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第87話
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Aランクプレイヤー。
その力を見てヨシナリは凄まじいと思っていた。
機体性能もあるだろうが何よりそれを最大限に活かせるプレイヤースキルの異様なまでの高さだ。
真っ先に切り込んだ黒い機体は凄まじい弾幕を掻い潜ってクラゲ型エネミーへと肉薄し、攻めあぐねていた者達の苦労を嘲笑うかのような一撃。 ここまでやられれば誰しもが認めざるを得ないだろう。
彼等こそが真なる意味でのハイランカー。 このゲームの頂に近いと。
他の機体も大概化け物じみた性能に挙動。 百もいないのに上げる戦果は百倍以上だ。
ヨシナリの見ている前でクラゲ型エネミーは徹底的に痛めつけられ取り込んだパーツが次々に脱落していく。 これだけ強いのに何故前回で負けたのだろうか?
「あぁ、ヨシナリはちゃんと見てなかったんだっけ? ほら例のカタツムリ型の防御を突破できなくて時間切れだったんだってさ」
ヨシナリの疑問を察したのかリプレイを見たマルメルがそんな事を言って来た。
「なるほど。 前回はほぼ初見だったらしいからな」
「あぁ、それに機体――特に武装が完成していなかった奴が多かったらしいからそれもあったと思う」
「そうか。 ――ともあれ、この調子で行けるならあのクラゲは落ちるな」
「あぁ、時間はまだあるけど流石にボスは打ち止めだと信じたいな」
「……絶対にまだ来るだろ」
ヨシナリは時間いっぱいまで次々と強力なボスを繰り出し続けると信じていた。
反面、マルメルはそろそろ打ち止めだろうと思っていたようだ。
「いや、あのクラゲ見てみろよ。 全部乗せだぜ? 最後の手段感ないか?」
「あー、まぁ、確かにそういわれればそうかもな」
フィクションのセオリーだとこの手のエネミーは最後の手段で現れるような印象を受けるのも確かだ。
そうこうしている間にクラゲ型エネミーのあちこちで巨大な爆発。
傘の一部が何かに切り裂かれて落下していく。 この調子で行けば撃破は確実だろう。
今度こそ勝てる、終わるとプレイヤー達は歓声を上げる姿が見えた。
――だが、果たして本当にそうなのだろうか?
一部のプレイヤーは勝ちを確信して観戦に入っている者すらいた。
このゲームはプレイヤーに死力を尽くさせる事がコンセプトだ。
そんな運営がこんな状況を果たして許すのだろうか? 少なくともヨシナリはこのまま勝てるなんて欠片も思っていなかった。
「確かにお前の言う通りかもしれないけど、イベントが終わるまで油断はできない。 警戒は怠らない方が良いぞ」
「それは分かってるよ。 でも、無駄に終わってくれないかねとも思ってる」
「ウチとしては飛んでる相手ばっかりやからそろそろ、直接戦りあえるようなのが出てきてくれると嬉しいかな」
いつの間にかさっきまで近くでエネミーを狩りに行っていたふわわが戻ってきていた。
「あ、おつかれっす。 どうでした?」
「うーん。 ウチはクラゲには触れずにその辺の敵をチクチク狩ってから何とも。 で? 何の話してたん?」
「あのクラゲを仕留めた後、次は出てくるか来ないかの話ですよ」
ふわわは不意に黙って空を――基地よりも遥かに離れた遠くへ視線をやる。
「ヨシナリ君はまた来るって思ってるんやろ?」
「はい」
「それ、ウチも同感。 なーんかピリピリしたもんを感じるなぁ」
「ゲームなのに?」
マルメルがからかうようにそう言うがヨシナリもふわわも黙って何も言わない。
それを見てマルメルは口の中でマジかよと呟く。
「ま、なーんも起こらんかったら恥ずかしいで終わりやからそれならそれでええかなって思うけどね」
炎、闇、光、斬撃、衝撃波、様々な攻撃がクラゲ型エネミーを徹底的に痛めつけていく。
攻撃のほとんどは効果を発揮せず、損傷率の増加だけがただひたすらに増加。
それを見ている存在は冷静に機械的に『Type:diversity jellyfish』が撃破される事確信する。
PhaseⅣ-Ⅲ『Type:diversity jellyfish』クリアに伴い。
PhaseEX発動申請――承認。 利用可能なオペレータ―を検索――該当一名。
それは何処かと通信を始める。
――hello 『bobby』.
――નમસ્તે.
片方は女性の声。 平坦ではあるが言葉には僅かな親しみが乗っていた。
対する相手は少年のような声。 話しかけられて少しだけ嬉しそうだった。
――How is work going these days?
――દરેક જણ મારા પ્રત્યે દયાળુ છે, તેથી મને મજા આવે છે. પણ……
――What's wrong?
――henry અને chan મૃત્યુ પામ્યા છે. ભલે તે આટલો સરસ વ્યક્તિ હતો……
少年の声は深く沈んでいた。 女性は何と声をかけていいのか迷うように沈黙。
――આટલી અંધારામાં વાત કરવા બદલ માફ કરશો. તમારી પાસે કંઈક કરવાનું હતું?
空気が悪くなったとでも思ったのか少年は努めて明るくそう尋ねた。
――I'm sorry you're busy, but I have some work I'd like you to do. Can I ask you a favor?
――બરાબર. શું તે તે નથી જે player સાથે વ્યવહાર કરે છે? helena એ કહ્યું કે તે S ranker સાથે વ્યવહાર કરી રહ્યો હતો.
――thank you. I've made it possible for you to use your aircraft as is, so please.
――મારા પર છોડીદે!
二人はその後もいくつか言葉を交わし、通信は完了した。
それによりタスクが進行。 別のウインドウではちょうどクラゲ型エネミー――『Type:diversity jellyfish』が撃破されようとしていた。
PhaseEX『Guardian:Sea anemone"Behemoth"「bobby」』投入。(実行中――)
――完了、転送開始。
タスクが完了し、転送が開始される。
『Type:diversity jellyfish』は損傷が閾値を超えて崩れていく。
巨大な鋼のクラゲが散り、その裏でイベント最後にして最大の敵が現れようとしていた。
その力を見てヨシナリは凄まじいと思っていた。
機体性能もあるだろうが何よりそれを最大限に活かせるプレイヤースキルの異様なまでの高さだ。
真っ先に切り込んだ黒い機体は凄まじい弾幕を掻い潜ってクラゲ型エネミーへと肉薄し、攻めあぐねていた者達の苦労を嘲笑うかのような一撃。 ここまでやられれば誰しもが認めざるを得ないだろう。
彼等こそが真なる意味でのハイランカー。 このゲームの頂に近いと。
他の機体も大概化け物じみた性能に挙動。 百もいないのに上げる戦果は百倍以上だ。
ヨシナリの見ている前でクラゲ型エネミーは徹底的に痛めつけられ取り込んだパーツが次々に脱落していく。 これだけ強いのに何故前回で負けたのだろうか?
「あぁ、ヨシナリはちゃんと見てなかったんだっけ? ほら例のカタツムリ型の防御を突破できなくて時間切れだったんだってさ」
ヨシナリの疑問を察したのかリプレイを見たマルメルがそんな事を言って来た。
「なるほど。 前回はほぼ初見だったらしいからな」
「あぁ、それに機体――特に武装が完成していなかった奴が多かったらしいからそれもあったと思う」
「そうか。 ――ともあれ、この調子で行けるならあのクラゲは落ちるな」
「あぁ、時間はまだあるけど流石にボスは打ち止めだと信じたいな」
「……絶対にまだ来るだろ」
ヨシナリは時間いっぱいまで次々と強力なボスを繰り出し続けると信じていた。
反面、マルメルはそろそろ打ち止めだろうと思っていたようだ。
「いや、あのクラゲ見てみろよ。 全部乗せだぜ? 最後の手段感ないか?」
「あー、まぁ、確かにそういわれればそうかもな」
フィクションのセオリーだとこの手のエネミーは最後の手段で現れるような印象を受けるのも確かだ。
そうこうしている間にクラゲ型エネミーのあちこちで巨大な爆発。
傘の一部が何かに切り裂かれて落下していく。 この調子で行けば撃破は確実だろう。
今度こそ勝てる、終わるとプレイヤー達は歓声を上げる姿が見えた。
――だが、果たして本当にそうなのだろうか?
一部のプレイヤーは勝ちを確信して観戦に入っている者すらいた。
このゲームはプレイヤーに死力を尽くさせる事がコンセプトだ。
そんな運営がこんな状況を果たして許すのだろうか? 少なくともヨシナリはこのまま勝てるなんて欠片も思っていなかった。
「確かにお前の言う通りかもしれないけど、イベントが終わるまで油断はできない。 警戒は怠らない方が良いぞ」
「それは分かってるよ。 でも、無駄に終わってくれないかねとも思ってる」
「ウチとしては飛んでる相手ばっかりやからそろそろ、直接戦りあえるようなのが出てきてくれると嬉しいかな」
いつの間にかさっきまで近くでエネミーを狩りに行っていたふわわが戻ってきていた。
「あ、おつかれっす。 どうでした?」
「うーん。 ウチはクラゲには触れずにその辺の敵をチクチク狩ってから何とも。 で? 何の話してたん?」
「あのクラゲを仕留めた後、次は出てくるか来ないかの話ですよ」
ふわわは不意に黙って空を――基地よりも遥かに離れた遠くへ視線をやる。
「ヨシナリ君はまた来るって思ってるんやろ?」
「はい」
「それ、ウチも同感。 なーんかピリピリしたもんを感じるなぁ」
「ゲームなのに?」
マルメルがからかうようにそう言うがヨシナリもふわわも黙って何も言わない。
それを見てマルメルは口の中でマジかよと呟く。
「ま、なーんも起こらんかったら恥ずかしいで終わりやからそれならそれでええかなって思うけどね」
炎、闇、光、斬撃、衝撃波、様々な攻撃がクラゲ型エネミーを徹底的に痛めつけていく。
攻撃のほとんどは効果を発揮せず、損傷率の増加だけがただひたすらに増加。
それを見ている存在は冷静に機械的に『Type:diversity jellyfish』が撃破される事確信する。
PhaseⅣ-Ⅲ『Type:diversity jellyfish』クリアに伴い。
PhaseEX発動申請――承認。 利用可能なオペレータ―を検索――該当一名。
それは何処かと通信を始める。
――hello 『bobby』.
――નમસ્તે.
片方は女性の声。 平坦ではあるが言葉には僅かな親しみが乗っていた。
対する相手は少年のような声。 話しかけられて少しだけ嬉しそうだった。
――How is work going these days?
――દરેક જણ મારા પ્રત્યે દયાળુ છે, તેથી મને મજા આવે છે. પણ……
――What's wrong?
――henry અને chan મૃત્યુ પામ્યા છે. ભલે તે આટલો સરસ વ્યક્તિ હતો……
少年の声は深く沈んでいた。 女性は何と声をかけていいのか迷うように沈黙。
――આટલી અંધારામાં વાત કરવા બદલ માફ કરશો. તમારી પાસે કંઈક કરવાનું હતું?
空気が悪くなったとでも思ったのか少年は努めて明るくそう尋ねた。
――I'm sorry you're busy, but I have some work I'd like you to do. Can I ask you a favor?
――બરાબર. શું તે તે નથી જે player સાથે વ્યવહાર કરે છે? helena એ કહ્યું કે તે S ranker સાથે વ્યવહાર કરી રહ્યો હતો.
――thank you. I've made it possible for you to use your aircraft as is, so please.
――મારા પર છોડીદે!
二人はその後もいくつか言葉を交わし、通信は完了した。
それによりタスクが進行。 別のウインドウではちょうどクラゲ型エネミー――『Type:diversity jellyfish』が撃破されようとしていた。
PhaseEX『Guardian:Sea anemone"Behemoth"「bobby」』投入。(実行中――)
――完了、転送開始。
タスクが完了し、転送が開始される。
『Type:diversity jellyfish』は損傷が閾値を超えて崩れていく。
巨大な鋼のクラゲが散り、その裏でイベント最後にして最大の敵が現れようとしていた。
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