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第5話
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取りあえず適当に入れて貰うかと選ぶと簡単そうなミッション――防衛任務で初心者歓迎と書かれたものがあったのでそこに入る事にした。
「すいません。 入れて貰っても大丈夫ですか?」
ヨシナリがそう尋ねると募集をかけていたプレイヤーが顔を上げる。
同じ初期アバターで名前はヴルトムと表示されていた。
「あ、はい、大丈夫です。 助かります」
声から男性で感じからして同年代と言う事が分かった。
ヴルトムは嬉しそうな口調でミッションの概要についての説明を始める。
「取りあえず請けられるのが三人からだからもう一人が来るまで説明しますね。 単純な防衛戦でフリーミッションでよく出てくる小さな基地を三人で防衛する形になります」
「なるほど、敵はどんな感じですか?」
「ヘリと戦車の混成ですね。 ヘリが十、戦車が二十の合計三十。 一人頭、十の割り当てになります」
基地とその周辺情報を貰ったヨシナリは確認すると確かに前回と同じ基地に見えるが、違いは周囲が荒野になっており、射線が通りやすくなっている点だろう。
地形などを見ると明らかに初心者に配慮した造りだった。 戦車が相手なら当てるのは難しくない。
ヘリもフリーミッションと同程度の動きしかしてこないなら問題はないはずだ。
「報酬は基地の損壊状況で決まるから早めに撃破すればするほど報酬が増えるよ」
つまりは損害に応じて報酬が減る形と言う事のようだ。
しばらくするともう一人、ヨシナリ達と同じ初期アバターが入れて欲しいと寄ってきた。
「集まったみたいだし、ミッションの特性上、飛び道具は必須だから突撃銃は絶対に忘れないようにしてください」
俺ともう一人は頷くとミッション開始となった。
場面が変わり、ヨシナリ、ヴルトム、三人目――ゾンというプレイヤーのトルーパーがフィールドに出現する。 三人とも同じソルジャータイプの外装の機体だ。
ヴルトムの機体はライフルのみを装備しており、外装やカラーリングはそこまで弄っていない。
手足に波模様のようなものがペイントがされているぐらいだった。
他の武器は装備していないので、狙撃のみで処理するつもりのようだ。
ゾンの機体は少し装甲が盛られていた。
武装は突撃銃のみなので武器よりも装甲の強化に力を入れている事が窺える。
流石に新しい外装を購入するのは中々にハードルが高く、大半のプレイヤーはソルジャータイプを使用しているようだ。 実際、外装は非常に高額な上、追加装甲などの拡張パーツが比較的安価で出回っているのでわざわざ買い揃えようといった気持ちになり辛いと言うのもある。
可変や特殊フレームに至っては持っているプレイヤーは狂っているとしか言いようがない額を課金したか、ランキング上位のハイランカーと呼ばれる一握りのプレイヤーのみだ。
――裏を返すとプレイヤーの技量がストレートに出るゲームとも言える。
実際、ヴルトムもゾンもヨシナリよりもやり込んでいるはずだが、機体のスペック的には大きな差はないので戦えば勝てる可能性もあった。 これがこのゲームの魅力なのかとヨシナリは内心で首を捻る。
始めたばかりでも腕さえあれば勝てるとチラつかせる事がプレイヤーを放さない一因なのか?
正直、リアルなロボットアクションを楽しみたいヨシナリからすれば割とどうでもいい話ではあったが。
「取りあえず三方向に散って防衛する感じでいいかな?」
「あ、はい。 じゃあそれで」
ヨシナリはそう返事し、ゾンは無言で頷く。
配置が済んだでしばらくするとレーダーに敵の表示が出現した。
ヨシナリの割り振られた範囲では戦車が三、ヘリが二。 前回の偵察機を追い払うのと違い、今回の相手はしっかりと武装しているので撃たれる事も考慮しなければならない。
問題はどちらの対処を先にするかだ。
足が速いのは勿論、ヘリだが、射程の長いのは戦車。 タイミング的にヘリを有効射程に捉えてすぐに戦車が基地を射程内に収める。
「……だったらヘリを瞬殺して戦車をやればいいよな」
幸いにも購入したライフルが役に立つ。 単発式の安物だが、射程は突撃銃の比ではない。
こちらも練習はしっかりと行ったので当てる自信はある。
建物の上に移動して構えた。 スコープの類はないが、トルーパーのセンサーで代用は利く。
狙撃用のオプションパーツは売っていたが高かったのでスルーした。
そんな物なくても動きの小さなヘリ程度なら当てられる。
ヨシナリの基本スタイルは反復練習後の実践。 自身には天才的な才覚はないが根気はあるので、できるようになるまでひたすら練習すればいい。 似たようなゲームはそこそこやり込んでいたのでその経験を活かせたことも大きいが――
ヨシナリは小さく息を吸って吐き、僅かに目を細める。
その後、引き金を引く。 銃声が響き、弾丸がヘリを真っ直ぐに射貫いた。
レバーを引いて排莢。 冷静に次へと狙いを定めて発射し、こちらも一発で仕留める。
次は戦車だ。 五秒もしない内に先頭がこちらを射程に捉える。
僅かに焦りを滲ませながら銃撃。 命中したが砲塔を破壊しただけで大破には至らない。
思ったよりも硬い。 だが、攻撃能力は失ったので残りの二つを優先。
それぞれの砲塔に銃弾を撃ち込んで破壊し、攻撃能力を奪う。
このミッションの目的はあくまで基地の防衛だ。 撃破を焦る必要はない。
逃げるかなと思ったが、戦車は意に介さずに突っ込んで来る。 この辺はNPCっぽいなと思いながらヨシナリは狙撃でとどめを刺す。 爆散した戦車を確認し、他はどうなったかなと振り返るとヴルトムもヨシナリと同じようにヘリ戦車の順で撃破していたが、ライフルの違いか戦車も一撃で仕留めたようだ。
残りのゾンだが、ライフルを持っていなかったのでそのまま突っ込んで撃破に向かっていた。
離れた位置で突撃銃の連射音が響く。 戦車は瞬く間に全滅させたがヘリは取りこぼし、基地にミサイルを撃ち込んでいた。 内心で世話が焼けると思いながら、ヘリを狙撃。
ヨシナリと同じタイミングでヴルトムも狙撃を行ったので二機のヘリは瞬く間に撃墜された。
全滅させたと同時に第二波が出現。 あの様子だとゾンはまた取りこぼすだろう。
ヘリはこっちでやるかとまずは自分の割り当てを片付けるべくライフルを構えた。
「すいません。 入れて貰っても大丈夫ですか?」
ヨシナリがそう尋ねると募集をかけていたプレイヤーが顔を上げる。
同じ初期アバターで名前はヴルトムと表示されていた。
「あ、はい、大丈夫です。 助かります」
声から男性で感じからして同年代と言う事が分かった。
ヴルトムは嬉しそうな口調でミッションの概要についての説明を始める。
「取りあえず請けられるのが三人からだからもう一人が来るまで説明しますね。 単純な防衛戦でフリーミッションでよく出てくる小さな基地を三人で防衛する形になります」
「なるほど、敵はどんな感じですか?」
「ヘリと戦車の混成ですね。 ヘリが十、戦車が二十の合計三十。 一人頭、十の割り当てになります」
基地とその周辺情報を貰ったヨシナリは確認すると確かに前回と同じ基地に見えるが、違いは周囲が荒野になっており、射線が通りやすくなっている点だろう。
地形などを見ると明らかに初心者に配慮した造りだった。 戦車が相手なら当てるのは難しくない。
ヘリもフリーミッションと同程度の動きしかしてこないなら問題はないはずだ。
「報酬は基地の損壊状況で決まるから早めに撃破すればするほど報酬が増えるよ」
つまりは損害に応じて報酬が減る形と言う事のようだ。
しばらくするともう一人、ヨシナリ達と同じ初期アバターが入れて欲しいと寄ってきた。
「集まったみたいだし、ミッションの特性上、飛び道具は必須だから突撃銃は絶対に忘れないようにしてください」
俺ともう一人は頷くとミッション開始となった。
場面が変わり、ヨシナリ、ヴルトム、三人目――ゾンというプレイヤーのトルーパーがフィールドに出現する。 三人とも同じソルジャータイプの外装の機体だ。
ヴルトムの機体はライフルのみを装備しており、外装やカラーリングはそこまで弄っていない。
手足に波模様のようなものがペイントがされているぐらいだった。
他の武器は装備していないので、狙撃のみで処理するつもりのようだ。
ゾンの機体は少し装甲が盛られていた。
武装は突撃銃のみなので武器よりも装甲の強化に力を入れている事が窺える。
流石に新しい外装を購入するのは中々にハードルが高く、大半のプレイヤーはソルジャータイプを使用しているようだ。 実際、外装は非常に高額な上、追加装甲などの拡張パーツが比較的安価で出回っているのでわざわざ買い揃えようといった気持ちになり辛いと言うのもある。
可変や特殊フレームに至っては持っているプレイヤーは狂っているとしか言いようがない額を課金したか、ランキング上位のハイランカーと呼ばれる一握りのプレイヤーのみだ。
――裏を返すとプレイヤーの技量がストレートに出るゲームとも言える。
実際、ヴルトムもゾンもヨシナリよりもやり込んでいるはずだが、機体のスペック的には大きな差はないので戦えば勝てる可能性もあった。 これがこのゲームの魅力なのかとヨシナリは内心で首を捻る。
始めたばかりでも腕さえあれば勝てるとチラつかせる事がプレイヤーを放さない一因なのか?
正直、リアルなロボットアクションを楽しみたいヨシナリからすれば割とどうでもいい話ではあったが。
「取りあえず三方向に散って防衛する感じでいいかな?」
「あ、はい。 じゃあそれで」
ヨシナリはそう返事し、ゾンは無言で頷く。
配置が済んだでしばらくするとレーダーに敵の表示が出現した。
ヨシナリの割り振られた範囲では戦車が三、ヘリが二。 前回の偵察機を追い払うのと違い、今回の相手はしっかりと武装しているので撃たれる事も考慮しなければならない。
問題はどちらの対処を先にするかだ。
足が速いのは勿論、ヘリだが、射程の長いのは戦車。 タイミング的にヘリを有効射程に捉えてすぐに戦車が基地を射程内に収める。
「……だったらヘリを瞬殺して戦車をやればいいよな」
幸いにも購入したライフルが役に立つ。 単発式の安物だが、射程は突撃銃の比ではない。
こちらも練習はしっかりと行ったので当てる自信はある。
建物の上に移動して構えた。 スコープの類はないが、トルーパーのセンサーで代用は利く。
狙撃用のオプションパーツは売っていたが高かったのでスルーした。
そんな物なくても動きの小さなヘリ程度なら当てられる。
ヨシナリの基本スタイルは反復練習後の実践。 自身には天才的な才覚はないが根気はあるので、できるようになるまでひたすら練習すればいい。 似たようなゲームはそこそこやり込んでいたのでその経験を活かせたことも大きいが――
ヨシナリは小さく息を吸って吐き、僅かに目を細める。
その後、引き金を引く。 銃声が響き、弾丸がヘリを真っ直ぐに射貫いた。
レバーを引いて排莢。 冷静に次へと狙いを定めて発射し、こちらも一発で仕留める。
次は戦車だ。 五秒もしない内に先頭がこちらを射程に捉える。
僅かに焦りを滲ませながら銃撃。 命中したが砲塔を破壊しただけで大破には至らない。
思ったよりも硬い。 だが、攻撃能力は失ったので残りの二つを優先。
それぞれの砲塔に銃弾を撃ち込んで破壊し、攻撃能力を奪う。
このミッションの目的はあくまで基地の防衛だ。 撃破を焦る必要はない。
逃げるかなと思ったが、戦車は意に介さずに突っ込んで来る。 この辺はNPCっぽいなと思いながらヨシナリは狙撃でとどめを刺す。 爆散した戦車を確認し、他はどうなったかなと振り返るとヴルトムもヨシナリと同じようにヘリ戦車の順で撃破していたが、ライフルの違いか戦車も一撃で仕留めたようだ。
残りのゾンだが、ライフルを持っていなかったのでそのまま突っ込んで撃破に向かっていた。
離れた位置で突撃銃の連射音が響く。 戦車は瞬く間に全滅させたがヘリは取りこぼし、基地にミサイルを撃ち込んでいた。 内心で世話が焼けると思いながら、ヘリを狙撃。
ヨシナリと同じタイミングでヴルトムも狙撃を行ったので二機のヘリは瞬く間に撃墜された。
全滅させたと同時に第二波が出現。 あの様子だとゾンはまた取りこぼすだろう。
ヘリはこっちでやるかとまずは自分の割り当てを片付けるべくライフルを構えた。
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