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第172話
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他と同様に間違いなく有人操作。 技量は――何とも言えなかった。
ヨシナリはその動きを注意深く観察するが見れば見るほど首を傾げたくなるような挙動だったからだ。
確かに反応は素晴らしい。 攻撃をかなりの精度で見切った上での回避、特に接近戦では非常に強力だった。 実際、ヨシナリの見ている先でブレードを振るうをソルジャータイプの背後へと一瞬で回り、エネルギークローで串刺しにする。
間違いなく強い。 反応速度だけで言うのならふわわと同等だろう。
だが――ヨシナリはアノマリーの引き金を引く。 エネルギー弾は吸い込まれるようにツートンカラーの機体の胴体を捉えて撃破。 これだ。
見えている範囲の攻撃からの反応は異様なほどに良いのに見えていない、要は死角からの攻撃に対する反応が非常に遅い。 これが意味するのは何か?
少し考えたが可能性としてはあまり気持ちの良くない物が浮かんだ。
「――これはやってるなぁ……」
恐らく――いや、間違いなく、何らかの手段で反応速度をブーストしている。
要はチートだ。 プレイヤーには散々、クソ長文の書類にサインさせてバカみたいなペナルティを課してくるのに自分達が用意したプレイヤーには許可するのか。
考えれば考えるほどに理不尽な状況に腹が立つ。 ヨシナリはふうと大きく深呼吸。
運営への苛立ちは一旦、抑え込んで冷静にこの状況を乗り切る事を考えるべきだ。
エネミートルーパーのスペックは既存機を越えているが、量産型と言うべきか平均化されているので技量に左右こそされているが挙動は似たような物で比較的ではあるが読み易い。
加えて、敵のプレイヤーのスキルはそこまで高くなかった。
少なくともこのゲームに慣れたヘビーユーザーの動きではない。
チートを使っているツートンカラーの機体は比較的マシだがその程度だ。
冷静に見極めれば素直な攻めなので乱戦であるなら仕留める事はそう難しい事ではない。
これが正面からであったなら厳しかったが、これは大規模戦だ。 味方を隠れ蓑にし、乱戦の合間に存在する意識の隙間を縫えば撃破は容易い。
灰色は基本的に正面から弾をばら撒くだけの移動砲台なので胴体を落ち着いて撃ち抜くだけでいい。
ヴルトムと同じ系統の追加装甲であるなら脱ぎ捨てて戦闘を継続する可能性もあるので着膨れしている末端を狙うよりは確実に機能停止に追い込める胴体の中心を意識して狙う。
エネルギーをフルチャージした状態のアノマリーの一撃であるならどうにかワンショットで仕留められる。
次にツートンカラーの機体だが、こちらは少しコツがいるので少し集中が必要だ。
何らかのチートで反応速度を上げている以上、見えている範囲からの攻撃は高確率で避けられる。 なら死角から狙えばいい。
狙い目は攻撃態勢に入ったと同時だ。
獲物を仕留めにいく時、その瞬間は必ず意識は攻撃にのみ傾けられる。
そこを刈り取ればいい。 狙いを付けて引き金を引く。
アノマリーから放たれたエネルギー弾は吸い込まれるように敵のエネミーを後ろから射抜いた。
機動力に振っている分、非常に脆いので当たりさえすれば仕留めるのは楽だ。
面倒なツートンカラーを優先的に狙い、余裕があれば灰色を撃ち抜く。 一人で戦っている訳ではないので無理をせず味方に任せられるところは任せればいい。
――この様子だと中にも湧いてきてるだろうな。
外でこの有様なのだ。 中の事を考えるとここ以上に面倒な事になっているのは想像に難くない。
カナタ達と一緒であるならそこまで心配していないが、何らかの形で分断されていたのならあまり良くない。 ツートンカラーは外よりも死角が生まれ辛い限定された空間内でこそ真価を発揮するので、施設内だと脅威度はかなり上昇する。 ヨシナリは仕留める方法を確立したと思っているが、決して敵のトルーパーを侮ってはいなかった。 エネミーも大概だが、この戦場で最も厄介な敵だと判断しているのでさっさと全滅させようと次々と撃ち抜いていくが――不意にロックオン警告。
咄嗟にスラスターを噴かして後退。 直前までヨシナリの居た位置を銃弾が薙ぐように突き刺さる。
飛んできた方を見ると一機の灰色の機体が重機関銃を構えていた。
明らかにヨシナリを狙っている。 戦場から少し離れた位置で隠れながらチクチクと減らしていたのだが、どうやら気付かれたようだ。
――灰色か。
観察した限り、灰色は例のチートを使っていない。 なら通常のトルーパーと同じ扱いでいい。
エネミーはホロスコープを粉砕しようと銃弾をばら撒くが重装甲の機体が相手なら機動力に分がある。
かといって高度を取り過ぎると碌な事にならないので這うように飛行。 推力を全開にしてその場から離脱。 当然、敵機は追ってくる。
向かう先は戦場の只中。 無理に一対一に持ち込むよりはこの乱戦という状況を最大限に利用するべきだ。 付け加えるならこいつらの技量はお世辞にも高くないので敵味方を見分けるといった上等な真似は出来ない。 実際、ヨシナリを追ってくる機体も味方であるはずのエネミーや僚機にも平気で銃弾を撃ち込んでいた。 連携としては終わっているのでこうしてやれば敵に損害を与えつつ、集中を削ぐ事ができる。
「しつこいな」
そのまま撒いてやろうかと考えていたが、ヨシナリを狙っている機体はよほど気に入っているのか執拗に追いかけてくる。 このまま適当に撒いて終わりにしようかと思ったが、そこまでご執心であるなら仕方がないと撃破する方向でどうするかを戦い方を組み立てる。
視ろ。 自分の手札と敵のスペック、武装、そして周囲の環境。
その全てを使って何をするのかが最適解かを導き出すのだ。
ヨシナリにはふわわのような反応速度はない。 だから視野を広げて周辺の動きを観察し、敵の動きを読み、可能であれば誘導する。 無数にある選択肢の中から最も合理的な答えを探す。
完全ではないがヨシナリはそのスタイルを確立しつつあった。
縫うように戦場の只中を進み、敵はそんなヨシナリを追うが、機動力の差で遅れる。
AIであるならもっと合理的な方法で追撃するか、諦めて他を狙うのだろうがこの敵は何故がヨシナリに執着している上、合理に欠けた挙動を行う。 そんな敵に対して想定される動きは何か?
ヨシナリはその動きを注意深く観察するが見れば見るほど首を傾げたくなるような挙動だったからだ。
確かに反応は素晴らしい。 攻撃をかなりの精度で見切った上での回避、特に接近戦では非常に強力だった。 実際、ヨシナリの見ている先でブレードを振るうをソルジャータイプの背後へと一瞬で回り、エネルギークローで串刺しにする。
間違いなく強い。 反応速度だけで言うのならふわわと同等だろう。
だが――ヨシナリはアノマリーの引き金を引く。 エネルギー弾は吸い込まれるようにツートンカラーの機体の胴体を捉えて撃破。 これだ。
見えている範囲の攻撃からの反応は異様なほどに良いのに見えていない、要は死角からの攻撃に対する反応が非常に遅い。 これが意味するのは何か?
少し考えたが可能性としてはあまり気持ちの良くない物が浮かんだ。
「――これはやってるなぁ……」
恐らく――いや、間違いなく、何らかの手段で反応速度をブーストしている。
要はチートだ。 プレイヤーには散々、クソ長文の書類にサインさせてバカみたいなペナルティを課してくるのに自分達が用意したプレイヤーには許可するのか。
考えれば考えるほどに理不尽な状況に腹が立つ。 ヨシナリはふうと大きく深呼吸。
運営への苛立ちは一旦、抑え込んで冷静にこの状況を乗り切る事を考えるべきだ。
エネミートルーパーのスペックは既存機を越えているが、量産型と言うべきか平均化されているので技量に左右こそされているが挙動は似たような物で比較的ではあるが読み易い。
加えて、敵のプレイヤーのスキルはそこまで高くなかった。
少なくともこのゲームに慣れたヘビーユーザーの動きではない。
チートを使っているツートンカラーの機体は比較的マシだがその程度だ。
冷静に見極めれば素直な攻めなので乱戦であるなら仕留める事はそう難しい事ではない。
これが正面からであったなら厳しかったが、これは大規模戦だ。 味方を隠れ蓑にし、乱戦の合間に存在する意識の隙間を縫えば撃破は容易い。
灰色は基本的に正面から弾をばら撒くだけの移動砲台なので胴体を落ち着いて撃ち抜くだけでいい。
ヴルトムと同じ系統の追加装甲であるなら脱ぎ捨てて戦闘を継続する可能性もあるので着膨れしている末端を狙うよりは確実に機能停止に追い込める胴体の中心を意識して狙う。
エネルギーをフルチャージした状態のアノマリーの一撃であるならどうにかワンショットで仕留められる。
次にツートンカラーの機体だが、こちらは少しコツがいるので少し集中が必要だ。
何らかのチートで反応速度を上げている以上、見えている範囲からの攻撃は高確率で避けられる。 なら死角から狙えばいい。
狙い目は攻撃態勢に入ったと同時だ。
獲物を仕留めにいく時、その瞬間は必ず意識は攻撃にのみ傾けられる。
そこを刈り取ればいい。 狙いを付けて引き金を引く。
アノマリーから放たれたエネルギー弾は吸い込まれるように敵のエネミーを後ろから射抜いた。
機動力に振っている分、非常に脆いので当たりさえすれば仕留めるのは楽だ。
面倒なツートンカラーを優先的に狙い、余裕があれば灰色を撃ち抜く。 一人で戦っている訳ではないので無理をせず味方に任せられるところは任せればいい。
――この様子だと中にも湧いてきてるだろうな。
外でこの有様なのだ。 中の事を考えるとここ以上に面倒な事になっているのは想像に難くない。
カナタ達と一緒であるならそこまで心配していないが、何らかの形で分断されていたのならあまり良くない。 ツートンカラーは外よりも死角が生まれ辛い限定された空間内でこそ真価を発揮するので、施設内だと脅威度はかなり上昇する。 ヨシナリは仕留める方法を確立したと思っているが、決して敵のトルーパーを侮ってはいなかった。 エネミーも大概だが、この戦場で最も厄介な敵だと判断しているのでさっさと全滅させようと次々と撃ち抜いていくが――不意にロックオン警告。
咄嗟にスラスターを噴かして後退。 直前までヨシナリの居た位置を銃弾が薙ぐように突き刺さる。
飛んできた方を見ると一機の灰色の機体が重機関銃を構えていた。
明らかにヨシナリを狙っている。 戦場から少し離れた位置で隠れながらチクチクと減らしていたのだが、どうやら気付かれたようだ。
――灰色か。
観察した限り、灰色は例のチートを使っていない。 なら通常のトルーパーと同じ扱いでいい。
エネミーはホロスコープを粉砕しようと銃弾をばら撒くが重装甲の機体が相手なら機動力に分がある。
かといって高度を取り過ぎると碌な事にならないので這うように飛行。 推力を全開にしてその場から離脱。 当然、敵機は追ってくる。
向かう先は戦場の只中。 無理に一対一に持ち込むよりはこの乱戦という状況を最大限に利用するべきだ。 付け加えるならこいつらの技量はお世辞にも高くないので敵味方を見分けるといった上等な真似は出来ない。 実際、ヨシナリを追ってくる機体も味方であるはずのエネミーや僚機にも平気で銃弾を撃ち込んでいた。 連携としては終わっているのでこうしてやれば敵に損害を与えつつ、集中を削ぐ事ができる。
「しつこいな」
そのまま撒いてやろうかと考えていたが、ヨシナリを狙っている機体はよほど気に入っているのか執拗に追いかけてくる。 このまま適当に撒いて終わりにしようかと思ったが、そこまでご執心であるなら仕方がないと撃破する方向でどうするかを戦い方を組み立てる。
視ろ。 自分の手札と敵のスペック、武装、そして周囲の環境。
その全てを使って何をするのかが最適解かを導き出すのだ。
ヨシナリにはふわわのような反応速度はない。 だから視野を広げて周辺の動きを観察し、敵の動きを読み、可能であれば誘導する。 無数にある選択肢の中から最も合理的な答えを探す。
完全ではないがヨシナリはそのスタイルを確立しつつあった。
縫うように戦場の只中を進み、敵はそんなヨシナリを追うが、機動力の差で遅れる。
AIであるならもっと合理的な方法で追撃するか、諦めて他を狙うのだろうがこの敵は何故がヨシナリに執着している上、合理に欠けた挙動を行う。 そんな敵に対して想定される動きは何か?
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