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第224話
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開始時点では東西にアメリカ、日本と配置されている。
アメリカからの衛星攻撃からの畳みかけるような強襲。 そしてラーガストによる衛星落とし。
その後の戦況はやや膠着といった様子だった。 大半のプレイヤーが戦場の中央に固まり、凄まじい潰し合いを行っているが、そんな隙を突くように南北から回り込んでいるプレイヤー達が存在する。
元々、総合力で劣る日本側はアメリカ側の消耗を誘う為に防御に回るというのが、大半の大手ユニオンの総意だったので下手な小細工はせずに正面からの殴り合いに専念していたのだ。
対するアメリカ側のプレイヤーは総合力で勝る事を活かし、正面からの殴り合いに応じつつ、一部の者を南北から回り込ませていた。 ベリアルが遭遇したのは北側から身を隠して回り込もうとしていた一部隊だったようだ。
目についた敵機を全て撃破したはしたが、まだまだ居るだろう。
群がってこないのは目の前の者達の役目と判断したからだ。
現れたのは二機。 重装甲、脚部には無限軌道、パンツァータイプとソルジャータイプを掛け合わせたようなデザインの機体。 もう一機は人型だが、両腕に二門のガトリング砲と背中には給弾システムと思われる巨大なバックパック。 確認するまでもなくAランクだ。
「ふ、我が闇に引き寄せられた修羅、か。 海の向こうで磨かれたその戦意の炎、何処まで我が闇を照らせるか見せて貰おうか」
状況は圧倒的な不利。 だが、それがどうしたとばかりにベリアルは笑う。
彼は闇を司る王なのだ。 王はどんな状況であろうとも真っ向から立ち向かう。
少なくとも彼はそう在ろうと決めている。 ならば少々の不利であろうとも胸を張るべきなのだ。
ベリアルの言葉に二機のAランクは顔を見合わせる。
「ヘイ、ジャン。 翻訳機を入れているはず何だが、俺にはこいつが何を言ってるのか理解できねえ」
「奇遇だなケヴィン。 俺もサッパリだ。 まぁ、やる気満々って事でいいんじゃねぇか?」
「だな。 へい、ジャパンのランカーさんよ。 二対一だが悪く思うなよ?」
重装備がケヴィン、ガトリング砲がジャンというらしい二人組がベリアルにそう告げると彼は胸を張って笑って見せる。
「気にすることはない。 貴様等は我が闇に挑む者、そして俺は挑まれる者。 前者が勝利の為にあらゆる手を尽くすのは必定、そして俺にそれを咎めるつもりも必要もない。 さぁ、貴様らの光は我が闇にどこまで届くか、存分に試すがいい!」
「あー? かかって来いって事か?」
ケヴィンの言葉にベリアルは大きく頷く。
「こいつ面白れぇな。 まぁ、悪く思うなよ」
ジャンのガトリング砲が火を噴き、ケヴィンの機体が無限軌道とは思えないほどの速度で走行。
弧を描くような軌道でベリアルの側面に回り込みながら短距離ミサイルを連続発射。
「ふ、単純故に強い力、か。 だが、それだけで我が闇を打倒できると思わない事だな」
ベリアルの機体の各所から闇色のオーラは噴き出し、その姿を隠す。
弾丸はそれを突き抜け、ミサイルですらも目標を見失って通り抜ける。
「随分とユニークな装備だな。 ジャン! 合わせろ!」
「OKケヴィン」
ケヴィンの機体の胸部装甲の一部がスライドして展開。
鏡のようなパーツが露出すると発光し始め、カメラのフラッシュのように光が一瞬強くなった。
同時にベリアルの機体を覆っていた闇の一部が吹き飛ばされる。
「なに!? 我が闇を吹き払う光だと!?」
「へ、見えたぜ。 これでハチの巣になりなぁ!」
姿が露出した事でジャンのガトリング砲が火を噴く。
ベリアルは咄嗟にシールドを展開しようとしたが、効果がないと判断して回避。
後退しながら腕からエネルギー弾を連射。 割り込んだケヴィンの機体がさっきと同様に光を放ち、エネルギー弾を全て霧散させる。
「なるほど、闇を退ける破邪の光といった所か。 ならば、その松明の光で我が闇の底まで見通せるか試してみるがいい!」
ベリアルはこの時点で自身の不利を悟っていた。
数の不利もあるが、ケヴィンの装備。 あの光はエネルギー系統の武装を無効化できるのだろう。
エネルギー系の武装で攻防、機動のすべてを賄っているベリアルの天敵ともいえる。
加えてAランクだけあって動きも良く、連携も巧みだ。
的確にベリアルが嫌がる位置を狙っている。 このままでは全て剥がされるのも時間の問題だろう。
対するジャンとケヴィンの二人は充分に勝てると判断していた。
ベリアルの機体はエンジェルタイプ同様にエネルギー系統の推進装置を利用した特注機。
散々、似たような機体を相手にしてきた二人からすれば相性のいい相手と言える。
だからと言って侮るような真似はしない。 Aランク以上の機体は特注機――つまりはそいつだけのユニークなのだ。 単なるエンジェルタイプの延長と思っていたら痛い目に遭う。
そう理解しているからこそ完全に撃破するまで気を緩めない。
ケヴィンの機体に搭載されている兵装。
エネルギーキャンセラーという一定以下の光学兵器の機能を完全に無効化する代物だ。
彼の機体に搭載されている物はその無効化に指向性を持たせる事ができるので、エンジェルタイプの天敵と言える。 完全に無効化が決まれば推進装置もエネルギー系統の装備に依存している機体は僅かな時間、完全に機能を停止するからだ。 その状態で彼の機体に搭載されたホーミングミサイルを回避する術はない。 上位の機種になればなるほどエネルギー系統の武装に偏るので彼の装備はそんな環境に刺さる構成と言える。
光がベリアルの闇を剥がす。 姿を隠す事が出来ずにその機体の姿が露わになる。
ジャンはその剥き出しになった機体に向けてガトリング砲を連射。
彼の機体はやや重装甲といった趣ではあるが、そこまでの派手さがない印象を与える。
だが、彼の機体には大きな特徴があった。
対峙しているベリアルは薄っすらとだが、それに気づき始めていた。
ジャンの攻撃は二門のガトリング砲による弾幕。 それは見れば分かるのだが、躱しきれないのも発射される弾丸の数を考えれば仕方がないと思える。
――そしてそれがほぼ全弾であるなら?
そう彼の放つ無数の弾丸はよく見れば全てが不自然な軌跡を描くのだ。
「なるほど、弾丸の全てが貴様の眷属という訳か!」
それを看破したベリアルがケヴィンの無効化の間隙を縫うようにシールドを展開して弾丸を防ぐ。
極端な軌道こそ描かないが、弾丸が追尾してくる。
恐らくは何らかの手段で弾丸に誘導性能を持たせているのだ。
アメリカからの衛星攻撃からの畳みかけるような強襲。 そしてラーガストによる衛星落とし。
その後の戦況はやや膠着といった様子だった。 大半のプレイヤーが戦場の中央に固まり、凄まじい潰し合いを行っているが、そんな隙を突くように南北から回り込んでいるプレイヤー達が存在する。
元々、総合力で劣る日本側はアメリカ側の消耗を誘う為に防御に回るというのが、大半の大手ユニオンの総意だったので下手な小細工はせずに正面からの殴り合いに専念していたのだ。
対するアメリカ側のプレイヤーは総合力で勝る事を活かし、正面からの殴り合いに応じつつ、一部の者を南北から回り込ませていた。 ベリアルが遭遇したのは北側から身を隠して回り込もうとしていた一部隊だったようだ。
目についた敵機を全て撃破したはしたが、まだまだ居るだろう。
群がってこないのは目の前の者達の役目と判断したからだ。
現れたのは二機。 重装甲、脚部には無限軌道、パンツァータイプとソルジャータイプを掛け合わせたようなデザインの機体。 もう一機は人型だが、両腕に二門のガトリング砲と背中には給弾システムと思われる巨大なバックパック。 確認するまでもなくAランクだ。
「ふ、我が闇に引き寄せられた修羅、か。 海の向こうで磨かれたその戦意の炎、何処まで我が闇を照らせるか見せて貰おうか」
状況は圧倒的な不利。 だが、それがどうしたとばかりにベリアルは笑う。
彼は闇を司る王なのだ。 王はどんな状況であろうとも真っ向から立ち向かう。
少なくとも彼はそう在ろうと決めている。 ならば少々の不利であろうとも胸を張るべきなのだ。
ベリアルの言葉に二機のAランクは顔を見合わせる。
「ヘイ、ジャン。 翻訳機を入れているはず何だが、俺にはこいつが何を言ってるのか理解できねえ」
「奇遇だなケヴィン。 俺もサッパリだ。 まぁ、やる気満々って事でいいんじゃねぇか?」
「だな。 へい、ジャパンのランカーさんよ。 二対一だが悪く思うなよ?」
重装備がケヴィン、ガトリング砲がジャンというらしい二人組がベリアルにそう告げると彼は胸を張って笑って見せる。
「気にすることはない。 貴様等は我が闇に挑む者、そして俺は挑まれる者。 前者が勝利の為にあらゆる手を尽くすのは必定、そして俺にそれを咎めるつもりも必要もない。 さぁ、貴様らの光は我が闇にどこまで届くか、存分に試すがいい!」
「あー? かかって来いって事か?」
ケヴィンの言葉にベリアルは大きく頷く。
「こいつ面白れぇな。 まぁ、悪く思うなよ」
ジャンのガトリング砲が火を噴き、ケヴィンの機体が無限軌道とは思えないほどの速度で走行。
弧を描くような軌道でベリアルの側面に回り込みながら短距離ミサイルを連続発射。
「ふ、単純故に強い力、か。 だが、それだけで我が闇を打倒できると思わない事だな」
ベリアルの機体の各所から闇色のオーラは噴き出し、その姿を隠す。
弾丸はそれを突き抜け、ミサイルですらも目標を見失って通り抜ける。
「随分とユニークな装備だな。 ジャン! 合わせろ!」
「OKケヴィン」
ケヴィンの機体の胸部装甲の一部がスライドして展開。
鏡のようなパーツが露出すると発光し始め、カメラのフラッシュのように光が一瞬強くなった。
同時にベリアルの機体を覆っていた闇の一部が吹き飛ばされる。
「なに!? 我が闇を吹き払う光だと!?」
「へ、見えたぜ。 これでハチの巣になりなぁ!」
姿が露出した事でジャンのガトリング砲が火を噴く。
ベリアルは咄嗟にシールドを展開しようとしたが、効果がないと判断して回避。
後退しながら腕からエネルギー弾を連射。 割り込んだケヴィンの機体がさっきと同様に光を放ち、エネルギー弾を全て霧散させる。
「なるほど、闇を退ける破邪の光といった所か。 ならば、その松明の光で我が闇の底まで見通せるか試してみるがいい!」
ベリアルはこの時点で自身の不利を悟っていた。
数の不利もあるが、ケヴィンの装備。 あの光はエネルギー系統の武装を無効化できるのだろう。
エネルギー系の武装で攻防、機動のすべてを賄っているベリアルの天敵ともいえる。
加えてAランクだけあって動きも良く、連携も巧みだ。
的確にベリアルが嫌がる位置を狙っている。 このままでは全て剥がされるのも時間の問題だろう。
対するジャンとケヴィンの二人は充分に勝てると判断していた。
ベリアルの機体はエンジェルタイプ同様にエネルギー系統の推進装置を利用した特注機。
散々、似たような機体を相手にしてきた二人からすれば相性のいい相手と言える。
だからと言って侮るような真似はしない。 Aランク以上の機体は特注機――つまりはそいつだけのユニークなのだ。 単なるエンジェルタイプの延長と思っていたら痛い目に遭う。
そう理解しているからこそ完全に撃破するまで気を緩めない。
ケヴィンの機体に搭載されている兵装。
エネルギーキャンセラーという一定以下の光学兵器の機能を完全に無効化する代物だ。
彼の機体に搭載されている物はその無効化に指向性を持たせる事ができるので、エンジェルタイプの天敵と言える。 完全に無効化が決まれば推進装置もエネルギー系統の装備に依存している機体は僅かな時間、完全に機能を停止するからだ。 その状態で彼の機体に搭載されたホーミングミサイルを回避する術はない。 上位の機種になればなるほどエネルギー系統の武装に偏るので彼の装備はそんな環境に刺さる構成と言える。
光がベリアルの闇を剥がす。 姿を隠す事が出来ずにその機体の姿が露わになる。
ジャンはその剥き出しになった機体に向けてガトリング砲を連射。
彼の機体はやや重装甲といった趣ではあるが、そこまでの派手さがない印象を与える。
だが、彼の機体には大きな特徴があった。
対峙しているベリアルは薄っすらとだが、それに気づき始めていた。
ジャンの攻撃は二門のガトリング砲による弾幕。 それは見れば分かるのだが、躱しきれないのも発射される弾丸の数を考えれば仕方がないと思える。
――そしてそれがほぼ全弾であるなら?
そう彼の放つ無数の弾丸はよく見れば全てが不自然な軌跡を描くのだ。
「なるほど、弾丸の全てが貴様の眷属という訳か!」
それを看破したベリアルがケヴィンの無効化の間隙を縫うようにシールドを展開して弾丸を防ぐ。
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