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第82話
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爆発音。 また一体、蝦蛄型エネミーが空中で爆散する。
流石はBランクプレイヤー。 コツを掴んだのか危なげなく、一体ずつ確実に処理していった。
防壁の向こうから来る敵も押しとどめられており、制空権も蝦蛄型エネミーの排除により取り戻しつつあった。
カタツムリも全滅し、蝦蛄も時間の問題だ。
加えてまだAランク以上の増援も期待できる。 これはクリアできるんじゃないか?
そんな考えが戦場に漂うが、このゲームに慣れ切った上位のプレイヤー達はそうは思わない。
――この運営がこんなに素直に勝たせてくれる?
それこそあり得ない。 ボスだと思っていたカタツムリ型の後に蝦蛄型が現れたのだ。
次もあると考える方が無難。 だからこそ彼等は迅速に蝦蛄型エネミーを処分して次の強敵に備えていたのだ。
彼らの考えは非常に正しく、この『ICpw』の住人としては至極真っ当な意見だった。
それを肯定するかのように裏側では新しいタスクが進行する。
Type:fortress mantis shrimpの全滅を確認。
PhaseⅣ-Ⅲ『Type:diversity jellyfish』投入(実行中――……完了)
条件未達成によりPhaseⅣ-Ⅳは破棄。
――新たな絶望がフィールドに出現した。
「しゃあ! 最後の海老撃破ぁ! ざまぁみやがれってんだ!」
「だから蝦蛄だってば……。 よし、蟻の排除と基地の防衛に――……はぁ、まぁこんな事だろうと思ったぜ」
最後の蝦蛄型エネミーが爆散し、一息つけるかと思っていたが、そうでもなかったようだ。
それに気が付いたプレイヤー達は空を見上げるといつの間にか見慣れない存在が出現していた。
波打つ傘のような形状に推進装置がないにも関わらず泳ぐように空中にいるそれはクラゲに酷似していたが、例によって大きさは数百メートルと桁外れ。
「今度はクラゲかよ。 次から次へと訳の分からん奴が出てくるな」
「だけど、今回のはナマモノっぽいから異星人感はあるんじゃね?」
「そういえばこのゲームって謎の侵略宇宙人から世界守る話だったな。 ガチで忘れてたわ」
「取り合えず仕掛けるぞ」
「なーんかエネルギー兵器効かなさそうじゃね?」
「それを確認する意味でもだ」
基地から少し離れた位置に出現している事も彼等を警戒させる要因だった。
何をしてくるか分からない以上、カタツムリのように遠距離の砲撃は真っ先に警戒するべき事だ。
足の速いキマイラタイプが真っ先に射程に捉え、エネルギーライフルを撃ち込む。
収束したエネルギーはクラゲ型エネミーに命中するが体が発光するだけで効果はない。
「駄目だ。 エネルギー兵器は吸収される」
「だったら、実体弾だな」
変形したキマイラタイプが持っていた突撃銃を連射。
命中した部分が抉れ、大きな穴が開く。
「――何だ? 思ったより脆いな?」
「油断するな。 カタツムリと蝦蛄の後に出てきた奴だぞ。 絶対にやばい能力を持っている」
「つってもエネルギー兵器が効かないだけで、実弾は普通に通るしなぁ……」
実弾の集中砲火を受けてクラゲ型エネミーは瞬く間にあちこちが穴だらけになる。
その間、反撃もせずにされるがままだ。 プレイヤー達は油断できないと情け容赦なく銃弾を撃ち込み続ける。 撃つ、撃つ、撃ち続ける。
数百メートルの巨体を誇ろうが、数百機のトルーパーによる一斉射撃を受ければハチの巣になるのは時間の問題だ。 そろそろ原型を留めなくなるのではないかと誰かが思った瞬間にそれは起こった。
クラゲ型エネミーがはじけ飛んだのだ。 破片は重力を無視し細かく散ってあちこちに広がっていく。
それはまるでタンポポの綿毛が空に舞うようだった。
「……何だったんだ?」
「分からん。 他も片付きそうだな」
そのプレイヤーがぐるりと周囲を見回すと他のクラゲ型エネミーも次々と弾け飛んでいるところだった。 クラゲ型エネミーの破片は風に乗って戦場に広がり、ゆっくりと雪のように地表へと落ちていく。
その様子をプレイヤー達は訝しみながらも見ていたが、その表情が引き攣るまでそう時間はかからなかった。
何故なら基地の内部で異変が発生し、あのエネミーが何故こうもあっさりと弾けた理由が分かったからだ。 エネミーの一部は基地内外に転がっている大破したトルーパーの残骸に接触すると増殖し、欠損部分を補うと立ち上がり始める。
「そういう事かよ! ゾンビ化とか性質悪すぎるだろ!」
「ここでゾンビゲーする!? これロボゲーだと思ってたの俺だけっすかねぇ!?」
「早く戻れ! 基地の内部に敵が沸いてる事になってるんだぞ!」
「あぁ、畜生。 また面倒くさい奴が出て来たなぁ!」
警戒していただけあってプレイヤー達の反応は早かったが、基地の中に現れた事で混乱は生じる。
それにトルーパーの残骸は基地内にいくらでも転がっている事もあって非常に厄介だ。
戻ろうとしたランカー達は背後から聞こえる聞き慣れた駆動音にさっと背筋が冷えた。
理由は単純で、連中が何に寄生したのかが分かったからだ。
今も敵の群れが進む中から無数の何かが飛び出してくる。
撃破され、残骸に成り果てたキマイラタイプだ。 明らかに飛べる状態ではないのだが、損傷部分にジェル状の何かが埋まっており欠損を補っているようだった。
「――嘘だろ?」
「運営……。 お前ら人の心とかないのか??」
寄生されたトルーパー達が次々と敵となって復活していく。
どうなっているのかキマイラタイプに至っては大破しているにもかかわらず変形機能まで復活していた。
「クソ、基地の連中は大丈夫だろうな」
「そんな事よりこっちの処理だろ。 こいつらを基地に行かせる方がヤベぇ」
武器に至っては蟻型エネミーの持っていた武器など無事だったものをそのまま使用している様でスペック的には元の状態とそこまで変わらないのが更に厄介だった。
「何でエネミー相手にPVPみたいな真似しなきゃならねーんだよ!」
「叫んでないで戦え! 戻れる奴は基地に急げ! あっちも残骸が多いぞ!」
寄生キマイラタイプが器用に変形しながら機銃を連射して突撃。
エンジェルタイプが回避しながら応射。 寄生キマイラタイプは機体をバレルロール――機首を上げながら横に回転する空中機動を行って回避しつつ背後を取ろうとしてくる。
「こいつら動きが――」
エンジェルタイプは振り向きながらエネルギーブレードを一閃。
寄生キマイラタイプは人型に変形しながらエネルギーブレードで受けながら空いた手で大型拳銃を構える。 咄嗟にエンジェルタイプは機体を捻って回避。
銃弾が掠め、装甲に大きな傷が刻まれた。
周囲では他のプレイヤーも寄生トルーパーに苦戦しているようだ。
流石はBランクプレイヤー。 コツを掴んだのか危なげなく、一体ずつ確実に処理していった。
防壁の向こうから来る敵も押しとどめられており、制空権も蝦蛄型エネミーの排除により取り戻しつつあった。
カタツムリも全滅し、蝦蛄も時間の問題だ。
加えてまだAランク以上の増援も期待できる。 これはクリアできるんじゃないか?
そんな考えが戦場に漂うが、このゲームに慣れ切った上位のプレイヤー達はそうは思わない。
――この運営がこんなに素直に勝たせてくれる?
それこそあり得ない。 ボスだと思っていたカタツムリ型の後に蝦蛄型が現れたのだ。
次もあると考える方が無難。 だからこそ彼等は迅速に蝦蛄型エネミーを処分して次の強敵に備えていたのだ。
彼らの考えは非常に正しく、この『ICpw』の住人としては至極真っ当な意見だった。
それを肯定するかのように裏側では新しいタスクが進行する。
Type:fortress mantis shrimpの全滅を確認。
PhaseⅣ-Ⅲ『Type:diversity jellyfish』投入(実行中――……完了)
条件未達成によりPhaseⅣ-Ⅳは破棄。
――新たな絶望がフィールドに出現した。
「しゃあ! 最後の海老撃破ぁ! ざまぁみやがれってんだ!」
「だから蝦蛄だってば……。 よし、蟻の排除と基地の防衛に――……はぁ、まぁこんな事だろうと思ったぜ」
最後の蝦蛄型エネミーが爆散し、一息つけるかと思っていたが、そうでもなかったようだ。
それに気が付いたプレイヤー達は空を見上げるといつの間にか見慣れない存在が出現していた。
波打つ傘のような形状に推進装置がないにも関わらず泳ぐように空中にいるそれはクラゲに酷似していたが、例によって大きさは数百メートルと桁外れ。
「今度はクラゲかよ。 次から次へと訳の分からん奴が出てくるな」
「だけど、今回のはナマモノっぽいから異星人感はあるんじゃね?」
「そういえばこのゲームって謎の侵略宇宙人から世界守る話だったな。 ガチで忘れてたわ」
「取り合えず仕掛けるぞ」
「なーんかエネルギー兵器効かなさそうじゃね?」
「それを確認する意味でもだ」
基地から少し離れた位置に出現している事も彼等を警戒させる要因だった。
何をしてくるか分からない以上、カタツムリのように遠距離の砲撃は真っ先に警戒するべき事だ。
足の速いキマイラタイプが真っ先に射程に捉え、エネルギーライフルを撃ち込む。
収束したエネルギーはクラゲ型エネミーに命中するが体が発光するだけで効果はない。
「駄目だ。 エネルギー兵器は吸収される」
「だったら、実体弾だな」
変形したキマイラタイプが持っていた突撃銃を連射。
命中した部分が抉れ、大きな穴が開く。
「――何だ? 思ったより脆いな?」
「油断するな。 カタツムリと蝦蛄の後に出てきた奴だぞ。 絶対にやばい能力を持っている」
「つってもエネルギー兵器が効かないだけで、実弾は普通に通るしなぁ……」
実弾の集中砲火を受けてクラゲ型エネミーは瞬く間にあちこちが穴だらけになる。
その間、反撃もせずにされるがままだ。 プレイヤー達は油断できないと情け容赦なく銃弾を撃ち込み続ける。 撃つ、撃つ、撃ち続ける。
数百メートルの巨体を誇ろうが、数百機のトルーパーによる一斉射撃を受ければハチの巣になるのは時間の問題だ。 そろそろ原型を留めなくなるのではないかと誰かが思った瞬間にそれは起こった。
クラゲ型エネミーがはじけ飛んだのだ。 破片は重力を無視し細かく散ってあちこちに広がっていく。
それはまるでタンポポの綿毛が空に舞うようだった。
「……何だったんだ?」
「分からん。 他も片付きそうだな」
そのプレイヤーがぐるりと周囲を見回すと他のクラゲ型エネミーも次々と弾け飛んでいるところだった。 クラゲ型エネミーの破片は風に乗って戦場に広がり、ゆっくりと雪のように地表へと落ちていく。
その様子をプレイヤー達は訝しみながらも見ていたが、その表情が引き攣るまでそう時間はかからなかった。
何故なら基地の内部で異変が発生し、あのエネミーが何故こうもあっさりと弾けた理由が分かったからだ。 エネミーの一部は基地内外に転がっている大破したトルーパーの残骸に接触すると増殖し、欠損部分を補うと立ち上がり始める。
「そういう事かよ! ゾンビ化とか性質悪すぎるだろ!」
「ここでゾンビゲーする!? これロボゲーだと思ってたの俺だけっすかねぇ!?」
「早く戻れ! 基地の内部に敵が沸いてる事になってるんだぞ!」
「あぁ、畜生。 また面倒くさい奴が出て来たなぁ!」
警戒していただけあってプレイヤー達の反応は早かったが、基地の中に現れた事で混乱は生じる。
それにトルーパーの残骸は基地内にいくらでも転がっている事もあって非常に厄介だ。
戻ろうとしたランカー達は背後から聞こえる聞き慣れた駆動音にさっと背筋が冷えた。
理由は単純で、連中が何に寄生したのかが分かったからだ。
今も敵の群れが進む中から無数の何かが飛び出してくる。
撃破され、残骸に成り果てたキマイラタイプだ。 明らかに飛べる状態ではないのだが、損傷部分にジェル状の何かが埋まっており欠損を補っているようだった。
「――嘘だろ?」
「運営……。 お前ら人の心とかないのか??」
寄生されたトルーパー達が次々と敵となって復活していく。
どうなっているのかキマイラタイプに至っては大破しているにもかかわらず変形機能まで復活していた。
「クソ、基地の連中は大丈夫だろうな」
「そんな事よりこっちの処理だろ。 こいつらを基地に行かせる方がヤベぇ」
武器に至っては蟻型エネミーの持っていた武器など無事だったものをそのまま使用している様でスペック的には元の状態とそこまで変わらないのが更に厄介だった。
「何でエネミー相手にPVPみたいな真似しなきゃならねーんだよ!」
「叫んでないで戦え! 戻れる奴は基地に急げ! あっちも残骸が多いぞ!」
寄生キマイラタイプが器用に変形しながら機銃を連射して突撃。
エンジェルタイプが回避しながら応射。 寄生キマイラタイプは機体をバレルロール――機首を上げながら横に回転する空中機動を行って回避しつつ背後を取ろうとしてくる。
「こいつら動きが――」
エンジェルタイプは振り向きながらエネルギーブレードを一閃。
寄生キマイラタイプは人型に変形しながらエネルギーブレードで受けながら空いた手で大型拳銃を構える。 咄嗟にエンジェルタイプは機体を捻って回避。
銃弾が掠め、装甲に大きな傷が刻まれた。
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