265 / 476
第265話
しおりを挟む
「お疲れ様! いやぁ、危ない場面も多かったけど無事に全員生き残れてよかったな!」
場所は変わって星座盤のユニオンホーム。 マルメルがやや興奮気味に喜びを口にする。
「そうやね。 ウチはあんまりいいとこなしやったから本戦はもうちょっと頑張らんと」
ふわわは不完全燃焼気味に呟き、グロウモスはうんうんと頷きながらヒヒと奇妙に高い笑いを漏らす。
そしてベリアル――影のように真っ黒なアバターが壁を背にもたれかかったまま無言。
ヨシナリも皆と同じ気持ちだったが、勝利に胡坐をかいていれば足元を掬われる。
「一先ずは予選突破お疲れ。 これから感想戦やるから皆、意見があれば遠慮なく行ってくれ!」
マルメルとふわわはいつもの事なので何も言わず、グロウモスは小さく頷く。
「ふ、勤勉だな。 魔弾の射手よ」
「……闇の深みへ向かうにはその浮力に抗わなければならない。 停滞は俺や貴公の身を浮かび上がらせ、慢心は闇を見通す目を奪うだろう」
「道理だな」
ベリアルも納得してくれたようだ。 マルメルがじっとヨシナリを見つめているが、努めて無視する。 ともあれ話は纏まったようなのでそのままリプレイ映像を再生。
全員の動きを確認していく。 まずは分かり易いグロウモスから。
今回のイベントは彼女と非常に相性が良かった。 豊富にある隠れる場所は彼女のステルス性を極限まで高め、立ち回りもほぼ言う事はない。 特にあのセンドウを狙撃で完璧に抑えたのは見事としか言いようがなかった。
事前準備として塹壕を用意。 持ち込んだシャベルで穴を掘り、掘り返した土と穴の内部をグルーで固めて楽に出入りできるようにしている。 合間にヨシナリの援護もしていたので、見えていないがしっかりと仕事はしていた。
「これはお前の入れ知恵か?」
「あぁ、前の時に俺もやったんだけど案外見つからなくってさ。 穴を固めたり土を固めて蓋をしたりはふわわさんのグルーキャノンを見てて使えるなって思ったんだ」
準備完了後、早々に仕掛ける。
初手で相手のメインの狙撃銃を破壊し、自身の排除を強く意識させる事で味方の安全を確保。
「上手いなぁ。 センドウさん完全にグロウモスさんに釘付けじゃん」
狙われていたマルメルとしては助かったと言った思いが強い。
こうしてリプレイ映像で見るとセンドウがかなりグロウモスを意識しているのが分かる。
森の中を進み、途中で変形。 明らかに狙撃を誘っている動きだ。
「あー、これはグロウモスさんの位置が分かってないから特定する為の動きか」
「マルメルの言う通りだ。 味方の援護もあるからさっさと片付けたいってのが丸わかりだな」
その間、グロウモスは穴から半身を出している状態で狙いを付けていた。
仕留めるのは難しいと判断し、発砲と同時に穴へと隠れる。
掘り返した土を固めて蓋にしているのでよくよく見れば不自然ではあるが、初見で見切るのは難しい。 穴の内部でグロウモスはゆっくりと大口径の拳銃を用意。
センドウがあれで気付くと判断したのもヨシナリからすれば好印象だった。
相手の技量をしっかりと認識できている。 誘い出されたセンドウが狙撃地点に現れ、グロウモスの姿を探し――違和感に気付く前に地中から一撃。
「お見事」
ヨシナリの見立てではセンドウは相手を自分のペースに引き込む事でリズムを作る傾向にある。
その為、逆にリズムを乱される、もしくは相手のリズムに引き込まれると脆さが目立つ。
たらればを言っても仕方がないが、まだ味方のキマイラが一機残っていたのでその機体に怪しい場所を爆撃させる等のやり方はあった。 実際、それをやられるとグロウモスはかなり苦しかっただろう。
その後も見つからない事を念頭に置き、チクチクと味方の邪魔になりそうな敵にひたすら嫌がらせを繰り返していた。 ヨシナリは敵でこれやってくる奴、死ぬほど腹立つだろうなと思いつつ味方で良かったと強く思った。
「次は俺のを見てくれよ!」
マルメルは自分の活躍をアピールしたいのか見てくれ見てくれと言うのでフォーカスする。
基本的に今回の予選は栄光との戦闘以外はそこまで派手な戦いはなかったので、自然とさっきの場面の別視点となる。 『栄光』に仕掛けられたタイミングからなのだが、マルメルの戦い方は堅実そのものと言えた。 事前にヨシナリがしたアドバイスを愚直なまでに守り、地形を上手く利用して敵を削る。
言うには易いが実行できるかはまた別の話。
三機を相手に撃破されずに抑え込めたのは紛れもなくマルメル自身の実力と言えるだろう。
フカヤの奇襲を防ぐ為に遮蔽物を上手く利用して移動経路を制限し、牽制をかかさない。
そんな粘りが勝機を呼び込んだ。 元々、フカヤは精神的に脆い面が目立つ。
それを補う為のイワモトとのセットだったのだろうが、センドウとツガルが完全に抑えられている状態で脳裏に負けの二文字が浮かんだのかもしれない。 どうにか無理に仕留めたいと言った様子が見て取れる。
「こうして見てみるとセンドウさんもだけど焦りすぎじゃね?」
「誰も彼もが自分がはよ仕留めて味方を助けなあかんって感じが透けて見えるなぁ」
ふわわの感想が最も的を射ているとヨシナリは思った。
基本的に『栄光』は良くも悪くもカナタありきのチームだ。
彼女が先頭で戦い、他がそれを支える。 一人のエースの力を最大限に活かすと言えば聞こえはいいが、対処する側としてはカナタとそれ以外を切り離して考えればいいので手強い相手ではあるが決して勝てないという訳でもない。 特に他がカナタに合わせる形に慣れ切っているのでカナタ自身が他に合わせる事に慣れていない印象を受ける。
今回はそこを突かせて貰う形になった。 カナタと他を切り離す。
後は個別に相性のいい相手をぶつける。 方針としてはシンプルだが、この面子であるなら充分に勝算のある手だった。 ウインドウの中では焦ったフカヤが位置取りを致命的にしくじり、マルメルのハンドレールキャノンの餌食になっている所だ。
「いやぁ、普段は全く当たらねぇからこういうデカい当たりが来ると最高に気持ちいいぜ!」
マルメルが褒めろと言わんばかりにヨシナリを肘で小突く。
「あぁ、これに関してはお見事だ。 焦ってポジショニングを意識しなくなるまで粘ったお前の勝ちだよ」
「だろ? 褒めろ! 俺をもっと褒めろ!」
「マルメル偉い! 凄い! 頼りになる! 流石!」
「きゃーマルメル君素敵ー!」
何故かふわわまで乗っかり、マルメルはいやぁそれほどでもとくねくねした。
場所は変わって星座盤のユニオンホーム。 マルメルがやや興奮気味に喜びを口にする。
「そうやね。 ウチはあんまりいいとこなしやったから本戦はもうちょっと頑張らんと」
ふわわは不完全燃焼気味に呟き、グロウモスはうんうんと頷きながらヒヒと奇妙に高い笑いを漏らす。
そしてベリアル――影のように真っ黒なアバターが壁を背にもたれかかったまま無言。
ヨシナリも皆と同じ気持ちだったが、勝利に胡坐をかいていれば足元を掬われる。
「一先ずは予選突破お疲れ。 これから感想戦やるから皆、意見があれば遠慮なく行ってくれ!」
マルメルとふわわはいつもの事なので何も言わず、グロウモスは小さく頷く。
「ふ、勤勉だな。 魔弾の射手よ」
「……闇の深みへ向かうにはその浮力に抗わなければならない。 停滞は俺や貴公の身を浮かび上がらせ、慢心は闇を見通す目を奪うだろう」
「道理だな」
ベリアルも納得してくれたようだ。 マルメルがじっとヨシナリを見つめているが、努めて無視する。 ともあれ話は纏まったようなのでそのままリプレイ映像を再生。
全員の動きを確認していく。 まずは分かり易いグロウモスから。
今回のイベントは彼女と非常に相性が良かった。 豊富にある隠れる場所は彼女のステルス性を極限まで高め、立ち回りもほぼ言う事はない。 特にあのセンドウを狙撃で完璧に抑えたのは見事としか言いようがなかった。
事前準備として塹壕を用意。 持ち込んだシャベルで穴を掘り、掘り返した土と穴の内部をグルーで固めて楽に出入りできるようにしている。 合間にヨシナリの援護もしていたので、見えていないがしっかりと仕事はしていた。
「これはお前の入れ知恵か?」
「あぁ、前の時に俺もやったんだけど案外見つからなくってさ。 穴を固めたり土を固めて蓋をしたりはふわわさんのグルーキャノンを見てて使えるなって思ったんだ」
準備完了後、早々に仕掛ける。
初手で相手のメインの狙撃銃を破壊し、自身の排除を強く意識させる事で味方の安全を確保。
「上手いなぁ。 センドウさん完全にグロウモスさんに釘付けじゃん」
狙われていたマルメルとしては助かったと言った思いが強い。
こうしてリプレイ映像で見るとセンドウがかなりグロウモスを意識しているのが分かる。
森の中を進み、途中で変形。 明らかに狙撃を誘っている動きだ。
「あー、これはグロウモスさんの位置が分かってないから特定する為の動きか」
「マルメルの言う通りだ。 味方の援護もあるからさっさと片付けたいってのが丸わかりだな」
その間、グロウモスは穴から半身を出している状態で狙いを付けていた。
仕留めるのは難しいと判断し、発砲と同時に穴へと隠れる。
掘り返した土を固めて蓋にしているのでよくよく見れば不自然ではあるが、初見で見切るのは難しい。 穴の内部でグロウモスはゆっくりと大口径の拳銃を用意。
センドウがあれで気付くと判断したのもヨシナリからすれば好印象だった。
相手の技量をしっかりと認識できている。 誘い出されたセンドウが狙撃地点に現れ、グロウモスの姿を探し――違和感に気付く前に地中から一撃。
「お見事」
ヨシナリの見立てではセンドウは相手を自分のペースに引き込む事でリズムを作る傾向にある。
その為、逆にリズムを乱される、もしくは相手のリズムに引き込まれると脆さが目立つ。
たらればを言っても仕方がないが、まだ味方のキマイラが一機残っていたのでその機体に怪しい場所を爆撃させる等のやり方はあった。 実際、それをやられるとグロウモスはかなり苦しかっただろう。
その後も見つからない事を念頭に置き、チクチクと味方の邪魔になりそうな敵にひたすら嫌がらせを繰り返していた。 ヨシナリは敵でこれやってくる奴、死ぬほど腹立つだろうなと思いつつ味方で良かったと強く思った。
「次は俺のを見てくれよ!」
マルメルは自分の活躍をアピールしたいのか見てくれ見てくれと言うのでフォーカスする。
基本的に今回の予選は栄光との戦闘以外はそこまで派手な戦いはなかったので、自然とさっきの場面の別視点となる。 『栄光』に仕掛けられたタイミングからなのだが、マルメルの戦い方は堅実そのものと言えた。 事前にヨシナリがしたアドバイスを愚直なまでに守り、地形を上手く利用して敵を削る。
言うには易いが実行できるかはまた別の話。
三機を相手に撃破されずに抑え込めたのは紛れもなくマルメル自身の実力と言えるだろう。
フカヤの奇襲を防ぐ為に遮蔽物を上手く利用して移動経路を制限し、牽制をかかさない。
そんな粘りが勝機を呼び込んだ。 元々、フカヤは精神的に脆い面が目立つ。
それを補う為のイワモトとのセットだったのだろうが、センドウとツガルが完全に抑えられている状態で脳裏に負けの二文字が浮かんだのかもしれない。 どうにか無理に仕留めたいと言った様子が見て取れる。
「こうして見てみるとセンドウさんもだけど焦りすぎじゃね?」
「誰も彼もが自分がはよ仕留めて味方を助けなあかんって感じが透けて見えるなぁ」
ふわわの感想が最も的を射ているとヨシナリは思った。
基本的に『栄光』は良くも悪くもカナタありきのチームだ。
彼女が先頭で戦い、他がそれを支える。 一人のエースの力を最大限に活かすと言えば聞こえはいいが、対処する側としてはカナタとそれ以外を切り離して考えればいいので手強い相手ではあるが決して勝てないという訳でもない。 特に他がカナタに合わせる形に慣れ切っているのでカナタ自身が他に合わせる事に慣れていない印象を受ける。
今回はそこを突かせて貰う形になった。 カナタと他を切り離す。
後は個別に相性のいい相手をぶつける。 方針としてはシンプルだが、この面子であるなら充分に勝算のある手だった。 ウインドウの中では焦ったフカヤが位置取りを致命的にしくじり、マルメルのハンドレールキャノンの餌食になっている所だ。
「いやぁ、普段は全く当たらねぇからこういうデカい当たりが来ると最高に気持ちいいぜ!」
マルメルが褒めろと言わんばかりにヨシナリを肘で小突く。
「あぁ、これに関してはお見事だ。 焦ってポジショニングを意識しなくなるまで粘ったお前の勝ちだよ」
「だろ? 褒めろ! 俺をもっと褒めろ!」
「マルメル偉い! 凄い! 頼りになる! 流石!」
「きゃーマルメル君素敵ー!」
何故かふわわまで乗っかり、マルメルはいやぁそれほどでもとくねくねした。
0
お気に入りに追加
24
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
「日本人」最後の花嫁 少女と富豪の二十二世紀
さんかく ひかる
SF
22世紀後半。人類は太陽系に散らばり、人口は90億人を超えた。
畜産は制限され、人々はもっぱら大豆ミートや昆虫からたんぱく質を摂取していた。
日本は前世紀からの課題だった少子化を克服し、人口1億3千万人を維持していた。
しかし日本語を話せる人間、つまり昔ながらの「日本人」は鈴木夫妻と娘のひみこ3人だけ。
鈴木一家以外の日本国民は外国からの移民。公用語は「国際共通語」。政府高官すら日本の文字は読めない。日本語が絶滅するのは時間の問題だった。
温暖化のため首都となった札幌へ、大富豪の息子アレックス・ダヤルが来日した。
彼の母は、この世界を造ったとされる天才技術者であり実業家、ラニカ・ダヤル。
一方、最後の「日本人」鈴木ひみこは、両親に捨てられてしまう。
アレックスは、捨てられた少女の保護者となった。二人は、温暖化のため首都となった札幌のホテルで暮らしはじめる。
ひみこは、自分を捨てた親を見返そうと決意した。
やがて彼女は、アレックスのサポートで国民のアイドルになっていく……。
両親はなぜ、娘を捨てたのか? 富豪と少女の関係は?
これは、最後の「日本人」少女が、天才技術者の息子と過ごした五年間の物語。
完結しています。エブリスタ・小説家になろうにも掲載してます。

海道一の弓取り~昨日なし明日またしらぬ、人はただ今日のうちこそ命なりけれ~
海野 入鹿
SF
高校2年生の相場源太は暴走した車によって突如として人生に終止符を打たれた、はずだった。
再び目覚めた時、源太はあの桶狭間の戦いで有名な今川義元に転生していた―
これは現代っ子の高校生が突き進む戦国物語。
史実に沿って進みますが、作者の創作なので架空の人物や設定が入っております。
不定期更新です。
SFとなっていますが、歴史物です。
小説家になろうでも掲載しています。

第3次パワフル転生野球大戦ACE
青空顎門
ファンタジー
宇宙の崩壊と共に、別宇宙の神々によって魂の選別(ドラフト)が行われた。
野球ゲームの育成モードで遊ぶことしか趣味がなかった底辺労働者の男は、野球によって世界の覇権が決定される宇宙へと記憶を保ったまま転生させられる。
その宇宙の神は、自分の趣味を優先して伝説的大リーガーの魂をかき集めた後で、国家間のバランスが完全崩壊する未来しかないことに気づいて焦っていた。野球狂いのその神は、世界の均衡を保つため、ステータスのマニュアル操作などの特典を主人公に与えて送り出したのだが……。
果たして運動不足の野球ゲーマーは、マニュアル育成の力で世界最強のベースボールチームに打ち勝つことができるのか!?
※小説家になろう様、カクヨム様、ノベルアップ+様、ノベルバ様にも掲載しております。

メトロポリス社へようこそ! ~「役立たずだ」とクビにされたおっさんの就職先は大企業の宇宙船を守る護衛官でした~
アンジェロ岩井
SF
「えっ、クビですか?」
中企業アナハイニム社の事務課に勤める大津修也(おおつしゅうや)は会社の都合によってクビを切られてしまう。
ろくなスキルも身に付けていない修也にとって再転職は絶望的だと思われたが、大企業『メトロポリス』からの使者が現れた。
『メトロポリス』からの使者によれば自身の商品を宇宙の植民星に運ぶ際に宇宙生物に襲われるという事態が幾度も発生しており、そのための護衛役として会社の顧問役である人工頭脳『マリア』が護衛役を務める適任者として選び出したのだという。
宇宙生物との戦いに用いるロトワングというパワードスーツには適性があり、その適性が見出されたのが大津修也だ。
大津にとっては他に就職の選択肢がなかったので『メトロポリス』からの選択肢を受けざるを得なかった。
『メトロポリス』の宇宙船に乗り込み、宇宙生物との戦いに明け暮れる中で、彼は護衛アンドロイドであるシュウジとサヤカと共に過ごし、絆を育んでいくうちに地球上にてアンドロイドが使用人としての扱いしか受けていないことを思い出す。
修也は戦いの中でアンドロイドと人間が対等な関係を築き、共存を行うことができればいいと考えたが、『メトロポリス』では修也とは対照的に人類との共存ではなく支配という名目で動き出そうとしていた。
底辺エンジニア、転生したら敵国側だった上に隠しボスのご令嬢にロックオンされる。~モブ×悪女のドール戦記~
阿澄飛鳥
SF
俺ことグレン・ハワードは転生者だ。
転生した先は俺がやっていたゲームの世界。
前世では機械エンジニアをやっていたので、こっちでも祝福の【情報解析】を駆使してゴーレムの技師をやっているモブである。
だがある日、工房に忍び込んできた女――セレスティアを問い詰めたところ、そいつはなんとゲームの隠しボスだった……!
そんなとき、街が魔獣に襲撃される。
迫りくる魔獣、吹き飛ばされるゴーレム、絶体絶命のとき、俺は何とかセレスティアを助けようとする。
だが、俺はセレスティアに誘われ、少女の形をした魔導兵器、ドール【ペルラネラ】に乗ってしまった。
平民で魔法の才能がない俺が乗ったところでドールは動くはずがない。
だが、予想に反して【ペルラネラ】は起動する。
隠しボスとモブ――縁のないはずの男女二人は精神を一つにして【ペルラネラ】での戦いに挑む。
忘却の艦隊
KeyBow
SF
新設された超弩級砲艦を旗艦とし新造艦と老朽艦の入れ替え任務に就いていたが、駐留基地に入るには数が多く、月の1つにて物資と人員の入れ替えを行っていた。
大型輸送艦は工作艦を兼ねた。
総勢250艦の航宙艦は退役艦が110艦、入れ替え用が同数。
残り30艦は増強に伴い新規配備される艦だった。
輸送任務の最先任士官は大佐。
新造砲艦の設計にも関わり、旗艦の引き渡しのついでに他の艦の指揮も執り行っていた。
本来艦隊の指揮は少将以上だが、輸送任務の為、設計に関わった大佐が任命された。
他に星系防衛の指揮官として少将と、退役間近の大将とその副官や副長が視察の為便乗していた。
公安に近い監査だった。
しかし、この2名とその側近はこの艦隊及び駐留艦隊の指揮系統から外れている。
そんな人員の載せ替えが半分ほど行われた時に中緊急警報が鳴り、ライナン星系第3惑星より緊急の救援要請が入る。
機転を利かせ砲艦で敵の大半を仕留めるも、苦し紛れに敵は主系列星を人口ブラックホールにしてしまった。
完全にブラックホールに成長し、その重力から逃れられないようになるまで数分しか猶予が無かった。
意図しない戦闘の影響から士気はだだ下がり。そのブラックホールから逃れる為、禁止されている重力ジャンプを敢行する。
恒星から近い距離では禁止されているし、システム的にも不可だった。
なんとか制限内に解除し、重力ジャンプを敢行した。
しかし、禁止されているその理由通りの状況に陥った。
艦隊ごとセットした座標からズレ、恒星から数光年離れた所にジャンプし【ワープのような架空の移動方法】、再び重力ジャンプ可能な所まで移動するのに33年程掛かる。
そんな中忘れ去られた艦隊が33年の月日の後、本星へと帰還を目指す。
果たして彼らは帰還できるのか?
帰還出来たとして彼らに待ち受ける運命は?

シーフードミックス
黒はんぺん
SF
ある日あたしはロブスターそっくりの宇宙人と出会いました。出会ったその日にハンバーガーショップで話し込んでしまいました。
以前からあたしに憑依する何者かがいたけれど、それは宇宙人さんとは無関係らしい。でも、その何者かさんはあたしに警告するために、とうとうあたしの内宇宙に乗り込んできたの。
ちょっとびっくりだけど、あたしの内宇宙には天の川銀河やアンドロメダ銀河があります。よかったら見物してってね。
内なる宇宙にもあたしの住むご町内にも、未知の生命体があふれてる。遭遇の日々ですね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる