次に謀略。 リアルタイムストラテジーという継征にとってはあまり馴染みのないジャンルで、実際にプレイしたのは逸子ではあるが奥が深いものだとは思った。
過去に起こった戦争をモデルにし、その時代に登場した兵器を用いて自軍を勝利へと導く。
煽り文句としてはそんな感じだが、継征からすればこれこそが覚えゲーといえるだろう。
基本的に敵は特定の手順に従って仕掛けてくるので理屈の上ではあるがパターンを丸暗記すれば誰でも勝てる。 付け加えるなら勝ち筋が複数存在するので、敵の動きを読み切りつつ自分なりの最適解を模索する奥深さも追及できるジャンルともいえた。
「へぇ、人は選びそうだけど面白そうだね。 ジャンルに関する感想は聞いたけどその謀略ってゲーム自体の評価は聞いていないけどどうだったの?」
「ん? あぁ、比較対象がないから何とも言えないけど、よく言えば堅実、悪く言えば地味だな」
システム面でこれと言って気になる点はなかったが、演出面で目を引く点もまた存在しなかった。
戦車や航空機を動かして攻撃、防衛を行うとだけなゲームだけあって、見方によっては駒が盤上を行ったり来たりしているだけに見えるのでもう少し演出面での強化は欲しかったというのが継征の本音だった。
史実を元にしているだけあって内容自体には特に突っ込みどころはないので、継征としてはあのゲームに求めるのは勝った時や攻撃が上手く決まった時に爽快感だ。
淡々と進み、淡々と結果が出るのであまり楽しみを感じ辛い印象を受けていた。
総評としては戦略性を求められるゲームではあるが全体的に地味だったので、ジャンルに対しての高い関心がなければ興味が持続しない、だ。 決して面白くなかった訳ではないが、後ろで見ていただけの継征としては目でも楽しませて欲しかったというのも本音だった。
「ふーん。 面白くはあったんだ?」
「実際、プレイしたのは逸子だからあくまで後ろで見ていた感想だな。 ただ、逸子の奴には合わなかったみたいだったが」
継征のいう通り、終盤は完全に飽きていたので逸子は根本的な部分でこの手のゲームに向いていないのかもしれない。
「で、逸子のやったゲームは分かったけど沿道のは? 結構、地味な奴だったような気がするけど?」
「…………あぁ、あれかぁ」
十柱戯。 ボウリングゲーム。
十の難易度をクリアすれば終わるシンプルな造りだ。
だが、このゲームにはそんなシンプルな構造にもかかわらずプレイヤーをストレートに苦しめる罠が仕込まれていた。 これまた単純な操作のシビアさだ。
十柱戯はプレイヤーの分身がボールを構え、助走から投げに入る。
まずは構えでボールのフォームが決定し、助走で投げる位置、最後に投げた瞬間に軌道が決まる仕様だ。 つまり、この三つの要素を揃える為、タイミングよくボタンを押す事を要求される。
フォームが整わなければボールはバウンドして即ガターで、投げる位置をしくじればそのままガターへ落ちる結果になり、最後に軌道が逸れればそもそも真っすぐ飛ばない。
要は三回の入力手順をいかに最高のタイミングで行えるかがカギなのだ。 判断方法はアバターの動きのみ、脇に真ん中に来たタイミングで押せば成功などといった気の利いたゲージの類はない。
完全に感覚でやらなければならないのだ。 これが継征が苦戦した最大の要因だった。
投げるまで失敗したのか成功したのかがはっきりしないのだ。
それでも試行回数を重ねれば見えてくるものもある。 苦労を重ねて継征はタイミングを掴み、スコアは徐々に安定してきた。 クリアするだけであるならこれでも事足りただろう。
だが、彼の目指すトロフィーコンプは残酷なまでに高い技量を彼に要求する。
最後の難易度九と十。 これはノーミス――要は全てストライクを出さなければトロフィーが取れないように設定されていた。 地獄、まさに地獄だった。
ミリ単位の精度を要求され、針の穴を通すような繊細な操作を十回連続で成功させる。
職人技とも呼べるそれは継征の極限の集中力と意地を以って困難をねじ伏せたのだ。
総評。 苦行のようなクソゲー、二度とやらない。
「あ、あはは、相当だったんだあのゲーム。 パっと見、簡単そうに見えたんだけどなぁ」
「何ならやってみるが? 地獄だぞ」
継征はそこまで言ってふと思い出したように遠い目をする。
「あぁ、でもいい所もあったな」
「そうなの? 何?」
「クリアした時の爽快感はぶっちぎりで最高だった。 嬉しくてあそこまで叫んだのは生まれて初めてかもしれない」
あの瞬間、トロフィーをコンプリートした瞬間、継征はまるで全ての苦しみから解放され、解脱に至ったのではないかと思えるほどの快感を得ていた。
全ての悩みが解決されたような、長年囚われていた囚人が外の空気を吸ったような。
そんな開放感を。 恐らくあれほどの感覚はこの先、得られないのではないか?と疑問を感じるほどの圧倒的なものだったのだ。
やや恍惚の表情でそう語る継征の姿を見て藤副はやや引き攣った顔で「そ、そうなんだ」と雑に同意した。 ゲームで人はここまで狂えるのかとやや闇を感じたが気を取り直して次の話題に移る。
「ま、まぁ、十柱戯のヤバさは分かったけど、麻雀の方はどうだったの?」
「あぁ、あれかぁ……」
麻將。 名前の通り麻雀のゲームでストーリー性は皆無。
本当に麻雀をやるだけのゲームなのだが、トロフィーを狙う場合はそうもいかない。
特定の難易度をクリアする。 特定の難易度で特定の役で上がるなど、取得に当たってのハードルは非常に高い。 辛うじてルールを理解している継征からすれば非常に難しい条件だった。
一応、最初は真面目にやっていたのだが、途中で馬鹿らしくなったので初手を見て行けそうなら続行、そうでなければやり直しといったリセットマラソンを繰り返して勝ちを狙う戦法を編み出した。
そんなやり方で楽しむなんて真似は不可能。 麻雀という遊戯は継征の中でリセットマラソンでトリプル役満を狙う運ゲーとして認識された。
ただ、トロフィーを狙わないのであればバグもないので麻雀というゲームに触れられる良ゲームではある。 残念ながら継征は違った遊び方をしたのですっかり認知が歪んでしまったが。
総評。 リセマラゲー、恐らく二度とやらない。
「俺もだったが、やってみると面白いぞ。 普通に人に薦められるレベルだ」
次に謀略。 リアルタイムストラテジーという継征にとってはあまり馴染みのないジャンルで、実際にプレイしたのは逸子ではあるが奥が深いものだとは思った。
過去に起こった戦争をモデルにし、その時代に登場した兵器を用いて自軍を勝利へと導く。
煽り文句としてはそんな感じだが、継征からすればこれこそが覚えゲーといえるだろう。
基本的に敵は特定の手順に従って仕掛けてくるので理屈の上ではあるがパターンを丸暗記すれば誰でも勝てる。 付け加えるなら勝ち筋が複数存在するので、敵の動きを読み切りつつ自分なりの最適解を模索する奥深さも追及できるジャンルともいえた。
「へぇ、人は選びそうだけど面白そうだね。 ジャンルに関する感想は聞いたけどその謀略ってゲーム自体の評価は聞いていないけどどうだったの?」
「ん? あぁ、比較対象がないから何とも言えないけど、よく言えば堅実、悪く言えば地味だな」
システム面でこれと言って気になる点はなかったが、演出面で目を引く点もまた存在しなかった。
戦車や航空機を動かして攻撃、防衛を行うとだけなゲームだけあって、見方によっては駒が盤上を行ったり来たりしているだけに見えるのでもう少し演出面での強化は欲しかったというのが継征の本音だった。
史実を元にしているだけあって内容自体には特に突っ込みどころはないので、継征としてはあのゲームに求めるのは勝った時や攻撃が上手く決まった時に爽快感だ。
淡々と進み、淡々と結果が出るのであまり楽しみを感じ辛い印象を受けていた。
総評としては戦略性を求められるゲームではあるが全体的に地味だったので、ジャンルに対しての高い関心がなければ興味が持続しない、だ。 決して面白くなかった訳ではないが、後ろで見ていただけの継征としては目でも楽しませて欲しかったというのも本音だった。
「ふーん。 面白くはあったんだ?」
「実際、プレイしたのは逸子だからあくまで後ろで見ていた感想だな。 ただ、逸子の奴には合わなかったみたいだったが」
継征のいう通り、終盤は完全に飽きていたので逸子は根本的な部分でこの手のゲームに向いていないのかもしれない。
「で、逸子のやったゲームは分かったけど沿道のは? 結構、地味な奴だったような気がするけど?」
「…………あぁ、あれかぁ」
十柱戯。 ボウリングゲーム。
十の難易度をクリアすれば終わるシンプルな造りだ。
だが、このゲームにはそんなシンプルな構造にもかかわらずプレイヤーをストレートに苦しめる罠が仕込まれていた。 これまた単純な操作のシビアさだ。
十柱戯はプレイヤーの分身がボールを構え、助走から投げに入る。
まずは構えでボールのフォームが決定し、助走で投げる位置、最後に投げた瞬間に軌道が決まる仕様だ。 つまり、この三つの要素を揃える為、タイミングよくボタンを押す事を要求される。
フォームが整わなければボールはバウンドして即ガターで、投げる位置をしくじればそのままガターへ落ちる結果になり、最後に軌道が逸れればそもそも真っすぐ飛ばない。
要は三回の入力手順をいかに最高のタイミングで行えるかがカギなのだ。 判断方法はアバターの動きのみ、脇に真ん中に来たタイミングで押せば成功などといった気の利いたゲージの類はない。
完全に感覚でやらなければならないのだ。 これが継征が苦戦した最大の要因だった。
投げるまで失敗したのか成功したのかがはっきりしないのだ。
それでも試行回数を重ねれば見えてくるものもある。 苦労を重ねて継征はタイミングを掴み、スコアは徐々に安定してきた。 クリアするだけであるならこれでも事足りただろう。
だが、彼の目指すトロフィーコンプは残酷なまでに高い技量を彼に要求する。
最後の難易度九と十。 これはノーミス――要は全てストライクを出さなければトロフィーが取れないように設定されていた。 地獄、まさに地獄だった。
ミリ単位の精度を要求され、針の穴を通すような繊細な操作を十回連続で成功させる。
職人技とも呼べるそれは継征の極限の集中力と意地を以って困難をねじ伏せたのだ。
総評。 苦行のようなクソゲー、二度とやらない。
「あ、あはは、相当だったんだあのゲーム。 パっと見、簡単そうに見えたんだけどなぁ」
「何ならやってみるが? 地獄だぞ」
継征はそこまで言ってふと思い出したように遠い目をする。
「あぁ、でもいい所もあったな」
「そうなの? 何?」
「クリアした時の爽快感はぶっちぎりで最高だった。 嬉しくてあそこまで叫んだのは生まれて初めてかもしれない」
あの瞬間、トロフィーをコンプリートした瞬間、継征はまるで全ての苦しみから解放され、解脱に至ったのではないかと思えるほどの快感を得ていた。
全ての悩みが解決されたような、長年囚われていた囚人が外の空気を吸ったような。
そんな開放感を。 恐らくあれほどの感覚はこの先、得られないのではないか?と疑問を感じるほどの圧倒的なものだったのだ。
やや恍惚の表情でそう語る継征の姿を見て藤副はやや引き攣った顔で「そ、そうなんだ」と雑に同意した。 ゲームで人はここまで狂えるのかとやや闇を感じたが気を取り直して次の話題に移る。
「ま、まぁ、十柱戯のヤバさは分かったけど、麻雀の方はどうだったの?」
「あぁ、あれかぁ……」
麻將。 名前の通り麻雀のゲームでストーリー性は皆無。
本当に麻雀をやるだけのゲームなのだが、トロフィーを狙う場合はそうもいかない。
特定の難易度をクリアする。 特定の難易度で特定の役で上がるなど、取得に当たってのハードルは非常に高い。 辛うじてルールを理解している継征からすれば非常に難しい条件だった。
一応、最初は真面目にやっていたのだが、途中で馬鹿らしくなったので初手を見て行けそうなら続行、そうでなければやり直しといったリセットマラソンを繰り返して勝ちを狙う戦法を編み出した。
そんなやり方で楽しむなんて真似は不可能。 麻雀という遊戯は継征の中でリセットマラソンでトリプル役満を狙う運ゲーとして認識された。
ただ、トロフィーを狙わないのであればバグもないので麻雀というゲームに触れられる良ゲームではある。 残念ながら継征は違った遊び方をしたのですっかり認知が歪んでしまったが。
総評。 リセマラゲー、恐らく二度とやらない。
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