妹とゲームする

kawa.kei

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第4話 一巡目総評

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 怒涛の週末が過ぎ、学生の本分である学校へ通う月曜日がやってきた。
 眠い目をこすりながら起床すると既に逸子は元気に朝食を食べており、継征の姿を認めるとおはようと声をかける。 それに答えながら向かいの席に着く。

 「機界戦記のトロフィーってどんな感じだったけ?」
 「あぁ、昨日結構頑張ったからな。 ぼちぼち四割ってところだな」

 逸子はパンに目玉焼き。 継征は卵かけご飯とみそ汁だ。
 
 「確かストーリー関係はほぼ片付いたよね?」
 「そうだな。 残りは全キャラの隠し装備解放と隠しイベント関係だな」
 
 ガジガジと端からパンを齧る逸子の質問に継征は卵に醤油を垂らしながら答える。
 
 「撃破数とかは?」
 「累計撃破数が残ってるけど、あれは他をやってりゃ勝手にとれるだろ」
 「今日はどうする?」
 「悪いが俺はバイトがあるから帰りは遅くなるぞ」
 「うーん。 なら装備集めやってていい?」
 「分かった。 それで頼む」
 「終わったらまたリサイクルに行こうね!」
 「はいはい」

 逸子の中学と継征の高校は場所が離れているので出発のタイミングが違う事もあり、食事を済ませると行ってきますと早々に出て行った。 話し相手が居なくなった継征もさっさと食事を済ませて学校へと向かう。 歩きながら考えるのは金曜日の夜から昨日の夜までの戦いの記憶だ。

 まずはアイドルグラビア。
 これに関して言う事はない。 可愛い女の子の写真を撮りまくるだけのゲームだ。
 逸子がセクハラおやじみたいな事を言っていた事を除けばまぁ、こんな感じかといった感想が出ただけだった。 総評としてはファンアイテムといったところで、推しが出てくるなら買う価値はあるだろう。

 次に風雅。
 こちらはノベルゲームだけあってストーリーありきのゲームだ。
 通販サイトの評価を見ると高評価と低評価でざっくりと意見が割れていた。

 高評価はほぼ初見勢で伝奇ものとしては光るものがある。
 ヒロインが可愛い。 バトル描写にやや難があったが、美麗なCGでそれを補っていたなどなど。
 低評価は既にPC版に触れている者が大半で追加要素がほとんどなかったので買う価値がなかった。
 エロがないので単純に劣化品などなど。 

 ――ほー。

 継征はその評価にざっと目を通しながら自身でプレイしてどうだったかを反芻する。
 非日常の導入から少年少女の日常と青春、徐々に違和感のような点が生まれ、染みのようにそれが広がり最終的には非日常へと変わっていく。 これからの展開を匂わせて興味を引く手法は非常に上手い。 

 継征は勿論、逸子もかなりの興味を示していた。
 共通シナリオからたっぷりと引っ張ってからの本番である個別シナリオはかなりの盛り上がりだったが、その反面メインヒロインのルートをクリアしてしまうと話の大半の謎が解けてしまうので他のヒロインの話が完全に蛇足になってしまうといった欠点があった。 どのヒロインのシナリオをプレイしてもそこまで大きく展開が変わらなかったのは継征の中ではややマイナス評価で、逸子に至っては終盤には露骨に興味を失っており、お菓子とジュースを持ち込んで飲み食いしながら見ていたぐらいだ。

 総評としては面白くはあったが、メインヒロインの攻略は最後にした方がいいといったところだろう。
 決して面白くなかった訳ではないが、蛇足部分を最後に持って行った所為で楽しみ切れなかった。
 次からはちょっと攻略順を考えるか。 そう考えつつ、ちらりとスマートフォンの時刻表示を確認する。 時間にはまだ余裕があるなと考えながらぼんやりと次のゲームについて考える。

 ナイツストーリー。
 ストーリーは王道、システムはオーソドックス、全体的なボリュームは抑え目。 
 突出して面白い部分はなかったが、突き抜けてダメな部分もなかった。
 
 普通にクリアまで持って行くなら気軽にやれる良ゲームだ。
 ただ、トロフィーをコンプリートしたいなら中々にきつい。
 特にドロップ率がかなり渋く、アイテム収集関係のトロフィー取得には随分と手を焼かされた。

 このゲームは装備品の類はイベントクリアで勝手に上位互換の装備を配ってくれたり、特定のダンジョンを攻略すると確定で入手できるので探す必要のあるアイテムは攻略には全く関係ないのも苦戦した要因だった。 総評としてはトロフィーコンプを意識しないなら気軽に楽しめるロールプレイングゲームだ。

 最後に機界戦記。
 これに関してはトロフィーコンプはまだだが、評価に関しては一通り出揃っていた。
 なにせストーリー関係は全て終わらせたので後はトロフィーを集めるだけだからだ。
 
 簡単な操作、ばっさばっさと敵を薙ぎ払う爽快感。
 やっていて非常に気持ちのいいゲームで、簡単な操作も相まって時間を忘れて楽しめる。
 実際、逸子は満面の笑みで逃げ惑う敵を追いかけまわしていた。 

 欠点としては簡単な分、割と早く飽きが来てしまう点だろうか。
 同じ爽快感も二度三度と繰り返すと一回目と同じレベルの感動を得るのは難しい。
 そうこうしている内に飽きてしまうのだ。 ちなみにトロフィー回収を行っている現状はその飽きが来ている状態で、ほぼ作業としてプレイしている状況だった。 

 総評としては爽快感があり、非常に面白いが飽きが来るのも早い。
 取り合えず、進捗を考えると週末までには片付くか。 終わり次第、店で新しいのを仕入れて――
 継征はその後の予定に頭を巡らせながら見えてきた学校に向けて歩く足を早めた。


 教室に入り席に荷物を置くと後ろから指で突かれる。
 振り返るとそこにはリサイクルでバイトをしているクラスメイトの藤副ふじぞえ 笑実えみがいた。 
 
 「おはよ。 こないだかったゲームはどうだった?」
 「おう。 三つは片付いたから、近い内にまたそっちに行くわ」
 「へー、もう三つも片付いたんだ。 やるじゃん」
 「内二つは時間があんまりかからない奴だからな」
 
 元々、継征は逸子を連れてよくあの店に行っていたので藤副とはよく会い、こうして話す関係になっていた。 一時、逸子が「彼女~?」と聞いてきたが、残念ながら彼女には別に相手がいるので継征とどうにかなる事はないだろう。 実際、何度か年上の男と街を歩く藤副の姿を何度か目撃していた。

 一度だけ尋ねた事があったが、藤副はちょっと照れながら彼氏じゃないと言っていたので、今はそうではないのだろう。
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